隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0394.ハート・オブ・スティール

2003年06月14日 | 連作短編集
ハート・オブ・スティール
読 了 日 2003/06/14
著  者 芦原すなお
出 版 社 小学館
形  態 単行本
ページ数 237
発 行 日 2000/07/10
ISBN 4-09-379184-8

 

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回か書いたような気がするが、もうだいぶ古い言葉になった3Fということが言われ出したのは、アメリカの女流ハードボイルド作家スー・グラフトンや、サラ・パレツキーがその作品の中で、登場させた女私立探偵の活躍が、主として女性読者の人気を集めたということが発端といわれている。すなわち、作者、主人公、読者の3者が女性(Femail)であることから3Fというわけだ。
わが国ではそうした作品が女性翻訳者によって紹介されると4Fとも言われた。
その後わが国でも3F作品は、桐野夏生氏の村野ミロ(230.参照)や、柴田よしき氏の村上緑子(りこ)(251.参照)乃南アサ氏の音道貴子らの活躍で、一般的になった。
本作は、3Fではないが、主人公にハードな女性私立探偵が登場するので、つい3Fを連想してしまった。ここに登場する笹野里子は「ミミズクとオリーブ」や「嫁洗い池」のイメージからはちょっと想像もつかないようなハードな探偵である。

 

 

二年前、交通事故で夫を失ったわたし(里子)は、一年ほど保母の仕事を辞めてボーっとしていたが、夫の仕事を継いでやろうかと思った。そしてろくでもない仕事も沢山こなして名も売れた。そんなわたしの笹野探偵事務所に依頼の電話が入った。そして私は、運転手つきのドイツ製高級車で依頼人の屋敷に連れて行かれた。依頼人は新興財閥の総帥で「最近様子のおかしい高校2年の孫娘・咲をまっとうな道に引き戻してほしい」というのが依頼の内容だった。(雪のマズルカ)
わたしは仕事を選ぶ探偵だが、ときに仕事に選ばれたと感じることがある。(氷の炎より)
というようにほとんど仕事に選ばれたような案件が続く。
図書館の棚で見かけて、芦原氏がこんな話しも書くのかとちょっと驚いて、借りてきた。肩のこらないエンタテインメント。

 

 

初出誌(文藝ポスト)
# タイトル 発行月・号
1 雪のマズルカ 3号
1 氷の炎 4号
1 アウト・オブ・ノーウェア 5号
1 ショウダウン 7号

 

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