隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1282.レイン・フォール

2012年08月15日 | ハードボイルド
レイン・フォール/雨の牙
Rain Fall
読了日 2012/08/15
著 者 バリー・アイスラー
訳 者 池田真紀子
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 493
発行日 2009/03/25
ISBN 978-4-15-178151-3

 

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に読んだ「傷痕」や、「報復」のヴィレッジ・ブックスが同じ作品を出しており、「報復」の後ろの方に広告が載っており、目を引いたのがついこの前のことだった。
そんな折、市内のBOOKOFFで105円の文庫棚を見ていたら、本書を見かけた。これも何かの縁かと思い、レジに持っていった。
公告を見たばかりだったから、僕はてっきりヴィレッジ・ブックスだとばかり思い込んでいたが、帰宅してよく見たら、早川ミステリ文庫だった。
最近は同じ作品が複数の出版社から文庫で出ることが珍しくなくなっているが、ちょっと驚いた。
ジョン・レインという日米のハーフの男が主人公のシリーズ作品らしく、Wikipediaを見るとすでに10冊近く出ているようだ。著者のアイスラー氏はCIAの戦略スタッフを務めていた時期もあるそうで、大の親日家だとのこと。
そんな著者が日本を舞台に描いた、殺し屋ジョン・レインの物語である。

 

 

昔から海外の作家が日本を描いたり、あるいは日本を舞台にしたストーリーを書くとき、おかしな日本人が出てきたり、江戸時代かと思うような舞台が描かれたりすることもあったりして、感心しないものもあったが、最近はそういうことがなくなってきている。
この著者も何年か日本に滞在していたこともあるらしく、東京の地理などもある面では日本人以上に詳しい描写があって、感心させられる。そうしたところで、多少説明過多と思われるところもあるが、それは僕が日本人だから仕方がない。アメリカ人にとっては、微にいる説明が必要なのかもしれない。
トラウマを抱えたベトナム戦争の経験者を、主人公に据えたストーリーはいくつか、どこかで読んだかあるいは映画で見たか、しているが、本編の主人公も過去に負った心の傷を癒せないままに、殺し屋稼業を続けているという設定だ。

 

 

タートで請け負ったターゲットは、政権政党の重要人物だったが、後にその娘を愛するようになるという展開が、どのように収束するのかという興味も、ストーリーを飽かせずに読み進ませる。
前に読んだ「深夜プラス1」を思わせるようなところも多少あるが、舞台が日本ということで、若しかしたらこんなことも全くの絵空事ではないかもしれない、と思わせて読ませる。
しかし、どちらかと言えば僕の好みからは多少外れていることが少し残念。

 

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