読書日和

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「海辺の街でもう一度、あの日の彼女に会えたなら 〜Diary〜」

2022-02-27 07:19:51 | ウェブ日記


(左からピアノARUHIさん、もも(大西桃香さん)、まぁ(馬嘉伶さん)、れな(長谷川玲奈さん)、ゆり(小坂井祐莉絵さん)、バイオリン小泉奈美さん。写真はネットより。以下同じ)

今回ご紹介するのは朗読劇「海辺の街でもう一度、あの日の彼女に会えたなら 〜Diary〜」です。

-----内容&感想-----
「朗読劇」を見るのは初めてでした。
新鋭の声優、長谷川玲奈さんの出演をきっかけにこの朗読劇に興味を持ちました。
長谷川玲奈さんは元はアイドルをしておられ、2019年6月からクロコダイルという声優事務所に移籍し、声優としての活動を始めました。
現在20歳で今年の3月15日に21歳になるという若い人で、コンサートで歌唱をしたり舞台や朗読劇にも出演していて、そういった時にどんな表現をされるのかかねてより見てみたいと思っていて、今回ついに見ることが出来ました

朗読劇は2月19日と2月20日の2日間、東京都新宿区の新宿アルタKey Studioで上演されました。
配信のアーカイブが2月27日の夜まで見られるので、私は配信チケットを購入してアーカイブを見てみました。





物語はれな(長谷川玲奈さん(声優))、ゆり(小坂井祐莉絵さん(声優))、もも(大西桃香さん(AKB48))、まぁ(馬嘉伶さん(AKB48))の高校2年生4人組によって進んで行きます。
時期は夏休みの少し前で、会話には中学生や高校生ならではの明るさ、にぎやかさがとても良く出ていました





ピアノ(ARUHIさん)とバイオリン(小泉奈美さん)による音楽の生演奏も印象的でした。
ピアノが一番最初に演奏を始める時に手を挙げて何かの合図をしていて、生演奏なので「タイミング」の取り方は特に重要と思われ、大変だったのではと思います。
バイオリンの演奏がピッチカート(指で弦をポロンポロンと弾く演奏)に変わった場面もありました。
泡がフワフワと浮かんでいるような音色で、青春の楽しさ、儚さが表現されているようで良いなと思いました。

中学校から親友なのがれなとももで、同じ高校に進学して1年までは同じクラスで2年のクラス替えで離れ離れになり、それぞれに仲良くなったのがゆりとまぁとのことでした。
れなはゆりと、ももはまぁと仲良くなり、高校2年の春からは4人で過ごす時間が多くなりました。
れなは元気、ゆりはしっかり者、まぁは奥手、ももは食いしん坊という特徴があります。
まぁがももに初めて話しかけられた時、最初はテンションが低く大人しそうに見えたのが、慣れてくると明るくなっていったのが相手に心を許したのが分かって良かったです。

4人が将来のことを話す場面になると演奏の音色が変わりました。
ピアノ中心のとても明るく希望を感じる音色になっていて、生演奏が作品世界を強力に形作っているなと思いました。





ももが「みんなに聞きたいことがあったんだけど」と言ってスマホを取り出す場面がとても印象的でした。
その少し前から音楽はピアノ独奏でZONEの名曲「secret base 〜君がくれたもの〜」の序奏をゆったりと続けていて、スマホでその曲を再生する瞬間、バイオリンが演奏に入って「君と夏の終わり 将来の夢」の歌い出しの部分を演奏しました。
夏の終わりに将来のことを話している4人の場面にピッタリ合っていて胸が高鳴りました
ももは「最近の曲だと思ったらもう10年も前の曲みたいで」と言っていて、ZONEの「secret base 〜君がくれたもの〜」が発売されたのは2001年なので、4人が話しているのは2011年だと分かりました。
そこからしばらく「secret base 〜君がくれたもの〜」が演奏される中で、もうすぐ夏休みになることやあっという間に3年生になり進路が決まってくることなどを話していて、作品を象徴しているかのような非常に印象的な場面でした。
4人のテンションが高く楽しそうなのにバイオリン中心の音楽には胸が締め付けられるような響きがあり、二度とは来ない青春の一瞬のきらめきのように感じました。

