隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1806.ビロードの爪

2017年12月14日 | リーガル
ビロードの爪
The Case of The Velvet Claws
読了日 2017/12/14
著 者 E・S・ガードナー
E.S.Gardner
訳 者 田中西二郎
出版社 嶋中書店
形 態 文庫
ページ数 378
発行日 2005/04/20
ISBN 4-86156-326-7

 

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に2回、お盆と暮れに菩提寺に供米料を納める。我が家の墓は房総の太平洋岸の中間くらいの地点の町・大原にある。
漁業の町として栄えた時代もあったが、沿岸の鰯を捕獲する巻き網漁業が廃れて、今では釣り船が観光資源という状況に変わって、町も2005年に合併によりいすみ市となった。
僕が6歳から30歳までそこで過ごした故郷でもあり、お袋が存命中は定期的に訪れていたが、今では年に数回その供米料を納めるときのほか、墓参り以外に行くことはなくなった。
少し寒かったが快晴の冬晴れとなった昨日、僕は車を駆って大原の菩提寺である瀧泉寺へと行ってきた。
途中菜の花という産直センターによって、墓に備えるための花を買った。寺で供米料を納めて、墓の草むしりなどしてから、花と線香をあげてお参りする。
その後、手桶や柄杓を洗って後始末を終えて寺を後にしたのが11時過ぎ。帰途、かつて大原に行くたびに訪れていた古書店・ブックセンターあずまに立ち寄った。最近はめったに本を買うことが無くなってはいるが、しばらくぶりに店内の、海外ミステリーの文庫棚に、ぺリイ・メイスン・シリーズが早川文庫で5冊並んでいるのを見つけた。

 

 

そのうち4冊は既読のものだったが、一冊だけ「運のいい敗北者」が未読だった。 この本も君津市立図書館にあるのだが、1冊くらい自分のものとしても良いだろうと、自分に言い訳しながら105円で買い求めた。
ブックセンターを出ると昼の時間になったので、ベイシアというスーパーマーケットで総菜と弁当を買って、帰りは違う道を選んで車を走らせる。
先日高齢者講習や免許更新の際に、視力の衰えを痛感したのちは、ドライブの楽しさも以前ほど感じなくなっており、安全運転をより一層心がけるようになった。
午後2時過ぎに帰ると玄関に錠が掛けられている。水曜日でカミさんがケアサービスにリハビリに出掛けているが、いつもなら帰っている時間なのに遅い。そう思っているうちにケアサービスから電話が入り、カミさんがカギを持たずに出かけたので、3時40分ごろ送っていきますとのことだ。
一度帰ったのだが、家に入れずに再度ケアサービスに行ったのだと分かり、安心して可笑しくなった。

 

 

隣をはじめ千葉市の方まで図書館を検索したが、このタイトルが見つからず仕方なく楽天市場で、古書を買った。随分しばらくぶりで本を購入した。いや購入したのは本書だけでなく、「幸運な足の娘(THE CASE OF THE LUCKY LEGS)」も、同様のことから、こちらはAmazonで購入。(この記録は12月9日以前に書いておいたもので、前回に書いたように、僕の検索が正しい方法で行われていたら、この2冊も袖ケ浦市立図書館にあることがわかったのだが、遅かりしだった)
両方ともに従来読んできた早川書房刊ではない。早川文庫もポケミスもない(僕の勘違いで、ポケミスはある)ところを見ると、このころはまだ翻訳権を得ていなかったのだろうか?
いやそんなことはないだろう、早川書房も全作の翻訳独占権を持っているわけではないのだろう。探せばこのように嶋中書店とか東京創元社、あるいは角川書店など、結構いろいろな出版元がぺリイ・メイスン・シリーズを出していることがわかる。
まあ、しかし何と言っても早川書房は海外ミステリーの老舗だ。ポケミスで全82作を刊行していることをみれば、シリーズへの力の入れ方がわかるというものだ。

だが、さすがにこれだけ古い本となると、図書館でも置いてないところが多いのかと、なんとなく納得したが、なんであろうと昔と違って、ネットでの検索が役立って手に入るのがうれしい。 若い頃の読みたい本を手に入れることの苦労が、嘘のような今の状況は読書人にとって、夢のような現実だ。

作品を読み続けていると、ストーリーの運びやキャラクターの人となりなど、種々の試みが見えてくるが、時々登場人物のセリフの中から、タイトルが引用されていることが有る。いや、タイトルの意味や成り立ちを、彼らのセリフで説明しているということなのか、いずれにしても登場人物たちが話す言葉に、なるほどと納得させられるのだ。
本書ではメイスンとデラの話の中で、依頼人を快く思わないデラが、「・・・あれはビロードの中に爪を隠した女よ!」というところがあって、タイトルの意味が分かるという仕組みだ。

 

 

最近の文庫本は文字のサイズが大きくなって、僕のような年寄りや、視力が衰えてきた人にとって、優しい気遣いを示すようになった。僕のように読む本の大半が古本という場合は、逆に狭いページにぎっしりといった感じで、詰め込まれた文字を読むことが多いから、どうしても目を酷使することになる。
車の免許更新で視力検査の時、よく見えなくて手間取ったのもそうしたことが、要因となっているのかもしれない。近いうちに行きつけの眼科で視力検査をしようと思っているが、僕は日増しに出不精になっていくようで、少し前まではどこへでも気軽に出かけられたのだが、近頃は億劫が先だって困ったものだ。
経済観念が薄い僕は少しくらいガソリン代が嵩もうが、千葉市くらいまでなら車を飛ばしたものだが、それも今となっては遠い昔の出来事だ。

 

 

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