京都市中京区のほぼ中央に位置する錦小路通のうら
「寺町通・高倉通」間に存在する食品販売中心の商店街が錦市場である。
今回は理由があって錦天満宮のある寺町通の方から一軒一軒ほぼ全店、写真に納めてきた。
その中から気になったお店、主だったお店を紹介しましょう。
錦天満宮から寺町通を下り、すぐ右に折れると錦市場に入るが、その手前に奇妙な石の鳥居がある。
この鳥居は昭和10年に建てられたものであるが、その後に設計ミスがわかり
(鳥居上部の両端を考慮せず柱の位置だけで道路幅を決めてしまった)
区画割りを基に両側にビルが建てられたためビルの中に一部めり込んでしまった。
京つけもの処の「錦・高倉屋」。
当店は錦市場の東の端。
通りに建ち籠めるヌカの香りと店頭に並んだヌカ漬の木樽が目印。
丹波の黒豆の専門店の「豆招福」。
ここの豆菓子は味もよく、京土産の優れものの一つ。
抹茶豆、黒胡麻とうふ豆、きなこ豆、そして黒豆茶など。
錦市場は寺町通りと高倉通りの間390mの長い商店街でその間に約130軒の店が軒を連ねている。
道幅は3.3メートルから5メートルと狭く、
赤・黄色・緑のアーケードは錦市場の象徴のようになっており、雨の日も散策が楽しめる。
「四寅」は京野菜を中心に野菜や果物を扱い続けて約110年。
明治43年の創業です。
料亭や料理屋さんへの卸しがメインですが、
店頭での小売りやネット販売にもチカラを注いでいる。
千本三条でお肉の名店として名高い「弘(ひろ)」が展開する
精肉店、飲食店、イートインが一体となったお店です。
錦市場限定の「牛トロ炙り寿司」、弁当、総菜はテイクアウトにおススメ。
京都市内でも数は少なく錦市場でも3軒しかないという川魚の専門店「川魚のとよ」。
店頭に並ぶ商品は店の奥でお客が滅多に目にしないような作業所で加工。
店の奥とは「奥の商売」と称され、懐石料理店への納品準備もしている。
この店「櫂 KAI」の店頭は他のお店とは様子が違い、
カウンターのような構えになっていて、そこに商品がずらりと並んでいます。
それもそのはず、ほぼすべてが試食ができます。
ここは、ふりかけ、珍味、おつまみの専門店です。
特に人気商品は飯蛸の頭にうずらの卵を入れた「たこたまご」だ。
錦市場で唯一のゆば製造販売店「湯波吉」。
店の入口に立つ札には錦市場に店を構えたのは江戸時代(寛政2年/1790年)とある。
ここで湯葉を作り続けているのは錦の地下水があってのことと言う。
現在の店主は創業から9代目だそうだ。
ミシュランガイドに掲載されるようなレストラン、老舗旅館、
有名料亭などを顧客に持つ鮮魚の「丸弥太」。
店奥にある水槽に泳ぐ活けの魚がメイン。
歴史を大切にしているお店で100年以上、京料理に育てられてきた魚文化を安売りしたくない、
錦市場らしい品格を保つことがストロングポイントだと言い切る若き店主です。
大正8年から続く焼魚の専門店「錦魚刀」。
店内には香ばしく焼き上がっていく魚の良い香りが漂っている。
この店ではとくに鯛と鱧にこだわっている。
中でも店内で食べることができる鱧天と鱧カツは絶対のオススメだそうです。
祝い鯛は地方からの注文にもお応えして発送している。
店頭の実演販売に思わず足が止まる。
焼き栗を中心に丹波の物産品などを販売している「京丹波」。
このお店の看板商品「焼きポン」は厳選された特選栗のみを使用し、
香ばしくホッコリと焼き上げている。
創業約100年、錦市場に出店して70年。
「ええもん仕入れて、ええもんだけ売る」。
そのことを常にモットーとしている「かね秀」。
朝早い時間からの営業なので、他店がオープンするころにはもう店頭に魚の姿は少なくなっている。
高級料理店への卸しが中心。
写真のようにタイ中骨20円、タイ頭300円などプロっぽいラインアップだ。
明治30年創業の鮮魚、魚類加工品、総菜の「渡半」。
この店は120年を超える歴史があり現店主は4代目。
今は河豚、鱧、牡蠣などの調理・加工・販売が中心。
京都でないと味わえない食材を揃えて観光客にも喜んでもらえるよう、
