竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

今日のみそひと謌 火曜日

2013年04月30日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと謌 火曜日

集歌1106 河豆鳴 清川原乎 今日見而者 何時可越来而 見乍偲食
訓読 かはづ鳴く清(きよ)き川原を今日(けふ)見(み)にはいつか越え来て見つつ偲(しの)はむ
私訳 カジカ蛙の鳴く清らかな川原を今日眺めたからには、さて、今度はいつ山を越えて来てこの景色を眺めながら愛でましょうか。

集歌1107 泊瀬川 白木綿花尓 堕多藝都 瀬清跡 見尓来之吾乎
訓読 泊瀬川(はつせかは)白木綿(しらゆふ)花に落ち激(たぎ)つ瀬し清(さや)けしと見に来(こ)し吾を
私訳 泊瀬川に白い木綿の花が落ちたようなしぶきをあげる激流を「清らかだ」と云うので、眺めにやって来た私です。

集歌1108 泊瀬川 流水尾之 湍乎早 井提越浪之 音之清久
訓読 泊瀬川(はつせかは)流るる水脈(みを)し瀬を早みゐで越す浪し音し清(さや)けく
私訳 泊瀬川の流れる水筋の瀬が急流なので、堰き止める井堤を越す水浪の音が清らかです。

集歌1109 佐檜乃熊 檜隅川之 瀬乎早 君之手取者 将縁言毳
訓読 さ檜(ひ)の隈(くま)檜隈(ひのくま)川し瀬を早み君し手取らば言(こと)寄せむかも
私訳 檜の隈を流れる檜隈川の瀬が早いので、貴方の手にすがったら、貴方は私に愛の誓いをよせるでしょうか。

集歌1110 湯種蒔 荒木之小田矣 求跡 足結出所沾 此水之湍尓
訓読 湯種(ゆたね)蒔く新墾(あらき)し小田(おた)を求めむと足結(あゆ)ひ出(い)でそ濡(ぬ)るこの川し瀬に
私訳 湯に漬け選別した稲種を蒔く、その新しく開墾する小さな田を探そうと、足結いをして家を出て来たのに、その足結いが濡れてしまった。この川の早い瀬に。

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今日のみそひと歌 月曜日

2013年04月29日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 月曜日

集歌181 御立為之 嶋之荒礒乎 今見者 不生有之草 生尓来鴨
訓読 み立たしし島し荒礒(ありそ)を今見れば生(お)ひざりし草(かや)生(お)ひにけるかも
私訳 御方が御出立ちなされた嶋の荒磯を今見ると、生えていなかった草が生えて来た。

集歌182 鳥垣立 飼之鴈乃兒 栖立者 檀岡尓 飛反来年
訓読 塒(とくら)立て飼ひし雁の子巣立ちなば真弓し岡に飛び帰り来ね
私訳 鳥小屋を立てて飼う雁の雛が巣立ったならば、真弓の岡に飛び帰って来い。

集歌183 吾御門 千代常登婆尓 将榮等 念而有之 吾志悲毛
訓読 吾が御門千代(ちよ)永久(とことは)に栄えむと念(おも)ひにありし吾し悲しも
私訳 わが皇子がおいでになる宮が千代に永遠に栄えるだろうと想いも持っていた私には、それは大変に悲しいことだ。

集歌184 東乃 多藝能御門尓 雖伺侍 昨日毛今日毛 召言毛無
訓読 東(ひむがし)の滝(たぎ)の御門に伺侍(さもら)へど昨日(きのふ)も今日(けふ)も召す言(こと)も無し
私訳 東の多芸の御門に伺候しているが、昨日も今日もお召しの言葉が無い。

集歌185 水傳 礒乃浦廻乃 石乍自 木丘開道乎 又将見鴨
訓読 水(みな)伝ふ礒の浦廻(うらみ)の磯(いそ)つつじ茂(も)く開(さ)く道をまたも見むかも
私訳 水が伝い流れる池にある磯の岸辺の磯つつじがいっぱいに咲いている道を、再び、見るでしょうか。

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柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌 20

2013年04月28日 | 柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集
柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌

集歌2415 處女等乎 袖振山 水垣 久時由 念来吾等者
訓読 処女(をとめ)らを袖(そで)布留山(ふるやま)し瑞垣(みづかき)し久しき時ゆ思ひけり吾は
私訳 母親と共に住む乙女たちが神寄せの袖を振る布留山の瑞垣の久しい時よ。昔を思い出したよ。私は。

集歌2416 千早振 神持在 命 誰為 長欲為
訓読 ちはやぶる神し持たせる命をば誰がためにかも長く欲(ほ)りせむ
私訳 岩戸を開いて現われた神が授けたこの私の命を、誰のためにこのように長く久しくありたいと願いましょうか。

集歌2417 石上 振神杉 神成 戀我 更為鴨
訓読 石上(いそのかみ)布留(ふる)神杉(かむすぎ)し神さぶる恋をも我(われ)し更(さら)にするかも
私訳 石上の神の坐ます布留山の神杉。その神が祝福する恋を私は猶一層にするでしょう。

