先手番有吉先生の手を考えます。
第1問
これが定跡の手です。
A 37銀上 B 37銀引 C 55歩
第2問
これが好手です。
A 34銀 B 31飛成 C 22歩
第3問
厳しく攻めます。(どれも悪い手ではないです。)
A 61銀 B 52銀 C 73歩
第4問
迷わずこういう手を指せるようになりたいものです。
A 37桂 B 41金 C 85銀
先手番有吉先生の手を考えます。
第1問
これが定跡の手です。
A 37銀上 B 37銀引 C 55歩
第2問
これが好手です。
A 34銀 B 31飛成 C 22歩
第3問
厳しく攻めます。(どれも悪い手ではないです。)
A 61銀 B 52銀 C 73歩
第4問
迷わずこういう手を指せるようになりたいものです。
A 37桂 B 41金 C 85銀
今日の棋譜20190722
昭和43年9月、有吉道夫先生と第9期王位戦第5局です。
大山先生の後手三間飛車です。
43銀型でも45歩急戦ができるのですが、当時は定跡は整備されていません。
有吉先生は対三間飛車ですが左46銀の急戦を選びました。実質的には1手損です。46歩には54銀を気にしたのでしょうか。そもそも大山先生が中央位取りを嫌わなかったというのも珍しいですね。
大山先生は44の地点をしっかり守りました。ということは34歩同銀38飛に51角というつもりか。
有吉先生は35歩を打って
銀を立て直す順急戦ですが、大山先生は歩を合わせてそれを嫌います。
銀を追い返すけれど1歩持たれるので損得は微妙です。
端攻めの将棋がこのところ何局かありました。
新しい指し方を工夫していたのでしょうね。
有吉先生は3筋を攻めます。
大山先生は銀ばさみの手筋で、36銀ならば34歩、34銀には32飛33歩34銀同飛33飛という順をねらいました。
有吉先生は銀を逃げずに24歩同歩22歩。これは取れないので
大山先生は香交換ですが
桂損です。その桂を86に打たれて不利になりました。
飛を成りこみ
銀を逃げても良さそうですが、と金を使いました。
大山先生は端を守るために、取った銀を85に打って粘ります。
有吉先生は85銀が目障りだからと消しに行くのですが、先手陣が乱れるのであまり良くないです。角を成っておくくらいでしょうか。
この香は攻防ですが
75香で返されるはず。でも大山先生は先に飛を使ったのがチャンスを逃すことになりました。
有吉先生の73歩~85桂は厳しいです。94桂のねらいもあるので
金をはがせました。
香2枚を使わせたので、29桂の活用が間に合います。
2段跳ねが気持ちよいです。
大山先生は端を攻めましたが
底歩で守られると先手玉に攻めが届きません。
端は破ってみたものの
中段玉も王手がかかるようになると危ないです。逃げ出せるところが少なくて、あまり粘れなそうです。
攻めを催促されました。
歩を打って
金をはがして73歩。攻防が続いてまだまだというところですが
竜の利きを止められて苦しいです。
じわじわと追い詰められていき
玉の逃げるところが無くなっていきます。
45桂は取りましたが銀を打たれて
詰めろをかけられました。
66角を取っても詰みを逃れていませんでした。ここまで。
有吉先生がうまく攻めて有利になり、終盤入り口では少し怪しくなりましたが確実な攻めを決めました。これで2勝3敗までは迫りました。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1968/09/13
手合割:平手
先手:有吉道夫8段
後手:大山王位
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 2五歩(26)
8 3三角(22)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5六歩(57)
14 4二銀(31)
15 3六歩(37)
16 8二玉(72)
17 5八金(49)
18 7二銀(71)
19 6八銀(79)
20 4三銀(42)
21 5七銀(68)
22 6四歩(63)
23 6八金(69)
24 9四歩(93)
25 9六歩(97)
26 1四歩(13)
27 1六歩(17)
28 5二金(41)
29 4六銀(57)
30 5四歩(53)
31 3五歩(36)
32 5三金(52)
