ガーデン | ||
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読了日 | 2003/5/17 | |
著 者 | 近藤史恵 | |
出版社 | 東京創元社 | |
形 態 | 文庫 | |
ページ数 | 388 | |
発行日 | 2002/12/13 | |
ISBN | 4-488-42703-0 |
前に読んだ「ねむりねずみ」(313.参照)や「散りしかたみに」(331.参照)と同様今泉文吾探偵シリーズだが、著者のあとがきによれば、「ねむりねずみ」より2年前の事件というから、どうやら彼の最初の事件ということになるらしい。
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今泉が事務所を構えるアパートに住む、奥田真波が同居人の行方を探してほしいと事務所を訪れた。
ストーリー上は、その前の段階で、真波(まなみ)が同居人となる火夜(かや)と知り合い、彼女の部屋に火夜が転がり込むようにして、一緒に暮らし始める様子が描かれており、さらに、ある日突然、火夜が出て行ったきり戻ってこなくなる。
大学生の真波は夜になると出かける火夜とは、一緒に暮らしているとは言いながら、ほとんどすれ違いの毎日で、火夜のことは知らないことの方が多かった。だが、火夜は同じアパート内の今泉の事務所にはよく顔を見せていたようだ。真波が今泉探偵事務所を訪れたのは、火夜が居なくなって、2週間ほど経ったとき、彼女の下に火夜のものと思われる切断された小指が油紙に包まれて送られてきたからだ。今泉はそれを見て、火夜の行方を真剣に探す決意をするのだが・・・・。
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ストーリーは、真波、火夜、今泉、そのほかに火夜と絡み合う男・諏訪、飴井などというタイトルで、短く章割りされて、展開していく。そして、藤波という男から今泉の事務所に衝撃的な電話が入り、殺人事件へと突入する。元医師だという藤波老人の屋敷は、鬱蒼と茂る草木が植物園を思わせる広大な庭をもち、死体は温室の中にあった。物語の舞台となるガーデンの登場だ・・・。ストーリーの進展と共に少しずつ謎が解明されていくのが、通常のミステリーのスタイルなのだが、この作品では、読み進むうちに謎が拡大していくような不思議な感覚にとらわれる。
少し鈍感な僕などは二回くらい読まないと、理解できないところも・・・。
理解できないといえば、特に屈折した女性心理にいたっては、お手上げである。しかし、それでも最後までストーリーに引っ張られて・・・。読み終わるのに多少のエネルギーを要する。
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