ゆりが「正直なことを言うと、私はれなと2人のほうがちょっとだけ居心地が良かった。4人で居るのも楽しいけど、玲奈の目線や思考の先にはいつもももが居て、そういう相手が私にはいないから羨ましかった」と胸中を語っていて、それも青春だなと思いました。
多かれ少なかれ似たような経験のある人は居るのではと思います。
また「secret base 〜君がくれたもの〜」の演奏は何度も登場していて、明らかに本作にとって重要な曲なのが分かりました。





れなが「タイムカプセルを埋めよう」と言い、10年後に取り出すことになります。
これは「secret base 〜君がくれたもの〜」の歌詞「10年後の8月 また出会えると信じて」をモデルにしているのではと思いました。
また2001年のZONEの楽曲に加え、2011年に放送された有名テレビアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のエンディングテーマになり、さらにZONEが10年後の8月(2011年8月)に再結成され話題になったこともあり、曲調や歌詞を知っている人も多いのではと思います。
ももは「4人で初めての思い出作りだよ」と言い、れなは「今しか出来ないし、今やるから楽しい」と言います。
それぞれが自分が埋めたいものと、みんな宛ての手紙を持ってきて、翌日に海辺に埋めることになります。
れなは最近皆のことを日記に書いていてそれを埋めることにします。
翌日に向けて海辺から帰る時に「secret base 〜君がくれたもの〜」を歌う場面になり、それまでも何度かフレーズを歌っていましたがこの時が一番長く歌い、とても楽しそうで良い場面でした。





注目していた長谷川玲奈さんは朗読の際の情感の込め方の上手さとともに、声優としての確かな実力を感じる場面がありました。
ももがれなの埋める日記について「きっと恥ずかしいことが書いてあるんだろうな。私たちへの、愛のメッセージとか?」と言うと、れなが「愛、じゃないかも知れないよ?憎しみ、憎悪だらけかも知れないじゃん」と言います。
「憎しみ…」と語り出す時に一気に声に凄みが出て、直前までの元気で明るい声色からの変化が凄く印象的でした。
ももが「えっそうなの!?」と言うとれなが今度は10年後を意識したような大人びた声色で「ああ、それも、10年後のお楽しみだね」と言い、次々と声色を変えていて表現力が素晴らしいと思いました
また事務所の先輩でもある小坂井祐莉絵さんも声への情感の込め方がかなり上手く、ゆりがしっかり者のキャラクターなこともあり朗読劇をしっかりと支える存在になっていた気がします。

れな一人で朗読する場面になり、
「私は、いや、私たちは、たぶんあの日のことを忘れない。忘れないし、あの時起きた出来事を、忘れることは出来ない」と意味深なことを言います。
最後に重大なことが起きて17歳の女子高生時代を描いた ~Diary~ が終わりました。





(海辺に立つもも(大西桃香さん)。爽やかで若々しいとともに、消えてしまいそうな儚さも感じるのが青春のきらめきだなと思います。)


「海辺の街でもう一度、あの日の彼女に会えたなら 〜Diary〜」、楽しく見させて頂きました。
17歳の物語が終わるとともに、この朗読劇には10年後の27歳を描いた「~Hanabi~」もあります。
タイトルに「もう一度、あの日の彼女に会えたなら」とあるように、それが叶わない願いになっているのが分かります。
「~Hanabi~」で大人になった27歳の皆さんがどんな物語を見せてくれるのか楽しみにしています



-----長谷川玲奈さん登場作品の記事-----
「長谷川玲奈 1st写真集 一瞬の光」
「海辺の街でもう一度、あの日の彼女に会えたなら 〜Hanabi〜」


-----関連記事-----
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2月の大きな太陽

2022-02-23 09:09:26 | ウェブ日記


(1月8日、「アンサンブル・プリエール 第1回演奏会 ~広島ゆかりの若手演奏家が紡ぐアンサンブルの調べ」の帰り道に撮影した夕方の太陽)

