竹取翁と万葉集のお勉強

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万葉集 集歌3433から集歌3437まで

2022年07月25日 | 新訓 万葉集
集歌3433 多伎木許流 可麻久良夜麻能 許太流木乎 麻都等奈我伊波婆 古非都追夜安良牟
訓読 薪(たきぎ)樵(こ)る鎌倉山の木(こ)垂(た)る木を松と汝(な)が云はば恋ひつつやあらむ
私訳 薪の木を伐る鎌倉山の枝茂る木を松と、その言葉のひびきではないが、勤めの満了を待つとお前が云うなら、こんなに恋い焦がれていようか。
注意 原文の「許太流木乎」を「木垂る木」と「こ足る季」と二通りに訓んでみました。
右三首、相模國歌
注訓 右の三首は、相模國の歌

集歌3434 可美都家野 安蘇夜麻都豆良 野乎比呂美 波比尓思物能乎 安是加多延世武
訓読 上野(かみつけ)の安蘇山(あそやま)葛(つづら)野(の)を広み延(は)ひにしものを何(あぜ)か絶えせむ
私訳 上野の安蘇山に生える葛の野原が広いので十分に蔓を延ばす。そのように長く関係を持つ仲がどうして縁が切れてしまうでしょうか。

集歌3435 伊可保呂乃 蘇比乃波里波良 和我吉奴尓 都伎与良之母与 比多敝登於毛敝婆
訓読 伊香保(いかほ)ろの岨(そ)ひの榛原(はりはら)吾(わ)が衣(きぬ)に着(つ)きよらしもよ一重(ひたへ)と思へば
私訳 伊香保の嶺の尾根に生える榛原、その榛の色が私の着物に染めやすい。そのようにお前は私に染まり付くようだ。一心に焦がれていると思うと。

集歌3436 志良登保布 乎尓比多夜麻乃 毛流夜麻乃 宇良賀礼勢奈 登許波尓毛我母
訓読 白(しら)遠(とほ)ふ小新田山(をにひたやま)の守(も)る山の末(うら)枯(か)れせな常葉(とこは)にもがも
私訳 白遠ふ小新田山の番人が見張る山の、その梢が枯れることがないように、いつも緑の葉であって欲しい。
右三首、上野國歌
注訓 右の三首は、上野國の歌

集歌3437 美知乃久能 安太多良末由美 波自伎於伎弖 西良思馬伎那婆 都良波可馬可毛
訓読 陸奥(みちのく)の安達太良(あだたら)真弓(まゆみ)弾(はじ)き置きて反(せ)らしめ来(き)なば弦(つる)着(は)かめかも
私訳 陸奥の安達太良の真弓を弾いて弦を切り、弓をそのままに置いて反り返らせたら、再び弓弦を着けられるでしょうか。
右一首、陸奥國歌
注訓 右の一首は、陸奥國の歌
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4 コメント

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Unknown (富士の裾野、 安蘇山つづら)
2023-08-10 18:12:33
アオツヅラフジ 数メートル
オオツヅラフジ 十数メートル
安蘇山つづら/つづら野
安蘇山の細長い裾野は 2km
群馬との県境までは5百メートルの所まで伸びている。
ありがとうございました。 (作業員)
2023-08-12 06:30:15
参考情報として、
現在、栃木県の南の各市に桐生川流域を加えた高みを安蘇の山と呼ぶようです。
歌の景色は上野の国の安蘇ですから、安蘇山自体ではなく安蘇の地域の意味合いで、現在の渡良瀬川の南側、桐生市から太田市の岡のようです。
Unknown (上つ毛野 筑波嶺 下つ毛野 筑波嶺)
2024-02-16 18:58:51
筑波嶺の山のやまどり 安蘇沼に
鳴くて ふ雄となりにけるかな
Unknown (東路万葉歌)
2024-04-26 18:33:32
東海道の独立峰ランドマーク
富士山
筑波山(旧東海道)

東山道の独立峰ランドマーク
新田山
安蘇山

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