竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻14 歌番号1039から1043まで

2024年03月18日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻14
歌番号一〇三九
原文 於无奈乃毛止尓万可利曽女天安之多尓
読下 女のもとにまかりそめて、朝に

原文 布知八良乃加計毛止
読下 藤原かけもと(藤原蔭基)

原文 安可寸之天万久良乃宇部尓和可礼尓之由女知遠万多毛多川祢天之可奈
和歌 あかすして まくらのうへに わかれにし ゆめちをまたも たつねてしかな
読下 あかずして枕の上に別れにし夢路を又も訪ねてしがな
解釈 貴女との閨でのことに飽きることなく為した、その共寝の枕のもとから別れた、あの夢路を、また、訪れたいものです。

歌番号一〇四〇
原文 越止己乃止者寸奈利尓个礼者
読下 男の訪はずなりにければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 遠止毛世寸奈利毛由久可奈春々加也万己由天不奈乃美多可久多知徒々
和歌 おともせす なりもゆくかな すすかやま こゆてふなのみ たかくたちつつ
読下 音もせずなりも行くかな鈴鹿山越ゆてふ名のみ高く立ちつつ
解釈 音沙汰も無くなって行くものなのですね、音が鳴る鈴の、その名高い鈴鹿山を越えるような、名だけ(男女関係の噂)が高くたちましたが。

歌番号一〇四一
原文 可部之
読下 返し

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 己衣奴天不奈遠奈宇良美曽寸々可也万以止々満知可久奈良无止於毛不遠
和歌 こえぬてふ なをなうらみそ すすかやま いととまちかく ならむとおもふを
読下 越えぬてふ名をな恨みそ鈴鹿山いとど間近くならんと思ふを
解釈 男女の関係の一線を越えてしまって、名が立ったことを恨まないでください、越えると鈴鹿山が大変に近くになるように、貴女との関係がもっと近くなることを願います。

歌番号一〇四二
原文 於无奈尓毛乃以者无止天幾多利个礼止己止飛止尓毛乃以比
个礼者可部利天
読下 女に物言はんとて来たりけれど、異人に物言ひ
ければ、帰りて

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 和可多女尓加川者徒良之止見也万木乃己利止毛己利奴加々留己比世之
和歌 わかために かつはつらしと みやまきの こりともこりぬ かかるこひせし
読下 我がためにかつはつらしと深山木の樵りとも懲りぬかかる恋せじ
解釈 貴女には他の男が居るのに、でも、私の恋心のために一方では心苦しいと、それが今は判って、深山の木を木こりが樵(こ)るの言葉ではありませんが、貴女へ恋心を持つことに懲りに懲りて、もう、このような恋はしません。

歌番号一〇四三
原文 可部之
読下 返し

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 安不己奈幾三止者志留/\己比寸止天奈計幾己利川武飛止八与幾可八
和歌 あふこなき みとはしるしる こひすとて なけきこりつむ ひとはよきかは
読下 あふごなき身とは知る知る恋すとて嘆きこりつむ人はよきかは
解釈 木の器の蓋がぴったりと合わない、そのような私とは合わない身の上と気が付きながら恋していたと、投げ樵(こ)りの木を積む、その言葉の響きのような、嘆いて恋に懲りた人は、さて、良き人でしょうか。投げ樵(こ)りの木を割って用の立つ薪とする斧(よき)ではありませんし。

コメント
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