近年を振り返ると、2月の朝に地平線から顔を出した太陽が、とても大きく感じることが何度かありました。
同じように感じたことが子供時代にもありました。

ふと気になりネットで調べてみると、「2月」は特に関係なく、「朝晩に大きく見える」ことが分かりました。
冒頭の夕方に撮影した写真も、夕日を見た時に昼間よりも少し大きく感じました。
さらに、「目の錯覚でそのように見えるだけ」ということも分かり驚きました。

総合すると、「2月はちょうど日の出の時間帯に外を歩くことがあり、その時に地平線付近が晴れていると、大きな太陽が見える」ということのようです。
今年の2月の朝はタイミングがピタリと合った日があり、オレンジ色の凄く大きな太陽が地平線から顔を出しているのを見て、思わず歩きながら見入りました。
太陽は何も語りませんが、その姿からは「穏やかな雄大さ」といった言葉が思い浮かびました
たとえ目の錯覚であっても、大きな太陽を見られるのは良いものだと思います。
これからも朝晩、上手くタイミングが合って大きな太陽に見入るのを楽しみにしています

地域に根差す 広島交響楽団と路面電車

2022-02-20 05:53:33 | ウェブ日記


写真は広島駅前に停車している路面電車で、電車の車体に広島交響楽団がプリントされています。
ただの広告ではなくて、広島電鉄株式会社による応援企画とのことで、車内では楽団員による電停案内やメッセージも流れます。
この路面電車を見て、広島交響楽団は地域に根差しているなと思いました。

歌唱、クラシック、演劇など、どのような活動団体であれ、ホームグラウンドとなる地域を持っている場合がよくあるかと思います。
広島交響楽団の場合は、名前にもあるように広島県広島市をホームグラウンドとしています。
そして広島電鉄株式会社も協力して車内に楽団員による電停案内やメッセージを流していることから、広島交響楽団の活動に好印象を持ってくれていることが分かります。
地域の人達に受け入れられて応援してもらえるのは、活動団体にとって喜ばしいことだと思います。

地域の人達に応援してもらえるかは「信用」によって成り立ち、その信用はやはり日々の一つ一つの発言、行動、活動によって形作られて行くと思います。
長い年月をかけて積み重ねてきた信用が路面電車での応援企画という形になって現れていると思われ、応援したい存在になっているのだと思います。
活動団体側が地域の名を冠し、地域側も自慢の存在として応援して行くのは、まさに二人三脚という雰囲気がして良いものだなと思います。
しっかりと地域に根差したオーケストラとして、これからもたくさん活躍していってほしいです

「IZAYOI ~古城を照らして~ -川上統門下作曲作品発表会より-」

2022-02-12 13:13:35 | コンサート、演奏会


(「IZAYOI ~古城を照らして~」演奏後、お互いの健闘を称えるフルートの九鬼みつ実さん(写真左)とエレクトーンの明神あみさん)

2021年2月28日、広島県の「広島市東区民文化センター スタジオ1」で行われた「Little Ideas Vol.1 -川上統門下作曲作品発表会-」を聴きに行きました。
川上統さんは広島市のエリザベト音楽大学で専任講師をしておられ、大学内外に門下生を抱えていて、その方々が作曲した作品の発表会が行われました。
私は出演者の一人、エリザベト音楽大学生の明神あみさんとツイッターで縁があり、「こういった発表会があるので良かったらどうぞ」とご紹介頂き、興味を持ち足を運んでみました。
全部で15演目ありましたが、発表会の方針として比較的関係者向けでもあったので、今回は写真使用のご許可を頂いた明神あみさん出演の演目をクローズアップしてご紹介します





(広島市東区民文化センタースタジオ1の様子。暖かな色合いが良かったです


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プログラムに掲載の曲紹介

「IZAYOI ~古城を照らして~」
作曲:明神あみ
フルート:九鬼みつ実
エレクトーン:明神あみ

十六夜(いざよい)は わづかに闇の 初哉(はじめかな) (松尾芭蕉)

