隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0333.恐怖の化粧箱

2003年01月29日 | アンソロジー
恐怖の化粧箱
女性ミステリー作家傑作選2
読了日 2003/1/29
編 者 山前譲
出版社 光文社
形 態 文庫
ページ数 381
発行日 1999/10/20
ISBN 4-334-72898-7

 

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順序は違ったが、本書で女性ミステリー作家傑作選3分冊をすべて読み終わった。

過去の絵近藤史恵 恋愛(失恋)ミステリー?近藤作品を評して、何人かの人が、”痛い”という表現をしていたが、勿論全部ではないが、この作品などはその表現が当てはまるのではないか、と思った。タイトルが示すとおり絵画の話。芸術は感性の問題?

花のもとにて斉藤澪 第1回横溝正史賞を受賞した「この子の七つのお祝いに」(131.参照)以外は、この作者の話は読んだことがないが、この短編を読んで、うまい!という感じがした。京都の老舗割烹旅館の庭を見るために訪れた主人公と、旅館のオーナーの妹という女性の会話が、途中まで誠に穏やかに進む。京言葉で話す旅館の女のセリフが心地よい響きだ。天然記念物のニドザクラという桜がもとで、主人公を二十年以上も昔に返らせる話が切なく怖い。

やどかり篠田節子 実地研修で自治体の施設・教育センターに配属された若い男が、青少年相談係の退職した元校長の女性と家庭訪問をする。そこの小学生の男児が本屋で万引きをした件で母親に会いに行ったのだが、中学生の姉が、母親は仕事に出ているという。父親は2-3年前に女と共に失踪し、母親は日がなパチンコに言っているのが実情らしい。男は来年高校受験だというその姉に勉強を教えることになるのだが・・・・。
蟻地獄に落ちる怖さを描く。

プレゼント永井するみ 先輩スチュワーデスの遠倉麻子は、若く要領のいい後輩スチュワーデスの堀香奈子が外科医と婚約したらしいのに機長と中の良い現場を見かける。香奈子を困らせようと彼女のクレジットカードを盗み、高い買い物をするのだが・・・・。

怖くて、切なくて、滑稽な、女・おんな・オンナ・・・・。

 

初出一覧
# タイトル 著者 紙誌名 発行月
1 過去の絵 近藤史恵 創元推理 平成6年7月
2 花のもとにて 斉藤澪 作品社 昭和58年10月
3 やどかり 篠田節子 別冊小説宝石 平成6年9月
4 貴船菊の白 柴田よしき 週刊小説 平成8年10月
5 ある老婆の死 新章文子 宝石 昭和34年7月
6 殺意の花 関口芙沙恵 小説宝石 平成3年10月
7 黒のステージ 戸川昌子 美しい女性 昭和37年12月
8 プレゼント 永井するみ 小説宝石 平成9年1月
8 暁はもう来ない 夏樹静子 小説現代 昭和45年7月
8 悪女昇天 南部樹未子 宝石 昭和36年12月

 


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