戦慄の脳宇宙 | ||
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読 了 日 | 2006/12/21 | |
著 者 | 川田弥一郎 | |
出 版 社 | 角川書店 | |
形 態 | 単行本 | |
ページ数 | 347 | |
発 行 日 | 1996/07/28 | |
I S B N | 4-04-872875-X |
だけではないかもしれないが、面白く読めた作品が一つあると、その作者の他の作品も続けて読みたくなる。 特に好きなメディカル・サスペンスだとなおさらその感が強くなる。
この著者も江戸川乱歩賞受賞作の「白く長い廊下」が、ドラマともども良かったので、その後いくつか読み継いできた。 本書はネットショップからのメールマガジンの紹介で知り、購入したものだ。
ネットもネットショップも以前からあったものだが、ここ十数年でその様相は全く変わって、便利になった。
僕がこの読書記録を始めた当時は、読みたい本を探すことも一苦労だったことを思うと、読みたい本が安く手軽に入手できる環境が整ったことに驚くばかりだ。
そればかりでなく、郊外型の古書店チェーンも地方にまで展開しているから、そちらの方にも選択の幅が広がって、読書人にとってはありがたいことだ。 しかし、手軽に入手できる半面、僕などは前後の見境なく買うものだから、積ン読本が増えるという弊害もある。
自己コントロールを心掛けないといけない。
すぐに脇道にそれるのが悪い癖だ。
最近はテレビのバラエティ番組や、教養番組で医療分野の話題が、時折取り上げられて、興味深く見ているが、人間の脳については、まだ医学的にも不明な点が多いらしい。
本書は、タイトルが示すように、脳の働きが不可思議な現象を引き起こす、ということを想像させるような奇妙な病状を示す登場人物たちの減少が冒頭から描かれる。その一つの例が、ウェルニッケ失語症だ。
この言葉が僕を一昔前の記憶に引き戻した。
昭和59年の夏に、それまで在籍していた会社の仲間と3人で起業した。まだ、草創期だった郊外型書店のチェーン経営を目指して、独立したのだ。その年の暮れに茂原市に第1号店をオープンするに至ったのだが、僕はその間経理財務担当として、一人で間借りしていた事務所で、一日事務仕事をすることが多かった。
そんな中、ある日突然話が出来なくなった。言葉を失ったのだ。
どこからかかかってきた電話を受けた時に、相手の呼びかけに何と答えたらいいかわからなくなっていた。その夜には何とか、普段通りに話ができるようになったのだが、翌日会社を休んで、総合病院の脳神経外科を訪れて症状を話して、医師の問診に答えたり、CTスキャンを受けたりしたが、異常なしという結論に、納得できないまま帰宅した。
そんな、ことがあったとは信じられないほど、今は普通の状態が続いている。あれはなんだったのだろう?
本書を読んでいて古い記憶を呼び起こされた。ちょっと怖い話だ。
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