満月の十五夜の翌日が十六夜。
僅かながら、暗闇に向かって月が欠け始める。
不知夜月とも言われ、十五夜より遅れて現れ、一晩中照らすことから夜を知らない月とされる。
そんな十六夜の月明かりに照らされて、古城だけが浮かび上がって見えている。
この古城は、戦いの時代と平和の時代を見つめてきた。
いつ出るか、いつ来るか。
今も昔も変わらない十六夜の月と城。
この2つのイメージを掛け合わせて作った曲となっている。
今回コラボレーション楽器としてフルートを使用した。
生楽器の魅力を引き出せるよう、電子音の設定に試行錯誤した。
生音と電子音のコラボレーションの可能性をお伝えできればと思う。
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(Youtubeで公開されている「IZAYOI~古城を照らして~」のエレクトーン演奏)




(川上統さんのトークで、明神あみさんは門下生ではないですが、よく面白い曲を書くので発表会に出ないかと声を掛けたとのことでした。)

冒頭、とても不穏に演奏が始まりました。
音色がとても日本的な和の雰囲気で、最初は「月夜」とともに、月に照らされる夜の神社も思い浮かびました。
やがて和の雰囲気の音色が激しくなり、凄い迫力で鬼気迫る演奏になります。
それらの不穏さ(妖しさ)や鬼気迫る雰囲気から、大河ドラマ「独眼竜政宗(伊達政宗)」のオープニングテーマに通じるものがあると思いました。

エレクトーンによる「太鼓」を叩くような音色もあり、さすがに1台で何百種類もの音を出せる楽器だと思いました。
フルートも和の雰囲気の曲によく合い、相性の良さを感じました。
プログラムに掲載の曲紹介に「生音と電子音のコラボレーションの可能性をお伝えできればと思う。」とありましたが、エレクトーンとフルートの組み合わせはとても面白いと思いました





(九鬼みつ実さん、明神あみさんともにエリザベト音楽大学の当時2年生で、若くして良い演奏をしておられ楽しみな人達だと思いました。)

エレクトーン、フルートともにかなり上手い演奏だと思いました。
不穏さ(妖しさ)、迫力、さらには神秘も感じる音色に聴き入りました
フルートが入ると和の雰囲気がよりパワーアップし、きらびやかさも感じて妖しさに華を添える響き方になって良いなと思いました。
このエレクトーン/フルートのユニットでコンサートを開催し、この曲を弾いてほしいと思う魅力がありました。





「IZAYOI ~古城を照らして~」のエレクトーンとフルートによる演奏、素晴らしかったです。
何百種類もの音を出せるエレクトーンの特徴を生かして不穏で妖しい和の雰囲気の作品世界を作り、そこにフルートが入って妖しさを際立たせていて、息の合った良い演奏だと思いました。
当時から約1年経った今、さらに演奏力が上昇しているのではと思います。
新型コロナウイルスによる混乱が続いてはいますが、またいずれコンサートや演奏会でお目にかかれる日を楽しみにしています



明神あみさん、九鬼みつ実さん登場の演奏会
音大生支援協会スペシャルコンサート 第6回 広島公演


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。

手打ち十割そば結喜庵 野菜天そば

2022-02-11 17:12:15 | グルメ


以前、広島県広島市にある手打ち十割そばのお店「結喜庵(ゆうきあん)」に行きました。
十割(じゅうわり)そばとは「つなぎ」を使っていないそばのことで、そば粉は水だけで麺にするのが難しく、十割そばを打つには高度な技術が必要とのことです。
何と「ミシュランガイド」にも掲載されたそばの名店とのことで、どんな味なのかとても興味がありました
そばの風味を一番楽しめるのは「もりそば」ですが、冬の寒い時期でもあるので温かい「野菜天そば」を頼みました。




こちらが結喜庵の野菜天そばです。
そばは舌触りがとても滑らかで、醤油ベースの汁もさっぱりしている上にコクのある味付けがとても良かったです。
「温かいそば」であってもそばの風味がしっかりと主張してくるのが凄いなと思いました。
時間をかけてゆっくりと食べたくなる美味しさがありました。




天ぷらはいんげん2つ、れんこん、舞茸、かぼちゃ、にんじんで、注文を受けてから揚げるので新鮮でした。
にんじんとかぼちゃの天ぷらが、硬いのを想像していましたがどちらも柔らかくて驚き、ホクホクしていたので茹でてから揚げているのではと思いました。
素材の持つほのかな甘味が広がって良かったです