お造り、唐揚げ、湯引きした旬の食材が味わえる。
市場としての起こりは古く平安時代のころ、
すでにこのあたりに市が立っていたと推測されている。
時は経ち1615年、江戸幕府が京都に公認した上の店(かみのたな)、錦の店、
六条の店の三店魚問屋の一つが錦市場でした。
それが本格的な魚市場としての錦市場の始まり。
この地は質の良い地下水に恵まれ、人口の多い中心部にあったこと、
位置的に御所への納入に便利であったことが発展の理由と考えられている。
常に最高の状態の魚を仕入れることをモットーとした
鮮魚、塩干、魚類加工品、珍味の「津乃弥」。
昭和3年創業で現代は3代目。
主力商品は縮緬雑魚、ぐじ、カレイやカマスの一夜干しなど。
中でもへしこ、若狭カレイなど若狭物にこだわっている。
「丹後テーブル」は店名から想像できるように、
京都府丹後地方の食を通じて丹後地方を中心に
京都府各地の観光や物産をPRとするアンテナショップ。
ここでは1人ワンオーダーしてくれると錦市場で購入した商品を持ち込むことができる。
因みに錦小路内での飲食は禁止されているので素晴らしいシステムだと思う。
店の位置もちょうど真ん中らへんというのは素晴らしい。
湯葉・麩・豆腐の「近喜商店」。
店頭の看板の文字や商品の置台の経年具合の絵になる豆腐屋さんです。
木屋町にあった「賀茂とうふ近喜」の分家として
明治34年の創業というからもう120年近く続く店だ。
手作りをモットーに錦の地下水につけて豆をもどし、機械を使わずに昔ながらの味を大切に。
水道がないという。
「京の台所」と称されることの多い錦市場。
京野菜、琵琶湖の川魚、鱧、ぐじ、笹カレイ、湯葉、生麩など・・・。
京料理の料亭や割烹だけでなく、おばんざいといわれる京都の家庭料理にも使われる
新鮮な野菜、魚など旬の食材が一堂に集まってくる。
京都独特の食文化に触れるのは他の場所では味わえない魅力です。
このお店の人から専門的な知識や食べ方などを聞くのも楽しみの一つです。
錦市場に八百屋として創業した数年後の大正11年に「川政」の屋号になったという。
有名旅館や料亭から一般のお客まで幅広い層に日々新鮮な野菜、果物を提供している。
創業87年、総菜、出汁巻の「田中鶏卵」。
その間、出汁巻一本で毎日ずっと焼いてきた。
ひと口含んで軽く噛むと、ジワーッと旨い出汁が染み出る。
「京都に来たら美味しいものを食べてほしい」。
だからこの店以外に出店はしないというこだわりぶりです。
鮮魚の「近新」。この店の朝は早い。
朝5時頃にはもう活動が始まる。
小売りは一斉せず、プロのためだけのお店です。
今の社長の祖父が錦で創業して約70年、
専門店の集合体だったころの錦市場の色をいまも濃く残す店です。
いったい何本あるのでしょう。
ここはお箸と箸置きの専門店、京錦箸や「万作 本店」。
京料理のイメージからでしょうか、お箸には京都らしさを感じます。
ここは竹の産地の長岡を控える京都だけに、京竹箸シリーズなどが充実している。
今話題の京風たこ焼のお店「カリカリ博士」。
いつ前を通っても多くの人が列をなしている人気店。
なぜかカップルが多いのは若くて明るいスタッフのせいか、
又は美味しくてリーズナブルなお値段(ワンパック190円)も理由かもしれない。
カリカリのたこ焼です。
長い歴史を持つお店です。
なんと江戸時代の後期に仕出し屋さんとして創業。
戦後に鮮魚商に転じ、今が9代目という鮮魚と炭火焼の「津乃利」。
刺身や切り身はもちろん、仕出し屋のころの設備を活かした炭火焼が人気です。
夏場は京都はやっぱり鱧、チカラを入れている。
日本三大祭りの一つに数えられる祇園祭。
869年(貞観11年)、悪霊・疫病退散を祈って当時の国の数に合わせた66本の鉾を立て、
牛頭天皇を神興に祀り神泉苑に送ったのがその起源です。
山鉾巡行があまりに有名ですが、八坂神社の祭神を奉じた
三基の神興渡御(神幸祭・還幸祭)こそ祇園祭のメインイベント。
この神事に錦市場は大切な役割を担っている。