Mayumiの日々綴る暮らしと歴史の話

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★喋る、そして消える........ ガマ蛙の妖

2018-02-23 04:34:34 | Weblog

 本所(東京都墨田区内)に松平美濃守の下屋敷がある。
邸内に広大な沼があって、その沼を埋め立てることになった。
すると、上屋敷の玄関に、憲法小紋の裃を着た老人がやって来て、取次の侍に言うには、「私はお下屋敷に住んでおるガマで御座います。この度、わたしの住所の沼をお埋めなされますご沙汰を承りましたので参上しました。どうかこの件はお取り止め下さる様お願い申し上げます」と申し述べた。
取次の侍は一旦引っ込んでから襖を隔てて窺い見ると、小紋の裃と見えたのは、どうもガマ蛙の背中のまだら模様にも見えた。
大きさは人間が坐っている様だが、両眼は異常に大きい。
早速、美濃守に報告したところ、申し条は聞き届けたとの御応答があり、
その後、沼の埋め立ては取り止めとなった。
元文三年(1783)のことであった。

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 ある人の申す様、ガマ蛙はどんな箱の中に入れておいても姿を消すと言う。若い人々がこれを聞いて、一匹のガマを箱の中に入れて、床の上に置き、酒など飲んで夜を過ごした。
時々その箱には気を配っていたが、酒を飲んで心の隙が出来た為か、蛙は抜け出したらしく、二間ほど隔てた室から下女の叫ぶ声がする。一同、駆けつけて見ると蛙が居たが、別の蛙だろうと、引き返して箱を開けて見ると蛙はいない。そこで再びそのガマを捕らえて箱に入れ、今度は交替で目を離すことなく見守っていた。夜が更けて一同が眠りを催す頃、箱の縁(ふち)から何か泡が出て来た。泡は段々多くなって来るので、どうしたことかと見守るうち、泡の固まりは動きながら消えて行く。
一同が立ち寄って箱の蓋を開けて見ると、ガマは何処かに立ち去っていた。さては泡に化けて消えたのかと、一同は飽きれた。
これは私(根岸鎮衛)のところへ来た若者から直接聞いた話である。


(画像・ガマの妖術を使う『天竺徳兵衛』)

                
                              江戸時代 怪奇事件ファイル

 
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