隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1629.黒猫の約束あるいは遡行未来

2016年05月20日 | 安楽椅子探偵
黒猫の約束あるいは遡行未来
読了日 2016/05/20
著 者 森晶麿
出版社 早川書房
形 態 単行本
ページ数 289
発行日 2012/05/25
ISBN 978-4-15-209297-7

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

昨日18日から今日までの3日間、心臓のカテーテル検査のための入院をしていた。4月末にもここに書いたが、冠動脈の狭窄による心筋症の疑いがあるということでの、検査だった。
病院の5階の4人部屋はいずれも同様の検査を受ける人たちで、看護師が次々ときて検査を受けるにあたっての説明や注意を行っていった。僕の検査は翌日の19日の午前中だということで、当日の朝は食事抜きだった。術衣に着替えて7時ごろから点滴が始まり、実際のカテーテル検査は10時半ごろから始まった。
手術台に仰向けに横たわって、 まず右手首の数か所に麻酔を打たれるが、これが嫌な痛さで10数年前にもこうだったかなと思ったが、もちろんそんなことは忘れてしまっている。 手首からカテーテルを挿入されると、それが心臓付近に差し掛かった時に、わずかに感覚でそれがわかり、ザワザワと言う気分になるがすぐに慣れて収まる。前のときはどうだったかは忘れたが、今回は造影剤を入れて、角度を変えながら何枚かの映像を撮ったようだ。

 

 

その結果数か所で血管の細くなっていることが認められるが、その中で1カ所だけ治療を必要とするところがあったのだ。その個所に金属のパイプを入れて血液の流れをよくするということだ。
そうした施術を行って、今の状態が治れば良いのだが・・・・。僕は病院や医師に関しては100%の信頼を置いているから、ドクターの言うことを聞いて、施術を行うことに同意する。再び24日に入院して、25日に実施するという。今度は手術なので、当日は家族の立ち合いが必要とのことで、娘に行ってもらうことにした。
どうもこのところいろいろと病院と縁が切れなくて困ったものだ。

 

 

じ作家の鹿もシリーズ作品を続けて読むことなどめったにあることではない。しかし、本書と前回の書は図書館で借りたものだから、期日までに返す必要があるのでこのようなことになった。
僕は「東京バンドワゴン」のような古き良き時代を思わせる小路幸也氏の世界も好きだが、本シリーズの大学の研究室やキャンパスを思わせる雰囲気も好きだ。いや、僕は大学に行ってないから憧れがあるのかもしれない。実は経済的な事情が許せば、今からだって大学に入りたいくらいなのだ。
まあ兎にも角にも、僕はところどころでユーモアを発揮して、「アハハ」と僕に声を出させて笑わせる黒猫のシニカルで洒落た会話と、知識欲を満たしてくれるようなストーリーの、このシリーズが好きなのだ。

 

 

今回はシリーズ第5作なのだが、前回の第2作で海外に飛ぶことになった黒猫の印象が残っていて、イタリアにいる黒猫に何の違和感も感じずに、連続ドラマを見ているような感覚だ。
彼が若くして教授になった元を作ったといえるラテスト教授の依頼を受けて、著名な建築家ガラバーニの未完の遺作である「遡行する塔」の調査がストーリーの中核である。
しかし、黒猫と呼ばれる主人公の若き大学教授の、安楽椅子探偵ともいえる名推理はいつもながらの華麗な論理の展開を見せて、関係者を「アッ!」と言わせるのだ。登場人物の魅力や黒猫とその付き人とのロマンスの成り行きを気にしながらシリーズ作も5作目となった。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