隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0428.はやぶさ新八御用帳

2003年09月11日 | 時代ミステリー
はやぶさ新八御用帳(一)大奥の恋人
読了日 2003/9/11
著 者 平岩弓枝
出版社 講談社
形 態 単行本
ページ数 304
発行日 1989/10/20
ISBN 4-06-204601-6

 

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他の人はどうか分からないが、僕が好きになる作家は、概して文章が平易で読みやすく、すんなりと物語に溶け込むことができることが上げられる。その代表が若い頃読んだ松本清張氏や、この読書目標を立てて読みはじめてから多く読むようになった平岩弓枝氏である。そして、物語そのものが興味を惹くものであることは論を待たない。僕はこの平岩氏の本を読んでいると、先ず作者が楽しんで書いているのではないかという気がするのだ。

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さて、本作は根岸肥前守の内与力・隼新八郎がお鯉の実家からの帰途、暗闇の中暴漢に襲われるという幕開け。危うく暴漢の切っ先を免れた新八郎は、傍に死体を発見する。近くの番屋から番太郎を連れて引き返すと死体は消えていた。後に淀橋に上がった死体は、日本橋の京菓子屋・鶴丸屋の主人・清兵衛だった。その妹お喜久は大奥・お利尾の方様付きの女中だった。新八郎には郁江という妻がいるが、元隼家の女中だったお鯉に淡い恋心を抱いている。お鯉の方も同じである。
大奥との事件の繋がりを感じ、わずかな手がかりを元に調べを進めるが、埒が明かず郁江の兄・鹿之助はお鯉に大奥に行くよう頼む。複雑な人間関係や、恋模様なども絡めて、波乱のストーリーが進行する。まことにドラマ向きのエンターテインメント。
余談だが、ここで名前の登場した根岸肥前守とは、以前宮辺みゆき氏の「震える岩」や「天狗風」にも登場したと同じ人物で、実在の人物である。

 


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