本日図書館でふと手に取ったのが「安野光雅きりえ百首-俵万智と読む恋の歌より-」(NHK出版)。なんとなく若返ったつもりになってパラパラとページをめくってうちに借りてきた。
私などよりは上の世代には懐かしい作家も並んでいる。
私の眼に最初に映ったのが、次の歌。
★美しき誤算のひとつわれのみが昂ぶりて逢い重ねしことも 岸上大作
この一首に添えられたきり絵がなかなかいい。歩道橋だろうか、跨線だろうか、はたまた駅舎の階段だろうか。半分欠けた月が似つかわしい。
もう一首は、巻頭の一首。
★全存在として抱かれいたるあかときのわれを天上の花と思わむ 道浦母都子
この一首には花が溢れている。そして結局は女性の気持ちは男には永遠に謎であるようだ。
当分は若返った気分でこの本とお付き合いをしてみよう。
★催涙ガス避けんと秘かに持ち来たるレモンが胸で不意に匂えり
★炎あげ地に舞い落ちる赤旗にわが青春の落日を見る
などを多くの人がじっと噛み締めましたね。
「無塩の抒情」は、俵万智、寺山修司に次ぐ売り上げでした。
岸上大作も
★花かざる明日ねがわねばこの坂は鋭し<よし子>のなかなる女
などに惹かれました。
自治労の文芸賞の選者を道浦さんは勤めています。以前に俳句で応募しましたが、まったく引っ掛りももしませんでした(T_T)
誤算するのは間違いなく「男」の方だと思っていましたが、そうではないのでしょうか。
間違い人生と悔やみ続けるのはさびしい。