集歌2418 何 名負神 幣饗奉者 吾念妹 夢谷見
訓読 如何(いか)ならむ名し負(を)ふ神し手向(たむけ)けせば吾(わ)が思(も)ふ妹(いも)し夢しだに見む
私訳 何という名前の神様に祈ると、私が恋い慕う貴女を夢の中だけでも逢えるのでしょうか。

集歌2419 天地 言名絶 有 汝吾 相事止
訓読 天地(あまつち)し言ふ名し絶えてあらばこそ汝(いまし)と吾(われ)し逢ふことやまめ
私訳 天地と言う名前の世界が無くなってしまったならば、貴女と私とがこのように逢うことも無くなるでしょう。

集歌2420 月見 國同 山隔 愛妹 隔有鴨
訓読 月見れば国し同じし山(やま)隔(へ)なり愛(うつく)し妹し隔(へ)なりたるかも
私訳 月を見るとお互いに住む国は一緒ですが、山が隔てているので愛しい貴女はその山の向こうに隔てられている。

集歌2421 参路者 石蹈山 無鴨 吾待公 馬爪盡 (参は、糸+翏の当字)
訓読 参(まつ)る路(じ)は岩踏む山しなくもがも吾(われ)し待つ君(きみ)馬(むま)し躓(つまづ)くに
私訳 貴方がやって来る路は岩だらけの山がなければよいのですが、私が待つ貴方の馬が躓いてしまう。

集歌2422 石根蹈 重成山 雖不有 不相日數 戀度鴨
訓読 岩根踏みへなれる山しあらねども逢はぬ日まねみ恋ひわたるかも
私訳 岩道を踏み岩の重なるような険しい山は無いのですが、貴女に会わないが日が多いので逢うことが恋しくなっています。

集歌2423 路後 深津嶋山 暫 君目不見 苦有
訓読 道し後(しり)深津(ふかつ)島山(しまやま)暫(しまし)くも君し目見ずば苦しかりけり
私訳 近江路の奥に湊がある島のような高島の山。その言葉のひびきではありませんが、少しの間も、貴方と直接会っていないと心苦しいものです。

集歌2424 紐鏡 能登香山 誰故 君来座在 紐不開寐
訓読 紐鏡(ひもかがみ)能登香(のとか)し山し誰がゆゑし君来ませるに紐解(と)かず寝(ね)む
私訳 紐を通して吊るして懸ける真澄鏡。その紐を「莫解か(なとくか)」と云う言葉のひびきのような、能登川の香しい高円山よ。誰のためでしょうか。鏡の中に貴方の姿が見えるのに、契りの衣の紐を解かずに今日は独りで寝ましょう。

集歌2425 山科 強田山 馬雖在 歩吾来 汝念不得
訓読 山科(やましな)し木幡(こはた)し山し馬あれど歩(かち)より吾(わ)が来(こ)し汝(な)し思(も)ひかねて
私訳 近江路の山科の木幡の山を馬も越えると云うが徒歩で私は来ました。貴女を慕うだけでは逢えないので。

集歌2426 遠山 霞被 益遠 妹目不見 吾戀
訓読 遠山(とほやま)し霞おふひていや遠(とほ)し妹し目見ずば吾(われ)恋ひにけり
私訳 遠くの山波に霞が懸かって、景色がおぼろげに遥かに遠いと思う。そのように関係が遠のき、貴女と直接に逢えないと。私は一層貴女に恋い焦がれます。

集歌2427 是川 瀬ゞ敷浪 布ゞ 妹心 乗在鴨
訓読 この川し瀬々(せせ)ししき波しくしくし妹し心し乗りしけるかも
私訳 この川の瀬々に立つ折り重なるような波が、布が波打つように貴女への気持ちは私の心の中に乗り被さったようです。
注意 原文の「是川」を「うぢかは」と訓むものもありますが、これは集歌2427の歌から集歌2430の歌までの四首が、同時に詠われたとの推定の下に集歌2428の歌の「宇治度」の表記からの推定に因ります。ここでは原文のままに訓んでいます。

集歌2428 千早人 宇治度 速瀬 不相有 後我孋
訓読 ちはや人宇治し渡りし瀬し早み逢はずこそあれ後(のち)し我(あ)が孋(つま)
私訳 勇壮な物部の八十氏の、その宇治川の渡りの瀬の流れが速いので、渡ることが出来なくてこの度は逢えないのですが、これからも貴女は私の妻です。

集歌2429 早敷哉 不相子故 徒 是川瀬 裳欄潤
訓読 愛(は)しきやし逢はぬ子ゆゑしいたづらしこの川し瀬し裳裾(もすそ)濡らしつ
私訳 ああ、いおしい。逢えない立派な貴方のために、空しくこの川の瀬に私の裳の裾を濡らしました。
注意 原文の「不相子故」と「裳欄潤」とで表記される「子」と「裳」の字で、男歌か、女歌かの議論があります。ここでは「子」を女性と限定する必要が無い立場で訓んでいます。

