竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

後撰和歌集 巻6 歌番号336から340まで

2023年08月31日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻6
歌番号三三六
原文 者川幾乃止宇加安万利以川可乃与
読下 八月十五夜

原文 布知八良乃幾与多々
読下 藤原清正

原文 安幾可世尓以止々布遣由久川幾月可个遠太知奈可久之曽安万乃可者幾利
和歌 あきかせに いととふけゆく つきかけを たちなかくしそ あまのかはきり
読下 秋風にいとど更け行く月影を立ちな隠しそ天の河霧
解釈 秋風によって、一層、更けて行く月影を、立ち上って隠さないでくれ、天の河に立つ河霧よ。

歌番号三三七
原文 衣武幾乃於保武止幾安幾乃宇多女之个礼者多天万川利个留
読下 延喜御時、秋歌召しければ、たてまつりける

原文 川良由幾
読下 貫之(紀貫之)

原文 遠美奈部之尓本部留安幾乃武左之乃者川祢与利毛奈保武川万之幾
和歌 をみなへし にほへるあきの むさしのは つねよりもなほ むつましき
読下 女郎花匂へる秋の武蔵野は常よりもなほむつましきかな
解釈 女郎花が美しく咲くでしょう、その歌に詠われた秋の武蔵野の情景は、ここで見ている女郎花の花よりも一層に親しみを感じるのではないでしょうか。

歌番号三三八
原文 比止尓川可八之个留
読下 人につかはしける

原文 加祢三乃於保幾三
読下 兼覧王

原文 安幾々利乃者留々者宇礼之遠美奈部之多知与留比止也安良无止於毛八
和歌 あききりの はるるはうれし をみなへし たちよるひとや あらむとおもへは
読下 秋霧の晴るるはうれし女郎花立ち寄る人やあらんと思へば
解釈 秋霧が晴れるのはうれしいことです、私の屋敷のこの女郎花を眺めようと立ち寄る人が居るでしょうと思いますので。

歌番号三三九
原文 堂以之良寸
読下 題しらす

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 遠美奈部之久佐武良己止尓武礼多川者多礼万川武之乃己衣尓末与布曽
和歌 をみなへし くさむらことに むれたつは たれまつむしの こゑにまよふそ
読下 女郎花草むらごとに群れ立つは誰れ待つ虫の声にまどふぞ
解釈 女郎花、草むら毎に群れとなって立っているのは、誰を待つと言う名を持つ、松虫の、その野に待っていてと言う声に惑わされたのだろうか。

歌番号三四〇
原文 堂以之良寸
読下 題しらす

原文 与美比止毛
読下 詠み人も

原文 遠三奈部之飛留美天末之遠安幾乃与乃川幾乃飛可利者久毛加久礼川々
和歌 をみなへし ひるみてましを あきのよの つきのひかりは くもかくれつつ
読下 女郎花昼見てましを秋の夜の月の光は雲隠れつつ
解釈 女郎花よ、昼間に眺めて置けばよかった、秋の夜の月の光は雲に隠れてしまったままです。
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後撰和歌集 巻6 歌番号331から335まで

2023年08月30日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻6
歌番号三三一
原文 川幾遠美天
読下 月を見て

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 安幾久礼者於毛布己々呂曽美多礼川々万川毛美知者止知利万佐利个留
和歌 あきくれは おもふこころそ みたれつつ まつもみちはと ちりまさりける
読下 秋来れば思ふ心ぞ乱れつつまづもみぢばと散りまさりける
解釈 秋が来れば物思う気持ちが乱れるままに、まず、松の葉も紅葉した葉として散り増えて行きます。(常にある松の葉も散るように、私の気持ちもはかなく散って行きます。)

歌番号三三二
原文 川幾遠美天
読下 月を見て

原文 布可也不
読下 ふかやふ(清原深養父)

原文 幾衣加部利毛乃於毛布安幾乃己呂毛己曽奈美堂乃可者乃毛美知奈利遣礼
和歌 きえかへり ものおもふあきの ころもこそ なみたのかはの もみちなりけれ
読下 きえかへり物思ふ秋の衣こそ涙の河の紅葉なりけれ
解釈 貴女との共寝の朝の着え帰り、その様子を想う秋に着る衣こそは、別れの悲しみに流す涙の河に流れる紅葉の模様をしているのでしょう。

歌番号三三三
原文 川幾遠美天
読下 月を見て

原文 与美比止之良春
読下 詠み人知らす

原文 布久可世尓布可幾堂乃美乃武奈之久者安幾乃己々呂遠安佐之止於毛者武
和歌 ふくかせに ふかきたのみの むなしくは あきのこころを あさしとおもはむ
読下 吹く風に深き田の実のむなしくは秋の心を浅しと思はむ
解釈 吹く風の中に泥深い田の稔りの刈り取られた跡が寒々しいことを、秋の心を「浅い」、風流ではないとは思いません。