漬け物はたくあんと菜っ葉で、たくあんは少し甘味を感じ、さらに爽やかな風味で美味しかったです。
菜っ葉は塩気を強めにしていて、こちらは瑞々しさがあって食べやすく美味しかったです。

結喜庵のそば、素晴らしい美味しさでした
寒い時期が終わればもりそばもぜひ食べてみたいと思いました。
そばは白米に比べて低カロリーな上に高たんぱくで、ダイエットに向いている食べ物でもあります。
カロリー控えめで美味しい食べ物が頂けるのは嬉しく、結喜庵のようなお店なら何回も食べに行ってお世話になるのも良いなと思いました

エリザベト音楽大学 サクソフォンラージアンサンブル 第23回定期演奏会

2022-02-06 15:31:50 | コンサート、演奏会


(組曲「展覧会の絵」演奏後、花束を受け取った指揮者の宗貞啓二さん(右)と大森義基さん。)

2020年2月24日、広島県広島市のエリザベト音楽大学セシリアホールで行われた「サクソフォンラージアンサンブル 第23回定期演奏会」を聴きました。
ラージアンサンブルは規模の大きなアンサンブル(演奏グループ)のことで、ソプラノからバスまでサクソフォンだけで広範囲な音域をカバーし、音にオーケストラのような厚みがあります。
当時の2月は新型コロナウイルスの脅威が中国地方にも押し寄せ、コンサートや演奏会にも影響が出始めていましたが、この演奏会は何とか無事に開催することが出来ました。
大好きな曲の一つである「展覧会の絵」が登場するということでとても興味があり、ぜひ聴きに行きたいと思いました



1. H.ヴィラ=ロボス/ブラジル風バッハ第1番

編曲:宗貞啓二
指揮:大森義基



(1曲目演奏前。1曲目はサクソフォンだけで演奏しました。)

一楽章
どろどろとした始まりで、少し緊迫感がありました。
やがて凄く明るくて安らぐ音色になり、気持ちも安らいで行きました
音に厚みがあり、低音の支えで高音が引き立っていました。


二楽章
ゆったりと雄大に始まりました。
アルトサクソフォンが凄く甘い音色で演奏する場面が印象的でした。
音がこちらに向かって迫って来るような場面があったのも印象的でした。


三楽章
とてもリズミカルに始まり、雰囲気が良かったです。
そのリズムが演奏を変えて、緊迫感も出て行きました。



2. M.ブルッフ/コル・ニドライ 作品47 ソリスト:宗貞啓二

編曲:宗貞啓二
指揮:大森義基




(サクソフォンに加えてハープ、パーカッション、コントラバスも登場しました。)



(ソリストの宗貞啓二さんが登場しました。長年サクソフォンの指導をされていて、今回の定期演奏会は宗貞啓二さんの退官記念演奏会でもありました。)

暗くゆったりと始まりました。
ソリストもアルトサクソフォンでの演奏を始め、もの悲しそうでした。

ソリストの音色が明るくゆったりしたものになると、今度は速くもなり、音に緩急がありました。
サクソフォンのアンサンブルはゆったりとした音色で支えていました。

ハープもゆったりと入り、全体が高音でゆったりとしました。
とても安らぐ曲で良かったです



(演奏が終わり、拍手を受ける宗貞啓二さん。)



3. A.ウェーベルン/緩徐楽章



(左からフランスのジャン・ピエール・バラグリオリ(Jean pierre BARAGLIOLI)さん(ソプラノ)、カナダのウィリアム・ストリート(William STREET)さん(アルト)、アメリカのリチャード・ディーラム(Richard DIRLAM)さん(バリトン)、日本の宗貞啓二さん(テナー)。)

ここから「インターナショナル サクソフォンカルテット」の4人が登場しました。
最初に宗貞啓二さんのトークがあり、自身の退官記念演奏会に際し、3人が自費で来てくれたとのことでした。
また20年くらい前から年に一度コンサートをしているとのことで、国籍もバラバラのカルテットが20年も続くとは素晴らしいなと思いました