33 3四歩(35)
34 同 銀(43)
35 3五歩打
36 4三銀(34)
37 3七銀(46)
38 3四歩打
39 3六銀(37)
40 5一角(33)
41 3八飛(28)
42 3五歩(34)
43 同 銀(36)
44 3四歩打
45 4六銀(35)
46 7四歩(73)
47 5七銀(48)
48 1五歩(14)
49 同 歩(16)
50 同 香(11)
51 1七歩打
52 1二飛(32)
53 3六飛(38)
54 6二角(51)
55 3五歩打
56 4五歩(44)
57 同 銀(46)
58 3五歩(34)
59 同 飛(36)
60 4四歩打
61 2四歩(25)
62 同 歩(23)
63 2二歩打
64 1七香(15)
65 同 香(19)
66 1六歩打
67 2一歩成(22)
68 1七歩成(16)
69 8六桂打
70 6三銀(72)
71 2二と(21)
72 1六飛(12)
73 3一飛成(35)
74 7二金(61)
75 3二と(22)
76 4五歩(44)
77 4二と(32)
78 8五銀打
79 4三と(42)
80 同 金(53)
81 9七桂(89)
82 7六銀(85)
83 7七香打
84 同 銀成(76)
85 同 角(88)
86 2六飛(16)
87 7三歩打
88 同 金(72)
89 8五桂(97)
90 5一香打
91 7三桂成(85)
92 同 玉(82)
93 3二龍(31)
94 4二香打
95 3七桂(29)
96 2九飛成(26)
97 4五桂(37)
98 8五桂打
99 8八角(77)
100 9五歩(94)
101 7六銀打
102 8四歩(83)
103 3九歩打
104 9六歩(95)
105 6六角(88)
106 9七歩成(96)
107 同 香(99)
108 同 香成(91)
109 9二銀打
110 7二銀(63)
111 7五歩打
112 6三玉(73)
113 7四桂(86)
114 2六角(62)
115 8六歩(87)
116 6五歩(64)
117 同 銀(76)
118 7七歩打
119 同 金(68)
120 6四歩打
121 7六銀(65)
122 7七桂成(85)
123 同 玉(78)
124 7三歩打
125 8二桂成(74)
126 6一銀(72)
127 8一銀(92)
128 2八龍(29)
129 4八桂打
130 4四歩打
131 7一成桂(82)
132 6二金打
133 8三金打
134 4五歩(44)
135 6一成桂(71)
136 同 金(62)
137 7二銀打
138 5三玉(63)
139 6一銀成(72)
140 6五桂打
141 同 銀(76)
142 同 歩(64)
143 7二銀(81)
144 7六香打
145 同 玉(77)
146 6四桂打
147 7七玉(76)
148 7六銀打
149 6八玉(77)
150 6六歩(65)
151 6三金打
152 投了
まで151手で先手の勝ち
20190722今日の一手
6月9日の名南将棋大会から、AさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。
玉の堅さは後手のほうが堅く、先手玉は深いですから同程度。
先手の攻め駒はありません。
22角と72飛か64銀のどちらかを数えて2枚。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
少し前はこの図です。
78飛に75歩同歩64銀としたのが問題図でした。
実際は先後逆です。居飛車の右64銀急戦では、67銀型では82飛のまま64銀~75歩と攻めます。78銀58金型では72飛~75歩同歩64銀と攻めます。
後手Hさんは定跡書に書いていない攻め方をしてしまいました。定跡書に書いていない理由は、これがうまくいかないからなのですが、そこまで書いてある本はないでしょう。
先手Kさんは、上達法則で書いていた、Hくんのことです。彼には定跡を教えず、四間飛車名局集を並べさせています。だけど相手がアマチュアだとプロのようには攻めてこないので戸惑っているところです。実戦を重ねるしかないのでしょうが、日を改めて反省会で教えています。
