Mayumiの日々綴る暮らしと歴史の話

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◆世界最恐の諜報機関 『モサド(イスラエル諜報特務庁)』

2017-10-30 06:47:49 | Weblog

*爆発した車と人
 1台のバイクが走行中の乗用車の背後から猛スピードで迫る。バイクは車の直ぐ脇を走り抜け、追い抜きざまに車のドアに何かを取り付けた。気がついた車の運転手がその、「何か」に手を伸ばした瞬間、車は爆発、炎上、運転していた男性は黒焦げになって即死し、同乗の妻が重傷を負ったーーー。
2010年11月、イランの首都テヘランで映画さながらの爆殺事件が起きた。事件には磁石で取り付ける特殊なタイプの爆発物が使われたという。この暗殺計画を実行したと噂されるのが、アメリカのCIAや旧ソ連のKGBを凌ぐとまで言われる、イスラエルの諜報機関モサドである。暗殺、破壊工作、誘拐.....。モサドはこれまでに1万件以上の事件に関与して来たと言われる。彼らはイスラエルを、そしてユダヤ人を守る為には自らの手を血に染めることも辞さない最強、いや、「最恐」の集団なのだ。

*ユダヤ人国家を守る為に設立される
 イスラエルは第二次世界大戦後の1948年に誕生したユダヤ人国家だ。ところが、周辺にあるのはイスラム教国であるアラブ諸国である。民族や宗教の全く異なるイスラエルの独立宣言はことごとく周囲の反感を買い、建国と同時に凡そ10億人ものアラブ人から一斉攻撃を受けるかのような危険な状況を招いてしまった。そこで、敵対する国々の動向を探り出し、迫り来る危機に備える為に緊張の続くイスラエルで組織されたのが、国外の諜報活動を担当するモサドだった。
モサドとは、ヘヴライ語の「諜報及び特別工作機関」の略称である。工作員の数は1500~2000人とも言われ、世界中に張り巡らされたユダヤ人のネットワークを駆使して多くの情報を収集している。そのモサドの名を一躍世界に知らしめたのが、アイヒマン逮捕だ。ユダヤ人国家の組織であるモサドには元ナチス戦犯の捜索と云う重要任務も課せられていた。
その捜査対象の1人に、600万人のユダヤ人をガス室へ送ったナチスの指揮官、カール・アドルフ・アイヒマンの名前があったのだ。アイヒマンは第二次世界大戦終了後、偽名を使って南米のアルゼンチンで逃亡生活を送っていたが、モサドは執拗にその足取りを追い続け、1960年、遂に隠れ家を探し出したのである。アルゼンチンから乗り込んだモサドの精鋭部隊は、ものの数十秒で隠れていたアイヒマンを拘束し、本国に連行した。裁判の末、彼は絞首刑に処された。

*完璧に遂行された報復
 しかし、モサドの活動は公になっているものばかりではない。名前にもあるように、「特別工作」こそが彼らが恐れられる理由と言っていいだろう。後に映画の題材にもなった事件で、「ミュンヘン・オリンピックの惨劇とその壮絶な報復戦である「神の怒り作戦」がその一つだ。
1972年、西ドイツ(現ドイツ)のミュンヘンで開催されていたオリンピックで、イスラエルの選手団の宿舎が武装したテロリスト集団に襲われると云う事件が起こる。犯人グループは逃げようとする選手とコーチの2人を至近距離から発砲して撃ち殺し、9人を人質にとったのである。凶行に及んだのはパレスチナゲリラ組織「黒い九月」の面々で、彼らは人質の解放条件にイスラエルに捕らわれているメンバーの釈放を訴えたのである。ところが、事件は最悪の結果で幕を閉じた。イスラエルは犯人の要求を突っぱねるも、頼みの綱の救出作戦は失敗する。11人の人質全員が命を奪われ、平和の祭典であるはずのオリンピックは血に染まったのだ。
目には目をーーー。悲しみに暮れるイスラエルは流された同胞の血の代償に犯人の血を求めた。この時、イスラエル政府は秘密裏に黒い九月のメンバーの暗殺をモサドに命じた。こうしてモサドの暗殺チームによる神の怒り作戦が動き出した。
イタリア、フランス、スペインと各地でターゲットを追い詰めるモサドのエージェントたちは当に神出鬼没だった。そして自らの任務、つまりは暗殺を冷徹なまでに実行して行ったのである。黒い九月の或るメンバーは数十発もの弾丸を全身に撃ち込まれ即死し、また自宅の電話や寝室のベッドに巧妙に仕掛けられた爆弾で全身を粉々にされたのだ。
この作戦は7年に渡って繰り広げられ、モサドは敵からの報復攻撃にも屈せず、遂にテロ事件に関わったゲリラ組織の主要メンバー11人を皆殺しにしたのである。イスラエル政府は現在もこの一連の暗殺をイスラエル、更にはモサドが関与したものだとは公式に認めていない。しかし一連の事件では、全く関係のない人物も含めて20人近い人々の命が奪われ、その背後にモサドの存在が囁かれているのは疑いのないことなのである。

*イランの核開発を阻止する
 イスラエルの政治目的の為にモサドが関与したと言われる事件は枚挙に暇がない。冒頭の爆殺事件で殺されたのはイラン人科学者で、イランが進める核開発計画の責任者だった。イランでは別の核科学者も同様の手口で狙われて重傷を負っているが、いずれもモサドが宿敵であるイランの核開発計画阻止を「最も効果的な方法」で行ったものと考えれば辻褄が合う。イスラム国家であり、徹底して反米姿勢を貫くイランが、核開発を進め、核兵器が現実のものになってしまうと、ユダヤ教国家で親米派のイスラエルはそのターゲットになる可能性が高いからだ。イスラエルを巡る中東の緊張状態が続く限り、諜報活動から暗殺と云う裏のミッションまで、モサドの仕事が無くなることはないだろう。今この瞬間にも、名も無きエージェントたちの新たな計画は動き出しているのかも知れない。

*画像
 この窓の外でリモコン爆弾が爆発した
 この時に使われた爆弾は周囲の建物の窓も吹き飛ばすほど
 強力なものだった

 裁判中にメモをとるアイヒマン
 この裁判で彼は死刑判決を下され絞首刑にされた

 「黒い九月」の襲撃によって
 イスラエル側には11人の犠牲者が出た
 そして「神の怒り作戦」で死んだのも同じ11人だった

              







                                                      本当に恐ろしい地下組織
                                                          国が率いる秘密の組織

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