歌番号三三六
原文 者川幾乃止宇加安万利以川可乃与
読下 八月十五夜
原文 布知八良乃幾与多々
読下 藤原清正
原文 安幾可世尓以止々布遣由久川幾月可个遠太知奈可久之曽安万乃可者幾利
和歌 あきかせに いととふけゆく つきかけを たちなかくしそ あまのかはきり
読下 秋風にいとど更け行く月影を立ちな隠しそ天の河霧
解釈 秋風によって、一層、更けて行く月影を、立ち上って隠さないでくれ、天の河に立つ河霧よ。
歌番号三三七
原文 衣武幾乃於保武止幾安幾乃宇多女之个礼者多天万川利个留
読下 延喜御時、秋歌召しければ、たてまつりける
原文 川良由幾
読下 貫之(紀貫之)
原文 遠美奈部之尓本部留安幾乃武左之乃者川祢与利毛奈保武川万之幾
和歌 をみなへし にほへるあきの むさしのは つねよりもなほ むつましき
読下 女郎花匂へる秋の武蔵野は常よりもなほむつましきかな
解釈 女郎花が美しく咲くでしょう、その歌に詠われた秋の武蔵野の情景は、ここで見ている女郎花の花よりも一層に親しみを感じるのではないでしょうか。
歌番号三三八
原文 比止尓川可八之个留
読下 人につかはしける
原文 加祢三乃於保幾三
読下 兼覧王
原文 安幾々利乃者留々者宇礼之遠美奈部之多知与留比止也安良无止於毛八
和歌 あききりの はるるはうれし をみなへし たちよるひとや あらむとおもへは
読下 秋霧の晴るるはうれし女郎花立ち寄る人やあらんと思へば
解釈 秋霧が晴れるのはうれしいことです、私の屋敷のこの女郎花を眺めようと立ち寄る人が居るでしょうと思いますので。
歌番号三三九
原文 堂以之良寸
読下 題しらす
原文 与美比止毛
読下 詠み人も
原文 遠美奈部之久佐武良己止尓武礼多川者多礼万川武之乃己衣尓末与布曽
和歌 をみなへし くさむらことに むれたつは たれまつむしの こゑにまよふそ
読下 女郎花草むらごとに群れ立つは誰れ待つ虫の声にまどふぞ
解釈 女郎花、草むら毎に群れとなって立っているのは、誰を待つと言う名を持つ、松虫の、その野に待っていてと言う声に惑わされたのだろうか。
歌番号三四〇
原文 堂以之良寸
読下 題しらす
原文 与美比止毛
読下 詠み人も
原文 遠三奈部之飛留美天末之遠安幾乃与乃川幾乃飛可利者久毛加久礼川々
和歌 をみなへし ひるみてましを あきのよの つきのひかりは くもかくれつつ
読下 女郎花昼見てましを秋の夜の月の光は雲隠れつつ
解釈 女郎花よ、昼間に眺めて置けばよかった、秋の夜の月の光は雲に隠れてしまったままです。
原文 者川幾乃止宇加安万利以川可乃与
読下 八月十五夜
原文 布知八良乃幾与多々
読下 藤原清正
原文 安幾可世尓以止々布遣由久川幾月可个遠太知奈可久之曽安万乃可者幾利
和歌 あきかせに いととふけゆく つきかけを たちなかくしそ あまのかはきり
読下 秋風にいとど更け行く月影を立ちな隠しそ天の河霧
解釈 秋風によって、一層、更けて行く月影を、立ち上って隠さないでくれ、天の河に立つ河霧よ。
歌番号三三七
原文 衣武幾乃於保武止幾安幾乃宇多女之个礼者多天万川利个留
読下 延喜御時、秋歌召しければ、たてまつりける
原文 川良由幾
読下 貫之(紀貫之)
原文 遠美奈部之尓本部留安幾乃武左之乃者川祢与利毛奈保武川万之幾
和歌 をみなへし にほへるあきの むさしのは つねよりもなほ むつましき
読下 女郎花匂へる秋の武蔵野は常よりもなほむつましきかな
解釈 女郎花が美しく咲くでしょう、その歌に詠われた秋の武蔵野の情景は、ここで見ている女郎花の花よりも一層に親しみを感じるのではないでしょうか。
歌番号三三八
原文 比止尓川可八之个留
読下 人につかはしける
原文 加祢三乃於保幾三
読下 兼覧王
原文 安幾々利乃者留々者宇礼之遠美奈部之多知与留比止也安良无止於毛八
和歌 あききりの はるるはうれし をみなへし たちよるひとや あらむとおもへは
読下 秋霧の晴るるはうれし女郎花立ち寄る人やあらんと思へば
解釈 秋霧が晴れるのはうれしいことです、私の屋敷のこの女郎花を眺めようと立ち寄る人が居るでしょうと思いますので。
歌番号三三九
原文 堂以之良寸
読下 題しらす
原文 与美比止毛
読下 詠み人も
原文 遠美奈部之久佐武良己止尓武礼多川者多礼万川武之乃己衣尓末与布曽
和歌 をみなへし くさむらことに むれたつは たれまつむしの こゑにまよふそ
読下 女郎花草むらごとに群れ立つは誰れ待つ虫の声にまどふぞ
解釈 女郎花、草むら毎に群れとなって立っているのは、誰を待つと言う名を持つ、松虫の、その野に待っていてと言う声に惑わされたのだろうか。
歌番号三四〇
原文 堂以之良寸
読下 題しらす
原文 与美比止毛
読下 詠み人も
原文 遠三奈部之飛留美天末之遠安幾乃与乃川幾乃飛可利者久毛加久礼川々
和歌 をみなへし ひるみてましを あきのよの つきのひかりは くもかくれつつ
読下 女郎花昼見てましを秋の夜の月の光は雲隠れつつ
解釈 女郎花よ、昼間に眺めて置けばよかった、秋の夜の月の光は雲に隠れてしまったままです。