「緩徐楽章」はゆったりとした曲で、とても安らぐ音色で伸びが良かったです。




(向かって左からソプラノサクソフォン、アルトサクソフォン、バリトンサクソフォン、テナーサクソフォンの布陣は他のサクソフォンカルテットでも見たことがあり、調べてみるとこの並びになることが多いようです。)



4. F.ロセ/バラバルシグリオリ

ソプラノサクソフォンの非常にファンキーな独奏で始まりました。
全体がとても面白い音色でした。
最後の「風」が吹くような音が印象的でした



5. C.メーシー/夜の歌

ややミステリアスに始まり、ソプラノサクソフォンがとても目立っていました。
ゆったりしつつ音色が派手だったのが印象的でした。



(演奏終了後、4人それぞれに花束が渡されました。)



6. M.ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」

編曲:M.ラヴェル・宗貞啓二
指揮:大森義基




(「展覧会の絵」の演奏前。物凄い人数が揃いました



(宗貞啓二さんの指揮で演奏が始まりました。インターナショナルサクソフォンカルテットのメンバーも演奏に加わっています。)

「展覧会の絵」は「プロムナード」と呼ばれる、展覧会に展示されている絵から絵へと歩く際の間奏のような演奏が何度も登場する特徴があり、冒頭にも登場します。
桐本萌絵さんという、かつて2019年2月の「新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第47回広島」で広島交響楽団との共演を聴いたことのある人による、ソプラノサクソフォンのソロ演奏で始まりました(全景写真の前列向かって一番左)。
そのプロムナードの迫力が凄かったです

音色がミステリアスになった時、チェレスタ(電子オルガンのような見た目の楽器)の低音での演奏が良かったです。
指揮が「バンッ!」と区切って演奏を終わらせたのも印象的でした。

次のプロムナードはとてもゆったりしていました。
アルトサクソフォンが演奏を先導し、ソプラノサクソフォンなどが続いていました。

とてもミステリアスな音色になり、雰囲気に引き込まれました。
バスサクソフォンやアルトサクソフォンが特に活躍していました。

次のプロムナードは桐本萌絵さんが主導し、全体が凄い迫力になっていました。

陽気な演奏になり陽気な雰囲気のまま終わり、今度は低音だけによる暗い演奏になりました。
やがて全体の迫力が増し、凄く派手で重厚感もありました。

次のプロムナードは甲高く寂しそうな音色でした。
低音の演奏も登場し、暗い雰囲気でした。

凄くコミカルな演奏になり、直前のプロムナードとの差が印象的でした。
スピードも速く、あっという間に終わりました。

ショッキングな音色で次の演奏が始まると、ソプラノサクソフォンの人がソロ演奏で主導し、かなりの速さでとてもリズミカルでした。
そこから一気にゆったりとした演奏になり、最後は力強く終わりました。

今度はとても明るくスピーディーに始まり、迫力もありました。
一気にゆったりしたかと思うと、不気味さも現れていました。

とてもゆったりとした安らぐ音色になります。
そこから一気に迫力とスピードのある演奏になり、凄さに引き込まれました。

大迫力の音色になり、「展覧会の絵」で最後に登場する「キエフの大門」の場面になります。
有名な重厚感のあるメロディの演奏が凄く良く、聴いていて涙が滲みました。
やがて「キエフの大門」の中で万を持してドラマチックできらびやかな雰囲気の「プロムナード」のメロディが登場し、演奏の終わりへと向かいました





(今回の定期演奏会で指揮をされた宗貞啓二さん、大森義基さんに花束を渡す場面。写真の一番右に写っているのは前年度に卒業された進正裕さんで、神奈川の大学院に進学されましたがこの日のために駆け付けてくれたようです。)







(3年生の梅本舜也さんによって、間もなく卒業して旅立つ4年生達への感謝の言葉が述べられていました。)




(アンコールに際し、宗貞啓二さん挨拶中。またこの当時2年生だった廣瀬奏一朗さんと田中啓悟さんは昨年11月に「Quatuor D’hommes 1st Recital」を開催し、聴かせて頂くという音楽の縁がありました