集歌2430 是川 水阿和逆纏 行水 事不反 思始為
訓読 この川し水泡(みなは)逆巻(さかま)き行く水し事(こと)し反(かへ)らず思ひ始(そ)めてし
私訳 この川の激しい流れで水泡が逆巻いて流れて行く、その流れが元に戻ることがないような、そのような恋心を私は貴女に持ち始めました。

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今日のみそひと歌 金曜日

2013年04月26日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 金曜日

集歌3755 宇流波之等 安我毛布伊毛乎 山川乎 奈可尓敝奈里弖 夜須家久毛奈之
訓読 愛(うるは)しと吾(あ)が思ふ妹を山川を中(なか)に隔(へな)りて安けくもなし
私訳 愛しいと私が思う貴方(万葉集)を山や川を間に挟んで京から遠く隔たっていると、気が休まりません。

集歌3756 牟可比為弖 一日毛於知受 見之可杼母 伊等波奴伊毛乎 都奇和多流麻弖
訓読 向ひ居て一日(ひとひ)もおちず見しかども厭(いと)はぬ妹を月わたるまで
私訳 向かい合って一日も欠かさずに見ていても厭になることがない貴方(万葉集)を、幾月も渡ってしまうまで見ることが出来なくなって。

集歌3757 安我未許曽 世伎夜麻故要弖 許己尓安良米 許己呂波伊毛尓 与里尓之母能乎
訓読 吾(あ)が身こそ関山越えてここにあらめ心は妹に寄りにしものを
私訳 私の体だけは貴方(万葉集)から離れて関所や山を越えてここにあるが、私の気持ちは貴方(万葉集)に寄り添っているのだけど。

集歌3758 佐須太氣能 大宮人者 伊麻毛可母 比等奈夫理能未 許能美多流良武
訓読 さす竹(たき)の大宮人は今もかも人なふりのみ好みたるらむ
私訳 力強く成長する竹のように発展する京の高貴な人達は、今でも漢詩や仏典の流行だけを好んでいるのでしょうか。

集歌3759 多知可敝里 奈氣杼毛安礼波 之流思奈美 於毛比和夫礼弖 奴流欲之曽於保伎
訓読 たちかへり泣けども吾(あ)れは験(しるし)なみ思ひわぶれて寝(ぬ)る夜しぞ多き
私訳 繰り返し泣いているけど私には貴方(万葉集)を見ることの出来る実感がなくて、思い悲しんで寝る夜が多いことです。
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今日のみそひと歌 木曜日

2013年04月25日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 木曜日

集歌2833 葦鴨之 多集池水 雖溢 儲溝方尓 吾将越八方
訓読 葦(あし)鴨(かも)し多集(すだ)く池水(いけみず)溢(はふ)るとも儲(まけ)溝(みぞ)し方(へ)に吾(あれ)越えめやも
私訳 葦鴨がたくさん集まる池の水が溢れても、最初から掘られた溝の方に水が流されることないように、私は親が決めたようにはしません。

集歌2834 日本之 室原乃毛桃 本繁 言大王物乎 不成不止
試訓 日本(ひのもと)し室原(むろふ)の毛(け)桃(もも)本(もと)繁(しげ)し言ふ大王(きみ)ものを成らずは止(や)まじ
試訳 大和の室生にある桃の木が枝を張り生い茂っていると語る大王の桃の実がりっぱに実が成らないことはありません。(大王が室生の乙女は美人になると語るのだから、きっと、美人になる)

集歌2835 真葛延 小野之淺茅乎 自心毛 人引目八面 吾莫名國
訓読 真葛(まふぢ)延(は)ふ小野し浅茅(あさぢ)を心ゆも人引かめやも吾(あ)がなけなくに
私訳 立派な藤蔓が延びる小野の浅茅(貴女)を、本気になって人が引き抜く(身を許す)ことがあるでしょうか。私がいないわけではないのだから。

集歌2836 三嶋菅 未苗在 時待者 不著也将成 三嶋菅笠
訓読 三島(みしま)菅(すげ)いまだ苗なり時待たば着(き)ずやなりなむ三島(みしま)菅(すが)笠(かさ)
私訳 三島の菅草(=未成年の女)は未だに苗です。だからといって、時が経つと、菅笠(=成人の女)として身に着つける訳でもない。三島の菅笠。

集歌2837 三吉野之 水具麻我菅乎 不編尓 苅耳苅而 将乱跡也
訓読 み吉野し水隈(みくま)が菅を編(あ)まなくに刈りのみ刈りに乱(みだ)りてむとや
私訳 美しい吉野の水隈に生える菅を菅笠に編む訳でもないのに、ただ、刈るだけ刈って、後は散らし乱すだけなのですか。(若い娘を抱くだけ抱いて、捨て去るのですか)

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