歌番号三三四
原文 川幾遠美天
読下 月を見て

原文 与美比止之良春
読下 詠み人知らす

原文 安幾乃与者比止遠志川女天徒礼/\止加幾奈寸己止乃祢尓曽奈幾奴留
和歌 あきのよは ひとをしつめて つれつれと かきなすことの ねにそなきぬる
読下 秋の夜は人をしづめてつれづれとかきなす琴の音にぞ泣きぬる
解釈 秋の夜は周囲の人を寝沈めて、為すことも無いままに掻き鳴らす琴の音に、ただただ、独り寂しく泣いてしまいます。

歌番号三三五
原文 徒由遠与女留
読下 露をよめる

原文 布知八良乃幾与多々
読下 藤原清正

原文 奴幾止武留安幾之奈个礼者之良川由乃知久佐尓遠个留多麻毛加比奈之
和歌 ぬきとむる あきしなけれは しらつゆの ちくさにおける たまもかひなし
読下 貫きとむる秋しなければ白露の千種に置ける玉もかひなし
解釈 糸を貫いて留どめる秋が来ないのならば、白露の、そのたくさんの色々な葉に置く美しい玉も甲斐も無く散り消えて行きます。

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後撰和歌集 巻6 歌番号326から330まで

2023年08月29日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻6
歌番号三二六
原文 者川幾乃止宇加安万利以川可乃与
読下 八月十五夜

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 川幾可个者於奈之飛可利乃安幾乃与遠和幾天美由留者己々呂奈利个利
和歌 つきかけは おなしひかりの あきのよを わきてみゆるは こころなりけり
読下 月影は同じ光の秋の夜をわきて見ゆるは心なりけり
解釈 毎年の月の輝きは同じ輝きの秋の夜なのですが、特別に漢字て見えるのは、心持ちのせいなのです。

歌番号三二七
原文 川幾遠美天
読下 月を見て

原文 幾乃与之美川乃安曾无
読下 紀淑光朝臣

原文 曽良止遠美安幾也与久良无比佐可多乃川幾乃可川良乃以呂毛加者良奴
和歌 そらとほみ あきやよくらむ ひさかたの つきのかつらの いろもかはらぬ
読下 空遠み秋やよくらん久方の月の桂の色も変らぬ
解釈 空が天高く遠く見える秋ですが、月を避けているのでしょうか、遥か彼方の月に生える桂の色は黄金に輝くだけで紅葉することもなく変りません。

歌番号三二八
原文 川幾遠美天
読下 月を見て

原文 川良由幾
読下 つらゆき(紀貫之)

原文 己呂毛天者佐武久毛安良祢止川幾可个遠多万良奴安幾乃由幾止己曽美礼
和歌 ころもては さむくもあらねと つきかけを たまらぬあきの ゆきとこそみれ
読下 衣手は寒くもあらねど月影をたまらぬ秋の雪とこそ見れ
解釈 衣の袖口は寒くはありませんが、月の白い輝きを積もり貯まらぬ秋の雪とばかりに見ています。

歌番号三二九
原文 川幾遠美天
読下 月を見て

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 安満乃可者志可良美加个天止々女奈武安可寸奈可留々川幾也与止武止
和歌 あまのかは しからみかけて ととめなむ あかすなかるる つきやよとむと
読下 天の河しがらみかけてとどめなんあかず流るる月やよどむと
解釈 天の河にしがらみを仕掛けて留めてみたいものです。もっと眺めていたいのに天の河を流れ行く月の、その流れが淀むと願って。

歌番号三三〇
原文 川幾遠美天
読下 月を見て

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 安幾尓奈美也堂川良无安満乃可和々多留世毛奈久川幾乃奈可留々
和歌 あきかせに なみやたつらむ あまのかは わたるせもなく つきのなかるる
読下 秋風に浪や立つらん天の河渡る瀬もなく月の流るる
解釈 秋風に浪が立つでしょう、その天の河に渡る瀬も無く、ただ、月が流れて行きます。

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後撰和歌集 巻6 歌番号321から325まで

2023年08月28日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻6
歌番号三二一
原文 安幾乃宇多止天与免留
読下 秋歌とてよめる

原文 遠乃々与之幾
読下 小野美材

原文 安幾乃以个乃川幾乃宇部尓己久布祢奈礼者可川良乃衣多尓左本也左八良无
和歌 あきのいけの つきのうへにこく ふねなれは かつらのえたに さをやさはらむ
読下 秋の池の月の上に漕ぐ舟なれば桂の枝に棹や障らん
解釈 秋の池の水面に姿を映す月の上に漕ぐ舟ならば、あの伝説の月に生える桂の枝に舟漕ぐ棹が触るでしょう。

歌番号三二二
原文 安幾乃宇多止天与免留
読下 秋歌とてよめる

原文 布可也不
読下 ふかやふ(清原深養父)

