隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1349.大絵画展

2013年05月10日 | 絵画
大絵画展
読 了 日 2013/04/25
著  者 望月諒子
出 版 社 光文社
形  態 単行本
ページ数 306
発 行 日 2011/02/25
I S B N 978-4-334-92746-2

 

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年から絵画ミステリーというのか、あるいは芸術・美術ミステリーと言えばいいのか、絵画をモチーフとしたミステリーが目について、何冊か読んできた。
1冊そうした面白い小説のジャンルに当たると、僕は次々と同様のものを探して読みたくなる。幸いにして、さほど苦労することもなく、そうした作品が適当な間隔を置いて、僕の目に入って来ている。言ってみれば多分それが僕のアンテナが高くなっているということなのだろう。
サラリーマン現役の頃は、そうしてアンテナを高く保つことが、必要な情報を得る上で重要なことだとは分かっていながら、実際にはなかなかできなかったことだった。業務にそれほど打ち込んでいなかったのかもしれない。
今では、ネットの通販で本を購入すると、特にAmazonなどでは関連書籍を次々と紹介してくれるという、便利な機能があって、重宝している。
この本については、つい先ごろ「フェルメールの仮面」(小林英樹著 角川書店刊)を購った際に、Amazonで紹介されて知った。2010年、第14回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した作品である。

このところミステリー文学賞の受賞作品のチェックをあまりしていないから、何年か経ってからこうした作品を知ることも少なくない。かつては丹念にチェックを怠らなかったこともあったが、幾度かこれと思う作品が、僕の期待に反したこともあって、文学賞を覗かなくなっている。
それでも僕が見逃した中に、本書のように僕の興奮を呼び起こす作品があるのは皮肉なものだ。マーフィーの法則を持ち出すまでもなく、僕が知らない本の中にこそ読みたい本があるということなのだろう?
今までの例に従えば、読みたいと思う本を見つけたら、手っ取り早くAmazonの古書を注文するところだが、ここ2―3か月古書とはいえ次々と買うものだから、経済状態が逼迫しており、木更津市立図書館で借りてきた。
実はこの本は今年3月に文庫化されており、すでに古書が半額程度になっているので、そちらを買おうかとも思ったが、僕の財布は前述のごとくなので、我慢をしたところだ。

 

 

図書館の本を読むのはずいぶんしばらくぶりのような気もするが、考えたらつい先ごろ日本古典文学鑑賞の西鶴を読んだばかりだった。物忘れがひどいのは今に始まったことではないが、認知症予備軍が全国で400万人以上いるという話をNHKテレビでやっていた。もしかしたら僕もその一人かも。
認知症はともかくとしても、僕は一つ痛風という持病を持っており、今日(4月25日である。この文章を書いている時と、ブログにアップする日がずれているので自分でも時々迷うことがある。)も病院へ行ってきたところだ。
ひと月ほど前に血中の尿酸値を下げる薬を処方されて、毎朝1錠を飲んでおり、そろそろ薬も切れる頃なので診察に行って、血圧や血液検査を受けてきた。痛風は発症がなければなんということもないが、出るのが足なので、歩けなくなるほどの痛みが厄介だ。またまた何の話だか訳が分からなくなってきた。

 

 

昨日借りてきた本を夕方から読み始めて、今日の午後に読み終わり、まだその余韻が冷めないうちにこれを書いている。
英国のオークション会場で、常連であるイアン・ノースウィッグは、出品されたゴッホの「医師ガシェの肖像」を落札することを目標として望んでいたのだが、驚くべき価格で日本人にさらわれた。この絵を望んでいた愛人のために頑張ったが、イアンと言えども1億2千万ドルはとても個人の出せる金額ではなかった。
緊迫の雰囲気を漂わすオークション会場を舞台としたストーリーの幕開きだ。

 

 

はたまにYahooのオークション、いわゆるヤフオクに参加することがあって、パソコン周辺機器やアプリケーション・ソフトなどに入札することがある。大した金額ではないが時には締め切り時間間際になって、ばたばたっと競り合うことがあって、いくらかスリルを味わうこともある。だから冒頭のオークション場面の金額の高さからも、あふれ出るようなサスペンスがドキドキさせるのだ。
我が国のバブル最盛期には、海外のオークションで、競って世界的な名画が好事家や企業によって、史上最高と言われる価格で落札されて、海外の関係者たちの顰蹙を買っていた。そうして買いこまれた美術品や名画は、その後どうなったかと言えば、勿論世界的な名画や美術品は、それなりに美術館や博物館で多くのファンの鑑賞に供されているだろう。だが一方、多くの美術品が銀行の担保として貸付金の代わりに徴収されて、どこかの倉庫に眠っている可能性があるという。
この物語はそうしたいわゆる死蔵品の中から、かつて高額で落札された「医師ガシェの肖像」を盗み取るという筋書きなのだ。
怪しいところから借り入れた膨大な借金のために、身動きの取れなくなった全くつながりのない男女が、その窃取に係るのだが…。この男女のそれぞれの事情の経緯が、その救いようのない成り行きを、これまた胸の痛くなるほどのサスペンスを漂わせて描写される。

 

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