後手番大山先生の手を考えます。
第1問
45桂や43歩成があって受けにくそうです。なるべく駒損は避けたいですが。
A 55歩 B 42歩 C 36歩
第2問
駒損になりました。代償を求めます。
A 58歩成 B 37歩成 C 26飛成
第3問
攻め駒の数は十分です。どう攻めますか?
A 75桂 B 57桂 C 57金
第4問
最後は簡単な詰将棋です。15手。
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
45桂や43歩成があって受けにくそうです。なるべく駒損は避けたいですが。
A 55歩 B 42歩 C 36歩
第2問
駒損になりました。代償を求めます。
A 58歩成 B 37歩成 C 26飛成
第3問
攻め駒の数は十分です。どう攻めますか?
A 75桂 B 57桂 C 57金
第4問
最後は簡単な詰将棋です。15手。
今日の棋譜20190730
昭和43年11月、山田道美先生と最強者決定戦記念対局です。山田先生が優勝しました。
山田先生の先手番は決まっていたのでしょうか。大山先生は中飛車です。
山田先生は袖飛車で
3筋の歩を交換して、飛を引けば穏やかですが
45歩から33飛成と切ってしまいました。
43歩成同銀33角成同桂というのもあったでしょうが、16角は38飛成を防いで味が良いです。次に43歩成がねらいです。
28飛は打たれますが、右桂を使えました。
大山先生は55歩から42歩で我慢して
山田先生は54歩から43歩成(33歩成同桂同桂成もあった)で
11角成はポイントです。大山先生は57歩から
36歩。歩切れなので39香と受けられたら後続の攻めは難しそうですが
68銀の受けも自然です。これには58歩成から37歩成で、37同銀は58飛左成ですね。小技が利きました。
57銀右に14歩で催促。
山田先生は桂を取って駒得を主張します。
と金を入られて金を取られ
それでも2枚換えの駒得ですが、45桂は取られそうなので難しい形勢です。
さて76飛~66飛と切られました。当然66同歩で57金か45竜かというところなのですが
53桂不成~61桂成というのは
トータルは飛銀と角香の交換で駒損なのです。何か錯覚していたのでしょうか。23馬は金取りで56馬があるから味が良く、これに期待していたのかもしれません。
俗に57桂と打ち込まれては金を埋めるしかなく
69桂成同金57金。49歩は58竜同金同金で受けにくいです。これをうっかりしたのかもしれません。受けが無くなって75桂は反撃ですが
43同歩58金同竜でも後手玉が詰まないので形つくりでしょう。先手玉は
簡単に詰んでいました。
山田先生の鋭い攻めでしたが善悪不明です。本譜の展開を見ると十分成立しているようなのですが、いくつかある選択肢を全部正解というわけにはいきません。最後のほうで間違って急に悪くなってしまいました。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1968/11/26
手合割:平手
先手:山田道美8段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5八金(49)
8 5二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 4六歩(47)
16 3三角(22)
17 3六歩(37)
18 5四歩(53)
19 5六歩(57)
20 8二玉(72)
21 3八飛(28)
22 4三銀(42)
23 3五歩(36)
24 同 歩(34)
25 同 飛(38)
26 3二飛(52)
27 4五歩(46)
28 7二銀(71)
29 3三飛成(35)
30 同 飛(32)
31 4四歩(45)
32 3二銀(43)
33 1六角打
34 2八飛打
35 3四歩打
36 5三飛(33)
37 3七桂(29)
38 5五歩(54)
39 同 歩(56)
40 4二歩打
41 4五桂(37)
42 5一飛(53)
43 5四歩(55)
44 同 飛(51)
45 4三歩成(44)
46 同 銀(32)
47 1一角成(88)
48 5七歩打
49 5九金(58)
50 3六歩打
51 6八銀(79)
52 5八歩成(57)
53 同 金(59)
54 3七歩成(36)
55 5七銀(48)
56 1四歩(13)
57 3三歩成(34)
58 同 桂(21)
59 同 馬(11)
60 5六歩打
61 6六銀(57)
62 4八と(37)
63 同 金(58)
64 同 飛成(28)
65 5五香打
66 7四飛(54)
67 5八歩打
68 7六飛(74)
69 7七歩打
70 6六飛(76)
71 5三桂(45)
72 6四飛(66)
73 6一桂成(53)
74 同 銀(72)
75 2三馬(33)
76 5七桂打
77 5九金打
78 6九桂成(57)
79 同 金(59)
80 5七金打
81 7五桂打
82 5八金(57)
83 8三桂成(75)
84 同 玉(82)
85 5六馬(23)
86 7四桂打
87 7五桂打
88 8二玉(83)
89 4三角成(16)
90 6八金(58)
91 同 金(69)
92 8八金打
93 同 玉(78)
94 6八龍(48)
95 7八金打
96 7九銀打
97 9七玉(88)
98 8八銀打
99 投了
まで98手で後手の勝ち
20190730今日の一手
6月9日の名南将棋大会から、KさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
金と角(歩)の交換で竜を作っていますから先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
相手玉に向かっているものを数えると、先手の攻め駒は持ち駒角銀桂で3枚。
後手の攻め駒は66銀と持ち駒金桂で3枚。62飛も後に加わるでしょう。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
