集歌2671 今夜之 在開月夜 在乍文 公叨置者 待人無 (叨は、口+リの当字)
訓読 今夜(こよひ)し有明(ありあけ)の月夜(つくよ)ありつつも公(きみ)をおきては待つ人もなし
私訳 今夜は有明の月の夜ではありますが、このように人を待ちつつ居ますが、貴方をおいて、待つ人はいません。
注意 原文の「在開月夜」には、女性の「毎月の忌み籠り」が明けたの意味もあると思われます。
集歌2672 此山之 嶺尓近跡 吾見鶴 月之空有 戀毛為鴨
訓読 この山し嶺(みね)に近しと吾(あ)が見つる月し空なる恋もするかも
私訳 この山の峰に近いと私が眺めている月が大空にあるように、とらえどころのない恋をしたのでしょうか。
集歌2673 烏玉乃 夜渡月之 湯移去者 更哉妹尓 吾戀将居
訓読 ぬばたまの夜(よ)渡る月し移(ゆつ)りなばさらにや妹に吾(あ)が恋ひ居(を)らむ
私訳 漆黒の夜を一晩中照らす月が天空を渡って行ったなら、そうすれば、愛しい貴女を私は床で抱き伏せましょう。
集歌2674 朽網山 夕居雲 薄徃者 余者将戀名 公之目乎欲
訓読 朽網山(たくみやま)夕(ゆふ)居(を)る雲の薄れゆかば余(あ)は恋ひむな公(きみ)し目を欲(ほ)り
私訳 朽網山に夕刻に懸かる雲が薄れていけば、私は抱かれたいと願うでしょう。貴方が欲しい。
集歌2675 君之服 三笠之山尓 居雲乃 立者継流 戀為鴨
訓読 君し着る三笠し山に居(ゐ)る雲の立てば継がるる恋もするかも
私訳 貴方が身に着ける立派な笠の、その言葉のような三笠の山に懸かる雲が立ち上っては後に続くように、後から後からと終わりのない夜の営みをしましょう。
訓読 今夜(こよひ)し有明(ありあけ)の月夜(つくよ)ありつつも公(きみ)をおきては待つ人もなし
私訳 今夜は有明の月の夜ではありますが、このように人を待ちつつ居ますが、貴方をおいて、待つ人はいません。
注意 原文の「在開月夜」には、女性の「毎月の忌み籠り」が明けたの意味もあると思われます。
集歌2672 此山之 嶺尓近跡 吾見鶴 月之空有 戀毛為鴨
訓読 この山し嶺(みね)に近しと吾(あ)が見つる月し空なる恋もするかも
私訳 この山の峰に近いと私が眺めている月が大空にあるように、とらえどころのない恋をしたのでしょうか。
集歌2673 烏玉乃 夜渡月之 湯移去者 更哉妹尓 吾戀将居
訓読 ぬばたまの夜(よ)渡る月し移(ゆつ)りなばさらにや妹に吾(あ)が恋ひ居(を)らむ
私訳 漆黒の夜を一晩中照らす月が天空を渡って行ったなら、そうすれば、愛しい貴女を私は床で抱き伏せましょう。
集歌2674 朽網山 夕居雲 薄徃者 余者将戀名 公之目乎欲
訓読 朽網山(たくみやま)夕(ゆふ)居(を)る雲の薄れゆかば余(あ)は恋ひむな公(きみ)し目を欲(ほ)り
私訳 朽網山に夕刻に懸かる雲が薄れていけば、私は抱かれたいと願うでしょう。貴方が欲しい。
集歌2675 君之服 三笠之山尓 居雲乃 立者継流 戀為鴨
訓読 君し着る三笠し山に居(ゐ)る雲の立てば継がるる恋もするかも
私訳 貴方が身に着ける立派な笠の、その言葉のような三笠の山に懸かる雲が立ち上っては後に続くように、後から後からと終わりのない夜の営みをしましょう。