なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

咳がひどくて入院希望

2021年10月26日 | Weblog

 昨日内科新患を診ていた先生(大学病院からバイト)から、入院させたい患者さんがいると連絡が来た。66歳女性で、咳がひどく、入院を希望しているということだった。

 2週間前に発熱があり、かかりつけ(高血圧症)のクリニックで抗菌薬(内服)が処方されていた。すでに解熱しているが、咳がひどかった。(発熱があったので、当院発熱外来扱いで新型コロナの検査が入って陰性)。

 胸部X線・CTで肺炎はなく、炎症反応は(すでに)陰性だった。喘息発作かと思ったが、喘鳴はないという。

 画面で確認すると、何度か外来と入院で診ている患者さんだが、あまり覚えていなかった。外来に行って診察すると、やはり喘鳴はなく、強制呼気でも喘鳴はない。

 とりあえず、希望通りに入院とした。とりあえずは感染後咳嗽、あるいは咳喘息に準じて治療することにした。改めて、これまでの経過を確認してみた。

 

 2010年に気管支炎として外来治療をしていた。胸部X線・CTで両側肺の背側胸膜下に軽度の間質性肺炎像を認めた。そして手指の腫脹とレイノー現象があることから、強皮症に関する外注検査をしていた。

 抗核抗体・抗Scl-70抗体・抗セントロメア抗体が陽性だった。症状と検査所見からは全身性強皮症になる。

 地域の基幹病院呼吸器内科に紹介していたが、今だったら肺病変は経過観察になるので、リウマチ膠原病科に紹介するだろう。

 患者さんは膠原病といわれたことを、看護師の娘さんに相談していた。娘さんからリウマチ膠原病で有名な先生のクリニックを受診するよう勧めた。受診して、限局性強皮症といわれたそうだ(患者さんの話)。

 とりあえず、生命に支障がないのでホッとしたという。(肺病変があるので、全身性になるが)しばらく通院したが、ここ3~4年は受診していない。

 

 今回の胸部CTで見ても、間質性肺炎像は2010年とほとんど変化がなかった。気管支拡張症も変化は認めない。

 30歳代から咳・痰が1年中あり、夏は軽快するという。喘鳴は自覚していないそうだ。風邪をひいたりすると悪化する。高血圧症で通院しているクリニックで鎮咳剤が処方されたり、当院の内科外来で数日分の気管支炎の処方が出たりしていた。

 2013年に咳が続いて当院に入院していた。明らかな肺炎像はなく、炎症反応も軽度だった。喘鳴はなかったが、とにかく咳がひどく、喘息発作に準じて治療をして軽快した。

 外来で吸入ステロイドを継続して、呼吸器外来の先生(大学病院から)に回していた。2年くらい呼吸器外来に通院したが、その先生が外国に留学することになり、その外来がなくなるので、クリニックに紹介していた。

 その後、2020年11月には急性肺炎で当院に入院した。抗菌薬投与で肺炎は治癒した。これまでの咳の既往があり、吸入ステロイドを継続して下さいと、クリニックに診療情報提供書を出していた。

 

 間質性肺炎はあるが、ここまで咳がひどくなる原因としては合わない。気管支拡張症は副鼻腔炎の既往がなく、間質性肺炎による牽引性になるのだろうか。

 咳と痰は気管支拡張症の慢性気道炎症としていいかどうかわからない。今年の4月からまた当院の呼吸器外来(留学から戻った先生)に通院していた。β2刺激薬の吸引と鎮咳剤を処方していた。少量マクロライドを開始したが、口内炎・口角炎で休止となった。

 どういう病態なのだろうか。

 

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