原文 安幾乃宇美尓宇川礼留川幾遠多知加部利奈三者安良部止以呂毛加者良寸
和歌 あきのうみに うつれるつきを たちかへり なみはあらへと いろもかはらす
読下 秋の海にうつれる月を立ち返り浪は洗へど色も変らず
解釈 秋の海の水面に姿を映す月を、何度も寄せ立ち返して浪は洗うけれど、色も形も変りません。

歌番号三二三
原文 己礼佐多乃美己乃以部乃宇多安和世尓
読下 是貞親王の家の歌合に

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 安幾乃与乃川幾乃飛可利者幾与个礼止比止乃己々呂乃久満者天良佐春
和歌 あきのよの つきのひかりは きよけれと ひとのこころの くまはてらさす
読下 秋の夜の月の光は清けれど人の心の隈は照らさず
解釈 秋の夜の月の光は清いのですが、でも、私があの人に想いを寄せる、その人の心の隅までは、はっきり気が付くほどには照らしません。

歌番号三二四
原文 己礼佐多乃美己乃以部乃宇多安和世尓
読下 是貞親王の家の歌合に

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 安幾乃川幾川祢尓加久天留者乃奈良八也美尓布留美者末之良佐良末之
和歌 あきのつき つねにかくてる ものならは やみにふるみは ましらさらまし
読下 秋の月常にかく照る物ならば闇にふる身はまじらざらまし
解釈 秋の月が常にこのように照るものでしたら、光の当たらぬ闇に時を過ごして身を古くする、この我が身はそこに加わらないことはなかったでしょう。

歌番号三二五
原文 者川幾乃止宇加安万利以川可乃与
読下 八月十五夜

原文 布知八良乃万左多々
読下 藤原雅正

原文 伊川止天毛川幾美奴安幾者奈幾者乃遠和幾天己与比乃女川良之幾可奈
和歌 いつとても つきみぬあきは なきものを わきてこよひの めつらしきかな
読下 いつとても月見ぬ秋はなき物をわきて今宵のめつらしきかな
解釈 いつの年でも、月を見ない秋はないものだけど、特別に今宵の月は素晴らしいものです。

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後撰和歌集 巻6 歌番号316から320まで

2023年08月25日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻6
歌番号三一六
原文 安幾乃宇多止天与免留
読下 秋歌とてよめる

原文 川良由幾
読下 つらゆき(紀貫之)

原文 安幾乃乃々久左毛和遣奴遠和可曽天乃者乃於毛布奈部尓川由个可留良无
和歌 あきののの くさもわけぬを わかそての ものおもふなへに つゆけかるらむ
読下 秋の野の草もわけぬを我が袖の物思ふなへに露けかるらん
解釈 秋の野の草を別けて小路を歩いたわけでもないのに、私の袖は物思いをするたびに、流す涙を拭い露けくなるようです。

歌番号三一七
原文 安幾乃宇多止天与免留
読下 秋歌とてよめる

原文 布可也不
読下 ふかやふ(清原深養父)

原文 以久世部天乃知可和寸礼无知利奴部幾乃部乃安幾者幾美可久川幾与遠
和歌 いくよへて のちかわすれむ ちりぬへき のへのあきはき みかくつきよを
読下 いく世へてのちか忘れん散りぬべき野辺の秋萩みがく月夜を
解釈 幾世を経た後にあっても忘れません、散ってしまいそうな野辺の秋萩を研ぎ澄ますこの月夜を。

歌番号三一八
原文 安幾乃宇多止天与免留
読下 秋歌とてよめる

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 安幾乃与乃川幾乃可个己曽己乃万与利於知者己呂毛止三尓宇川利个礼
和歌 あきのよの つきのかけこそ このまより おちはころもと みにうつりけれ
読下 秋の夜の月の影こそ木の間より落ちば衣と身に移りけれ
解釈 秋の夜のこの月の輝きだから、木の間より降り落ちてくれば、その輝きは落ち葉のような私の衣と体に遷り映えました。

歌番号三一九
原文 安幾乃宇多止天与免留
読下 秋歌とてよめる

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 曽天尓宇川留川幾乃飛可利者安幾己止尓己与比加八良奴可个止美衣川々
和歌 そてにうつる つきのひかりは あきことに こよひかはらぬ かけとみえつつ
読下 袖にうつる月の光は秋ごとに今宵変らぬ影と見えつつ
解釈 袖に映える月の光は毎年の秋になるたびに、今年の今宵も変らない輝きだと見えています。

歌番号三二〇
原文 安幾乃宇多止天与免留
読下 秋歌とてよめる

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らす

原文 安幾乃与乃川幾尓加左奈留久毛八礼天飛可利左也可尓美留与之毛可奈
和歌 あきのよの つきにかさなる くもはれて ひかりさやかに みるよしもかな
読下 秋の夜の月に重なる雲晴れて光さやかに見るよしもがな
解釈 秋の夜の月に重なる雲が取れ晴れて、光が清らかに見えるようになって欲しいものです。

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