先手玉が薄いけれど駒得と言う状態です。先手玉を固めるというか、しっかり守って駒得ならば有利になります。
角銀交換に応じると駒得はほぼ消えるので他に主張を作らねばなりません。後手玉よりも堅くするのは難しそうなので、どこかで寄せ合いを考えるのでしょう。今は遊んでいる83竜が働けば、すぐに攻め駒は4枚になります。
☆ 簡単なまとめ
後手の飛が働き出すと受けきりは難しくなります。39角か79角から寄せ合う
というか、飛金の取り合いにしてしまえば勝ちでした。すぐに寄せ合って角金を取らせるよりは、金銀を取らせる方が先手玉の広さが生きます。
× 強い手から考えてみます。角取りに構わず72歩成。
57銀成62と47成銀同金58銀
74角が攻防(詰めろ)で47銀成同角
56金同角同歩52銀
先手玉は詰まず、後手玉は詰めろ。先手の1手勝ちのようです。
後手は58金を取るほうが正しく
58同銀に65角が王手竜取り、47角の受けがありますが56金
これは81竜だとして47金同銀同角成同玉56角
先手玉が詰んでしまいます。(86竜だったら詰まないですが、同じ筋を後の変化で書きます。)
△ 63歩ならば
63同飛には85角が大きな利かしです。
65飛66角同飛67歩
これは先手の寄せ合い勝ちでしょう。
後手は63歩に57銀成を選び
62歩成58成銀同銀65角47角56金
先手玉は清算して56角からの詰めろ。86竜でも47金同銀49角
玉を下に落とされて詰めろが続きます。4枚で攻められるので受けはないでしょう。
ということは先手が妥協して57同金
63飛66歩56金48銀
金銀の打ち替えで千日手模様です。
△ 64歩でも同じことで
64同飛には86角の利かしが入ります。57銀成同金64飛66歩56金48銀
これも千日手模様。
△ 実戦は66同角と取りました。
66同飛に(76飛がありますから)67銀と守ったら同飛成同金94角
94同竜同香93角69飛57角成56桂
馬を作って粘ったものの、後手の攻め駒は4枚あります。39銀に66歩同馬68桂成と攻められて先手劣勢です。
実は94角には81竜で良かったのです。
67角成41竜同玉61飛
51金67飛成という図は
22金や52歩の攻めが残っています。
また先手は67銀ではなく67歩を選ぶこともできました。
76飛はありますが、85角79飛成59歩
52銀が残っているので悪くはありません。
後手は46飛というのが派手な手ですが(これは67銀としていても出現します)
46同銀65角47角56金86竜
先に飛を捨てているので後手の攻めは無理気味です。
△ 角を逃げるのが自然で、48角が良さそうに見えます。
このほうが先手玉が堅く(横からの攻めに強く)見えますから。67銀不成に66歩と受けて58銀成同銀56桂
ここに桂を打たれるのが痛いです。57角59金47銀打68金49銀打67歩
しがみつかれて受けが無くなります。
ならば67銀不成に59銀と受けてみます。
58銀成同銀引56桂75角
攻防に角を逃げて、68桂成63歩同飛64歩59成桂63歩成58成桂
後手の攻め駒は5枚、詰めろですし受けきれません。
受けきれないならば67銀不成に72歩成でどうか。
58銀成が角取りになるのが痛くて、飛を取ってもだめです。58同銀68飛成59銀
飛を成らせて受けるしかないですが、せいぜい互角です。
○ 先ほどは後手の56桂に悩まされましたから、39角のほうが良いのです。
67銀不成に66歩と受けても
58銀不成同銀54桂47銀打56金57銀打
受けに余裕があり、どこかで72歩成から寄せ合いにでられます。
67銀不成に72歩成を選んでも
58銀不成62と
角取りではありませんから飛を取ってみます。47銀成同玉56金38玉47銀28玉36銀不成
後手の攻め方がいくつかありそうですが、この図は38歩から受けに回ることもできますし、63角が詰めろ銀取りで勝ちになっています。
67銀不成に63歩でも良いです。
63同飛には85角が両取りで、58銀不成63角成
47銀成から追いかけられるのですが、(47銀成同玉56金38玉47銀28玉38金17玉)
先手玉に詰みはなく、詰めろも続くかどうかというくらいです。後手玉は41馬から詰むので先手の明らかな1手勝ち(あるいは2手勝ち)です。
○ 68角はちょっと変な手ですが
67銀成に86角
逃げた手が攻めの手になっています。後手の手が限定できていませんが、72歩成を避けて58成銀同銀66飛75角打
76飛82竜
と進めば後手玉は詰めろ。金か桂を使わせれば受けやすくなります。
○ 79角は先手玉が薄くなるようですが
67銀不成72歩成65飛74角
75飛でまずいようですが、24桂同歩23銀同玉41角成32金25歩
これが詰めろですから先手の勝ちでしょう。
後手は72歩成に58銀不成を選ぶしかなく
62と47銀成同玉56金38玉47銀27玉35歩同歩36金17玉37金63角
長く進めましたが、先手玉に詰みがなく、詰めろも難しいです。35歩同歩を入れられても63角が詰めろで受けにも利きます。79角が働いていませんが、取られる心配もない(39桂と受けるスペースもある)ので、これでも良いです。
受けとしては67銀不成に68歩
角を取りに来られても構いません(72歩成から攻め合えばよい)からこんな受けもあります。
また85角が攻防の手です。
58銀不成同銀65飛52銀
先手陣がバラバラですが飛を成りこまれないので、寄せに出て勝てそうです。
☆ まとめ
飛先を止めて千日手にする順はありましたが、単純な受けきりは後手の飛が働いてくるから難しいです。
どこかで72歩成から寄せ合いを考えるのですが、すぐに72歩成は駒を角金を取られるのでまずいのです。
39角か79角、遠くに角をかわしてから67銀不成72歩成で寄せ合いに出るのが有力です。小駒だけの攻めならば先手玉の広さが生きました。この場合は後手に大駒を渡さず、飛を取ってしまうのが正解です。
角を引いてからしばらく受けに回り、後の楽しみ(寄せ)に期待することもできます。これは後手の飛を封じようということですね。