集歌3021 絶沼之 下従者将戀 市白久 人之可知 歎為米也母
訓読 隠沼(こもりぬ)し下ゆは恋ひむいちしろく人し知るべく嘆(なげ)きせめやも
私訳 水のはけ口が無い隠沼の奥底、そのような密やかに心の奥底から恋い焦がれましょう。はっきりとあの人が気付くような恋の嘆きはいたしません。
集歌3022 去方無三 隠有小沼乃 下思尓 吾曽物念 頃者之間
訓読 行方(ゆくへ)無(な)み隠(こも)れる小沼(をぬ)の下(した)思(もひ)に吾(われ)ぞ物思ふこのころし間(あひだ)
私訳 水のはけ口が無い隠れる小さい沼の奥底、そのような密やかに心の奥底から私は物思いをします。今日この頃は。
集歌3023 隠沼乃 下従戀餘 白浪之 灼然出 人之可知
訓読 隠沼(こもりぬ)の下ゆ恋ひ余(あま)り白波しいちしろく出(い)でぬ人し知るべく
私訳 水のはけ口が無い隠沼の奥底、そのような密やかに心の奥底から恋い焦がれた思いの一端が、白波のようにはっきりと溢れ出た。きっと、あの人が気付くでしょう。
集歌3024 妹目乎 見巻欲江之 小浪 敷而戀乍 有跡告乞
訓読 妹し目を見まく堀江しさざれ波重(し)きて恋ひつつありと告げこそ
私訳 愛しい貴女のお顔を見たいと思う(欲:ほす)、その言葉の響きのような堀江にさざれ波が幾重にも立つように、幾重にも恋い焦がれていると、あの娘に告げて下さい。
集歌3025 石走 垂水之水能 早敷八師 君尓戀良久 吾情柄
訓読 石(いは)走(はし)る垂水(たるみ)し水の愛(は)しきやし君に恋ふらく吾(あ)が心から
私訳 岩をも流れ落ちる激しい滝の水が馳(は)し下る。その言葉のひびきのような、非常にいとおしい貴女に恋い焦がれる。私の心の底から。
訓読 隠沼(こもりぬ)し下ゆは恋ひむいちしろく人し知るべく嘆(なげ)きせめやも
私訳 水のはけ口が無い隠沼の奥底、そのような密やかに心の奥底から恋い焦がれましょう。はっきりとあの人が気付くような恋の嘆きはいたしません。
集歌3022 去方無三 隠有小沼乃 下思尓 吾曽物念 頃者之間
訓読 行方(ゆくへ)無(な)み隠(こも)れる小沼(をぬ)の下(した)思(もひ)に吾(われ)ぞ物思ふこのころし間(あひだ)
私訳 水のはけ口が無い隠れる小さい沼の奥底、そのような密やかに心の奥底から私は物思いをします。今日この頃は。
集歌3023 隠沼乃 下従戀餘 白浪之 灼然出 人之可知
訓読 隠沼(こもりぬ)の下ゆ恋ひ余(あま)り白波しいちしろく出(い)でぬ人し知るべく
私訳 水のはけ口が無い隠沼の奥底、そのような密やかに心の奥底から恋い焦がれた思いの一端が、白波のようにはっきりと溢れ出た。きっと、あの人が気付くでしょう。
集歌3024 妹目乎 見巻欲江之 小浪 敷而戀乍 有跡告乞
訓読 妹し目を見まく堀江しさざれ波重(し)きて恋ひつつありと告げこそ
私訳 愛しい貴女のお顔を見たいと思う(欲:ほす)、その言葉の響きのような堀江にさざれ波が幾重にも立つように、幾重にも恋い焦がれていると、あの娘に告げて下さい。
集歌3025 石走 垂水之水能 早敷八師 君尓戀良久 吾情柄
訓読 石(いは)走(はし)る垂水(たるみ)し水の愛(は)しきやし君に恋ふらく吾(あ)が心から
私訳 岩をも流れ落ちる激しい滝の水が馳(は)し下る。その言葉のひびきのような、非常にいとおしい貴女に恋い焦がれる。私の心の底から。