集歌2906 他國尓 結婚尓行而 大刀之緒毛 未解者 左夜曽明家流
訓読 他国(ひとくに)に結婚(よばひ)に行きて大刀(たち)し緒もいまだ解(と)かねばさ夜(よ)ぞ明けにける
私訳 他国に娘を求婚に行って、(その娘と同衾するために)太刀を腰に添う紐の緒も未だに解かないのに、夜が明けてしまった。
集歌2907 大夫之 聴神毛 今者無 戀之奴尓 吾者可死
訓読 大夫(ますらを)し聴(きき)し心も今は無み恋し奴(やつこ)に吾は死ぬべし
私訳 人に立派な男子と呼ばれるのを聴いた、その身も心も、今はありません。貴女への恋の奴隷として、私は死ぬでしょう。
集歌2908 常如是 戀者辛苦 暫毛 心安目六 事計為与
訓読 常(つね)かくし恋(こ)ふれば苦し暫(しまし)くも心休めむ事(こと)計(はか)りせよ
私訳 いつもこのように恋をしていると心が切ない。しばらくの間だけでも気持ちを静めたい。何か、恋心を静めるような手立てを考えてください。
集歌2909 凡尓 吾之念者 人妻尓 有云妹尓 戀管有米也
訓読 おほろかに吾し思はば人妻にありといふ妹に恋ひつつあらめや
私訳 いい加減に私が貴女を恋い焦がれているならば、貴女は「貴方の自由にならない女よ」と云う、そんな貴女に恋い焦がれるでしょうか。
注意 原文の「人妻」は、知識階級は妻問い婚であるとの時代認識を前提として、「他の特定の男と一家を持つ女」の意味合いではなく、「私」と「人」との関係での「貴方と一家を持たない女=貴方の思い通りにならない女」と解釈しています。
集歌2910 心者 千重百重 思有杼 人目乎多見 妹尓不相可母
訓読 心には千重(ちへ)し百重(ももへ)し思へれど人目を多(おほ)み妹に逢はぬかも
私訳 心の底には、貴女を千重にも百重にも恋い慕うが、人目が多いので、それで愛しい貴女に逢えないのでしょう。
訓読 他国(ひとくに)に結婚(よばひ)に行きて大刀(たち)し緒もいまだ解(と)かねばさ夜(よ)ぞ明けにける
私訳 他国に娘を求婚に行って、(その娘と同衾するために)太刀を腰に添う紐の緒も未だに解かないのに、夜が明けてしまった。
集歌2907 大夫之 聴神毛 今者無 戀之奴尓 吾者可死
訓読 大夫(ますらを)し聴(きき)し心も今は無み恋し奴(やつこ)に吾は死ぬべし
私訳 人に立派な男子と呼ばれるのを聴いた、その身も心も、今はありません。貴女への恋の奴隷として、私は死ぬでしょう。
集歌2908 常如是 戀者辛苦 暫毛 心安目六 事計為与
訓読 常(つね)かくし恋(こ)ふれば苦し暫(しまし)くも心休めむ事(こと)計(はか)りせよ
私訳 いつもこのように恋をしていると心が切ない。しばらくの間だけでも気持ちを静めたい。何か、恋心を静めるような手立てを考えてください。
集歌2909 凡尓 吾之念者 人妻尓 有云妹尓 戀管有米也
訓読 おほろかに吾し思はば人妻にありといふ妹に恋ひつつあらめや
私訳 いい加減に私が貴女を恋い焦がれているならば、貴女は「貴方の自由にならない女よ」と云う、そんな貴女に恋い焦がれるでしょうか。
注意 原文の「人妻」は、知識階級は妻問い婚であるとの時代認識を前提として、「他の特定の男と一家を持つ女」の意味合いではなく、「私」と「人」との関係での「貴方と一家を持たない女=貴方の思い通りにならない女」と解釈しています。
集歌2910 心者 千重百重 思有杼 人目乎多見 妹尓不相可母
訓読 心には千重(ちへ)し百重(ももへ)し思へれど人目を多(おほ)み妹に逢はぬかも
私訳 心の底には、貴女を千重にも百重にも恋い慕うが、人目が多いので、それで愛しい貴女に逢えないのでしょう。