仮想通貨「ビットコイン」(Bitcoin)の価格が高騰しています。かつては1単位(BTC)当たり1ドル未満だった価格が現時点(9/1)は約4800ドル(52万円台)と、何と数千倍に値上がり。今年だけでも年初比で約4倍にもなっており、ヘタな株式などよりも高パフォーマンスを演じていることから、これまで仮想通貨に馴染みのなかった投資家も大いに関心を寄せるようになっています。
ところでビットコインとは・・・仮想通貨のひとつで、特定の国家や金融当局の規制を受けず、インターネット上で流通し、Peer to Peer型ネットワークを介して相手と直接取引等を行えるもの。これ以上の解説はWikipedia等に譲りますが、取引の透明性や一定の匿名性が確保されていること、コイン発行量の上限が2100万枚に設定されていること(この上限に達するのは2140年頃らしい)、などのユニークな特徴が備わっていて、個人的にも「相当精緻に設計されているな」との印象を受けるものです。
で、その価格がいま、創設来の最高値付近にあるわけです。そのひとつとして考えられているのが、ビットコインを一種の「安全資産」とみなす認識が広がっている点。実際、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、世界市場でリスク回避の動きが高まった先月30日には日本で1BTC50万円の線をはじめて突破しました。ビットコインは上記のように、その発行体が特定の国家に属さず、したがってその有事や天災等に影響されにくいといったあたりが投資家に評価されているもようです。ということは今後、朝鮮半島情勢がいっそう緊迫したら、その価格はさらに上昇するのかもしれません・・・(?)
さてこのビットコイン、その誕生のきっかけになったのは・・・個人的には、中央銀行の金融・通貨政策、つまりドルや円といった既存通貨に対する不信感だと勝手に推測しています。これが開始されたのは2009年。その前年にアメリカでリーマン・ショックがあり、急激な資産デフレと金融恐慌を阻止するために同年、米FRBはQE(量的緩和策)という名の通貨増刷策をスタートさせました。その後FRBを追いかける形でECB、そして日銀もQEに着手し、世界の主要中銀はそろって超緩和的な金融政策を展開することになり、現在に至っているわけです。その意図するところは・・・モノやサービスの流通量に対して通貨供給量を急激に増やすことだから、その通貨で測ったこれらの価格は上がる=インフレになるとともに、通貨自体の価値と信認はどんどん劣化していくわけで・・・
・・・ビットコインの創設者がこのあたりに強い懸念を感じ、特定国の経済状態とか中銀の政策で揺らいだりすることのない通貨システムを作りたい、との願望を抱くのはよく分かる気がします・・・って「サトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)」氏(同創設者:日本人のようなお名前ですが正体は不明らしい)に聞いたわけではありませんが・・・