さて角筋を止める振り飛車の切り札は65歩ですね。どのタイミングで切り出すかというセンスを問います。
☆ 簡単なまとめ
振り飛車はすぐに65歩の切り札を出し
77角成同桂75銀85桂76歩83角
定跡としてはこれだけ知っていれば良いです。でも以下の変化も読んでおくと、振り飛車の反撃の仕方がわかりますよ。
△ 実戦は58金左でした。
これで後手玉よりも堅くなるので自然な手です。75銀59角76歩
これは後手の75銀の位置が良いですね。棒銀や早繰り銀で5段目の銀が安定したら成功です。先手はこの図を避けねばなりませんでした。
反撃の手段がなくて46歩66銀同銀同角
左の桂香を守ることができないのではっきり不利です。もっと進んで
桂香を取られてどうしようもなくなりました。
こんなおとなしい指し方ではいけません。59角ではなく65歩とするのが振り飛車の切り札です。
76歩ならば22角成同銀61角
縦に飛を逃げると馬を作れます。82飛76銀
後手が歩切れなので、この反撃は十分です。
後手から角を交換するほうが良さそうです。
77同飛76歩78飛44角98飛99角成
89桂を助けられないから後手有利でしょう。
であれば77角成を同桂しかありません。
76歩85桂44角
73歩同桂83角
82飛73桂成83飛同成桂77歩成
桂得でも銀を取られるので難しいです。
△ 先ほどは44角~99角成というのが嫌だったので98香としておくのが
序盤(すでに中盤かも)の手筋です。75銀65歩77角成同飛76歩78飛44角
こう進めば58金左と98香の違いが分かりますね。83角73飛61角成99角成79金
ついでに左金で89桂を守れました。形勢は互角です。
後手としては44角が甘いので86歩
86同歩82飛76銀86飛
こちらを選ぶかもしれません。75銀89飛成79金
桂銀交換で竜を作られたというのは損得なしに近く、これも形勢は互角です。
△ 大山先生ならば68金でしょうか。
75銀65歩77角成同金
金を使って守ります。76歩同金同銀同銀66角61銀
73飛52銀不成同金67銀78飛成同銀
78銀が残ってしまいましたが、後手玉も薄いのでこれも互角です。寄せ合いを考えると先手もちでしょうか。
○ 切り札の65歩を出すと
77角成同飛75銀76歩
振り飛車から76歩を打つのはつまらないことが多いのですが(大山先生は好みますが)、84銀に66角があります。88角84角99角成
香銀交換でも馬を作られたら案外に大変でしょうか。66角22銀79飛という感じです。
76歩がつまらなければ61角
73飛74歩同飛83角成
73歩74馬同歩と進むのは振り飛車としては微妙に感じますが、居飛車側から見ると飛車を持たれるのは嫌です。
もっと欲張ると77角成に同桂です。
75銀85桂76歩83角
次の(82飛あるいは71飛72歩の後で)74角成の味が良く、わかりやすく先手有利でしょう。これが定跡書に書かれない理由だと思います。
△ 74歩も考えてみたいです。
75銀でも74同飛でも同じ図になるのですが、75銀65歩77角成同飛74飛
(今度は後手の飛の位置が上なので77同桂はないです。)83角73飛61角成76歩78飛44角98香99角成79金
これは98香からの変化と同じ図で互角です。
ならば76歩はどうでしょうか。
84銀78飛
これも互角でもう少し駒組みになりそうです。
× 角交換しないならば88角
というのがおとなしい受け方です。でも75銀と進まれる形では組み合わせが悪く、76歩にも86歩
銀を引いてもらえないので局面が収まらないです。
× 59角は
実戦のように攻められて悪いでしょう。
× 95角は94歩で
角を引いたら1手損です。
△ 最後になりましたが、角を動かさず76銀とするほうが自然です。
75銀同銀同飛に67銀
銀を打たねば悪くなりそうですが、打ってみれば互角です。一度銀を守りに使ってしまったので、先手から65歩は指しすぎですが、88角から飛交換ねらいはあるでしょう。銀を打ったのは少し損ですが、悪くなったわけではありません。
☆ まとめ
振り飛車の切り札65歩のタイミングというのは、級位者にとっては難しいです。居飛車の急戦は角頭をねらうものが多いですから、ねらわれている角を交換できれば受けがわかりやすくなります。
駒がぶつかって、単なる角交換で終わらないときというのが目安です。