世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【深刻な運用難は「円」の高い価値保存力の証】あふれる円貨は日銀政策の機能不全を映す①

2017-06-01 00:04:58 | 日本

 たびたび指摘していることですが、これだけ大量の「死に金」―――何の経済活動にも利用されないのキャッシュが邦銀や企業内に貯まるいっぽうなのは・・・その経済活動を刺激するべく貨幣の流通速度を上げようとした政策のせい、というのも何とも皮肉な話です・・・

 先月15日のトムソン・ロイターの記事によれば、三菱UFJ、みずほ、三井住友の本邦3メガバンクの今年3月末時点の「現金・預け金」の合計額が157.5兆円と、前年同期より23%も増加したとのことです。これ、日銀が「異次元緩和」を始める直前の2013年3月末と比べると約4.5倍の規模で、預金は34%増、貸出は19%増、いっぽうで国債を含む有価証券は81%の減だったそうです。

 これからも分かるとおり、巨額の預金こそが上記現金・預け金が膨らんだ大きな理由。貸し出し増えているものの、融資金は最終的に銀行に還流するため、貸し出し増加に合わせて預金も増えるという両建て構造になっているとのこと。さらに、運用難に直面した企業とか機関投資家の資金も銀行預金に流入しているそうな。これを預かる銀行側も運用に手こずっているようで、みずほフィナンシャルグループの佐藤社長は会見で「運用できる以上の資金が集まっているというのが正しい」と述べています

 ・・・で、この大量の円のキャッシュ、いまどこにあるのか、といえば、大部分が日銀当座預金に「ブタ積み」されているわけです。日銀はマイナス金利政策を実行中ですが、上記各行どもマイナス金利の適用ラインほどには至らないものの、それに近い額まで同口座に積んでいるということで、そんなに「雀の涙」であっても付利が欲しいのだな~と感じさせられます。同16日の日銀発表によると、4/16~5/15の同当座預金は平均残高が354.6兆円と過去最高を更新、このうちマイナス金利が適用される政策金利残高は28.6兆円と昨年3月以来の水準に膨らんだとのこと。マイナス金利で運用すると当然、資産額が目減りしてしまいますが、それが分かっていても同預金におカネが入ってくるのだから、もうこの運用難、異常な状況としかいいようがないでしょう。このままだと「これ以上の預金はお断り!」なんて看板を店頭に掲げる銀行が出てきそうですが・・・(?)

 こちらの記事にも書きましたが、このマネーの滞留は、本邦投資家の合理的かつ真っ当な運用観の反映で、個人的には「ほっ」とさせられる面があるわけです。現在、世界のどのマーケットを見渡しても、高い流動性のある資産で「」(≒日本国債)以上に価値が(悪くても)目減りするリスクの低いものは見当たらないからです。それほど安定していて先高観の高い円を元手に、さらにリターンを得られる投資先など、どこにあるというのか・・・? ヘタに手を出したら多くのケースで元本割れになるのは目に見えている、ならば・・・の結果が上記のとおり。とまあ、当たり前といえば当たり前ですが、こうして日本人の大半が円以外のリスク資産を高値で掴んではいないという意味で安堵する次第です・・・って、日銀を除けば、ですが・・・

続く

金融・投資(全般) ブログランキングへ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【対立から内乱へ、そして「... | トップ | 【日銀の国債「高値買い」償... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日本」カテゴリの最新記事