隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0632.緋の記憶(三影潤推理ノート)

2005年08月08日 | 連作短編集
緋の記憶
三影潤推理ノート
読 了 日 2005/08/08
著  者 仁木悦子
出 版 社 講談社
形  態 文庫
ページ数 297
発 行 日 1980/05/15
ISBN 4-06-183050-3

 

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近になって、この偉大な、わが国の女流ミステリー作家の草分けとも言える、著者の本を少しずつ読み始めている。僕は結構長いことこの著者の評価を誤っていたのだ。「猫は知っていた」(164.参照)が乱歩賞を受賞したのが昭和32年で、高校2年生だった僕はあまりにも騒がれた受賞と、評判とで返って読む気がせず、読んだのはずっと後になってからだった。
本書は、サブタイトルにあるように、高田の馬場駅近くのマンションに事務所を持つ桐影秘密探偵社の探偵・三影潤を主人公とする連作短編集である。好奇心が旺盛で、金にならない依頼をついつい引き受けてしまうことから、共同経営者の桐崎秀哉からにらまれる事も。幼い頃の夢が母の死に関係しているとの、若い女性・北松園美からの依頼で調査を始めると、自殺として処理されていた事件が、どうやら他殺の疑いが出てくるという表題作「緋の記憶」のほか、暗緑の時代、ほか全6篇を収録。いずれも本格物で、短編ながら読み応えのある秀作。

 

初出誌一覧
# タイトル 紙誌名 発行月・号
1 暗緑の時代 小説推理 昭和51年12月号
2 緋の記憶 小説宝石 昭和52年7月号
3 アイボリーの手帖 小説新潮 昭和52年3月号
4 沈丁花の家 カッパまがじん 昭和52年3月号
5 蜜色の月 問題小説 昭和52年6月号
6 美しの五月 小説宝石 昭和51年6月号

 

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