竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

後撰和歌集 巻14 歌番号1019から1023まで

2024年03月12日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻14
歌番号一〇一九
原文 堂以之良寸
読下 題知らす

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 奈川己呂毛三尓者奈留止毛和可多女尓宇寸幾己々呂八加計寸毛安良奈无
和歌 なつころも みにはなるとも わかために うすきこころは かけすもあらなむ
読下 夏衣身には馴るとも我がために薄き心はかけずもあらなん
解釈 私が贈った薄い夏衣が貴方の身には馴染んでも、私との共寝の関係が増して肌が馴染んだからと、私への薄い愛情の心持を掛ける(=湧き上がる)ことはしないで欲しいものです。

歌番号一〇二〇
原文 堂以之良寸
読下 題知らす

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 以可尓之天己止加多良者无保止々幾寸奈計幾乃志多尓奈計者加比奈之
和歌 いかにして ことかたらはむ ほとときす なけきのしたに なけはかひなし
読下 いかにして事語らはん郭公嘆きの下に鳴けばかひなし
解釈 どうにかして私が貴女を恋焦がれていることを伝えかたりましょう、ホトトギスが松明の投げ木の明かりに下に鳴いていても甲斐が無いように、私もこのように嘆いているばかりで、恋心に甲斐がありません。

歌番号一〇二一
原文 堂以之良寸
読下 題知らす

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 於毛日川々遍尓个留止之遠志留部尓天奈礼奴留毛乃者己々呂奈利个利
和歌 おもひつつ へにけるとしを しるへにて なれぬるものは こころなりけり
読下 思ひつつ経にける年をしるべにてなれぬる物は心なりけり
解釈 貴女を恋焦がれで思いながら経た年月を知る縁としても、慣れ成就したのは貴女と逢うことではなく、ただ、恋焦がれる心持だけです。

歌番号一〇二二
原文 布美奈止徒可者之个留於无奈乃己止於止己尓川幾者部利
个留尓川可八之个留
読下 文などつかはしける女の、異男につき侍り
けるにつかはしける

原文 美奈毛止乃止々乃不
読下 源ととのふ(源整)

原文 和礼奈良奴飛止寸美乃衣乃幾志尓以天々奈尓者乃可多遠宇良武川留可奈
和歌 われならぬ ひとすみのえの きしにいてて なにはのかたを うらみつるかな
読下 我ならぬ人住の江の岸に出でて難波の方をうらみつるかな
解釈 私以外の他の男と住む、その言葉の響きのような、住之江の岸で出かけて行って難波の潟、その浦を見るのではないが、貴女のことを残念に思います。

歌番号一〇二三
原文 止々乃不加礼可多尓奈利者部利尓个礼者止々女遠幾多留
布衣遠徒可者寸止天
読下 整、かれがたになり侍りにければ、留め置きたる
笛をつかはすとて

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 尓己利由久美川尓八可計乃三衣者己曽安之万与不衣遠止々女天毛三女
和歌 にこりゆく みつにはかけの みえはこそ あしまよふえを ととめてもみめ
読下 濁り行く水には影の見えばこそ葦まよふえを留めても見め
解釈 滞り濁り行く水には物を映した姿は見えますが、葦の間を水が迷う江の、そこに生える葦で出来た、貴方が私の許に留め置いてた、その笛を、貴方、整よ、見なさい。
注意 詞書の「整」は従五位上源整のことです。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする