なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳幹梗塞

2020年07月13日 | Weblog

 先々週、地域の基幹病院脳神経内科から病気の問い合わせがきていた。

 当院内科に通院している72歳男性が、6月末に脳梗塞で入院した。プレドニゾロンを内服しているが、患者さん本人に訊いても、どんな病気で治療しているかわからないので、投与の理由を教えてほしい、という照会だった。

 当院内科にはリウマチ性多発筋痛症(PMR)と糖尿病で通院している。リウマチ性多発筋痛症は説明しても、患者さんは正確な病名を覚えていない。いないが、大抵は「リウマチなんとかという病気」で通院している、と言う人が多い。

 この患者さんは理解力もあり、きちんとしている方なので、そのくらいは言えるはずだがと思いながら、診療情報提供書を提出(FAX)した。

 

 3年前の8月末から両肩・上腕・腰部・大腿部の痛みで動きが悪くなった。糖尿病で通院していた内科クリニックから10月初めに、「全身倦怠感・多発関節炎」として当院に紹介された。動けないので、入院精査を希望しています、ということだった。

 体重は1か月で5kg減少して、微熱も続いていた。しゃがんだ姿勢から立ち上がるのが一番ひどいということだった。症状を聞いただけで、リウマチ性多発筋痛症が想起された。

 白血球10000・CRP14.5・血沈92mm/時と炎症反応が上昇していた。鑑別として、抗CCP抗体・抗核抗体の提出や血液培養2セット採取を行ったが、異常はなかった。

 1か月以上経過(我慢)していて、炎症反応も高値だったので、プレドニゾロン15mg/日で開始した。症状と炎症反応の改善は順調だった。

 問題は糖尿病で、プレドニゾロン開始前の血糖が、SU薬・DPP4阻害薬・メトホルミン・SGLT2阻害薬でHbA1c7.6%だった。プレドニゾロンを開始すると、相当な高血糖になると予想された。

 インスリン強化療法を開始した。患者さんは、インスリン自己注射も血糖自己測定もすぐにマスターしてちゃんと治療できた。これは治療する方としては大変助かる。

 その後外来通院になった。プレドニゾロン5mg/日まで漸減して、治療開始から2年経過した。症状はなく、炎症反応も陰性化しているので、プレドニゾロンを漸減中止することにした。

 ところが予想に反して、プレドニゾロン4mg/日で再燃した。初発の時よりは症状と炎症反応上昇が軽度なので、プレドニゾロン10mg/日に戻して、再度漸減を開始した。

 再発量よりわずかに上乗せしたところまで漸減して、そこで漸減を中止することになる。漸減してもプレドニン5mg/日までの予定だった。現在プレドニゾロン6mg/日。

 

 今日当院の回復期リハビリ病棟に転院してきた(神経内科の扱い)。先方で撮影した頭部MRI画像を見ると、右橋に脳幹としては結構な大きさの梗塞巣が描出されていた。

 患者さんは自力歩行はできるので、画像の割には被害?が少なかったことになる。長男夫婦と妻と同居で家庭環境には問題がない。ちょうど明日は内科外来の予約があり、PMRと糖尿病の治療薬は内科で調整する。

 長いリハビリにはならないようなので、抗血小板薬も内科で処方する形で外来治療になるだろう。脳梗塞の発症は残念だった。

 

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