アンコール:ハチャトゥリアン/仮面舞踏会

日本ではフィギュアスケートの浅田真央さんが現役時代に演技したことでも知られている、迫力とミステリアスさを持つ曲です。



ダブルアンコール:J.マティシア/デヴィルズ・ラグ

サクソフォンラージアンサンブル定期演奏会ではアンコールが一度では終わらない特徴があります。
ダブルアンコールの曲はサクソフォンラージアンサンブル設立以来愛されてきた曲とのことです。
凄く陽気な演奏をしていて、楽しい気持ちになって演奏会が終わりました



サクソフォンラージアンサンブル、楽しませて頂きました。
プログラムの最後に物凄い人数で演奏した「展覧会の絵」が特に印象的で、音の厚みと迫力がまさにオーケストラで、サクソフォンは音色に柔らかさがあるので聴き心地も素晴らしかったです
宗貞啓二さんが挨拶で「少子化の時代の流れでサクソフォン専攻の入学生がかなり少なくなった」と言っておられ、さらに新型コロナウイルスも発生し、一般層に開放で大規模な演奏会を行うのはなかなか難しいかもしれないです。
しかしとても良い演奏会だと思うのでこれからもぜひ続いていってほしいと思い、いずれまた聴きに行けるようになってほしいと思います



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プロフィール 2020年2月時点

指揮者紹介

宗貞啓二
サクソフォンを水野昱子、石渡悠史、故大室勇一の各氏に師事し、1975年国立音楽大学を武岡賞を受賞し卒業。
同年読売新人演奏会、皇居内桃華楽堂新人演奏会に出演。
在学中、第42回毎日音楽コンクール第1位入賞。
1976年渡仏、フランス国立ボルドー音楽院にてサクソフォンをJ.M.ロンデックス氏に、室内楽をR.ペレ氏に師事、いずれも一等賞を得て卒業。
ボルドー市栄誉賞を受ける。
現在、エリザベト音楽大学、洗足学園音楽大学の各講師。


大森義基
1991年昭和音楽大学を特別賞を受賞し卒業。
在学中に第7回日本管打楽器コンクール入賞。
1992年渡仏、翌年パリ・レオポールベランコンクール第1位入賞。
1994年パリ国際音楽コンクール第2位及び審査員特別賞受賞。
同年、フランス国立セルジーポントワーズ音楽院を審査員全員1位の主席で卒業。
これまでにソロアルバム「ヴァカンス」「ア・ラ・パリジェンヌ」「ミント」「ナイチンゲールとバラ」をリリース。
サクソフォンを市川豊、故大室勇一、宗貞啓二、ジャン=イヴ=フルモーの各氏に支持する。
現在昭和音楽大学、エリザベト音楽大学、桜美林大学芸術文化学群音楽専修の各講師。


エリザベト音楽大学サクソフォン・ラージアンサンブル

学部生4年 岡田 咲姫  金本 理久  桐本 萌絵  坂本 さくら  谷本 百衣  廣本 穂乃
学部生3年 梅本 舜也
学部生2年 田中 啓悟  廣瀬 奏一朗
チェレスタ 室川 桃子
ハープ   松本 彩
コントラバス 能見 義史  村上 和音
パーカッション 小川 裕雅  高山 桃奈  藤野 真奈美  向井 沙世  吉永 有紗

賛助出演 相川 真美  植川 緑  魚本 由貴  打明 茉奈穂  牛尾 杏里  宇津 優輔
     岡 恵里奈  岡本夏奈  小田 桃子  垣内 加純  梶谷 知世  加藤 和也
     川上 由佳  菊地 ユカリ  岸本 和宣  木山 亜希子  久保田 麻里  黒木 久美子
     小早川 香織  小林 千津  進 正裕  新宅 理恵  住田 郁子  武島 利奈
     立畠 響介  谷川 智宏  椿 義治  原口 茜  平井 千香子  深川 絹代
     福間 修人  藤井 佳樹  藤川 あゆみ  溝下 万裕佳  前田 基成  前田 悠貴
     増田 結子  宮田 麻美  森山 葵  諸富 絵梨香  柳瀬 萌  山田 美和
     山本 愛子  李 愛梨         
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