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核のごみ最終処分場誘致の対馬

2023-07-13 04:22:39 | 地域


 核のごみ最終処分場誘致を進める対馬。まず書類審査をお願いするだけで20億円貰えるのである。本当に誘致するかどうかはともかく、このお金で島起こしが出来ると考えるのだろう。対馬市では6月、土建業など4団体が経済活性化につながるとして、文献調査受け入れを求める請願を市議会に出した。 

 核のゴミ処理場が経済の活性化とは考え方が間違っている。自分たちの仕事が出来ると言うことだけだろう。公共事業を仕事にしてきたつけが回ってきたのだ。どこの離島でも公共事業で回っている。自分たちで対馬活性化の努力をするほかなかったのだ。と言ってそれは極めて難しい。この記事を呼んでどれだけの人が申し訳ないと考えてくれるだろうか。

 対馬の人口は、藩政時代には 3 万人、明治末期で 5 万人、そして昭和 15 年で 5 万 7 千人、その後、昭和 35 年までは増え続け、ピーク時 7 万人近くまでにも なった。 その後、人口は減少しはじめて、  2023年6月1日推計人口26,805人 。急速な減少である。典型的な離島過疎地である。

 江戸時代よりもかなり少なくなった。江戸時代は自給自足を基本として、対馬は3万人の人が暮らしていたのだ。対馬の人口減少の姿は多くの離島の深刻な現実なのだ。全国では無人島になる島が増え続けている。近い将来には人の住んでいる離島の、消滅時代が来る。

 領土問題で僻地の国境の離島にこだわり続ける意味は見直さなければならない。もし国境の離島が国防の上で重要とするのであれば、自民党はそのような主張をしている。それは人の住んでいる島であるべきなのか。無人島に自衛隊が駐屯すれば良いのか。こうしたことをまず明確にする必要がある。

 自衛隊基地を作る際には、政府や防衛施設局では、必ずその島の人を守るためだと虚偽の防衛論を述べる。これは幼稚なごまかしなのだろう。実際は島民を守るどころか、島民を危険に巻き込んでいるだけだ。自衛隊がいない。ミサイル基地がないのであれば、離島は敵国から無視されるだけだ。

 誰もが基地を作ることの目的は島を守るためではなく、日本全体を守るためだと理解している。自宅の隣に基地が出来ることを喜ぶ人はどこにもいない。いや、石垣市長中山氏は喜んでいる。自衛隊が石垣島の住民を守るために有効だと主張している。石垣島に基地がなければ、攻撃してくる国に無視されるにもかかわらず。

 先日は波照間島の避難計画が立てられた。波照間島から危険な石垣島にまず逃げてくるのだそうだ。そしてまた九州にまで避難する計画である。避難する船もないし、ダメな計画だが、どこの誰が考えても波照間島にそのままいるのが一番安全だ。

 何のために波照間島を攻撃するというのだ。アメリカ軍は日本軍のいない島を攻撃などしなかった。戦争はそんな無駄なことはしないのだ。波照間島の島民はわざわざ危険な石垣に何故逃げてこなければならないのか。まるで沖縄から九州に避難しようとして、アメリカの潜水艦に沈没された、学童疎開船対馬丸事件を思い出せ。

 市長を始め誘致土木業界の錦の御旗「自衛隊は離島の住民を守るために来てくれている。」が主張になっている。本音では自衛隊基地も核のゴミ捨て場も変わらない。住民には迷惑施設である。ミサイル基地=核の永遠の保管場所=補助金が必要。どこでも建設業関係者は仕事があれば良いと考えている。当然な事だ。

 与那国島は現在人口1,689人。1872年1、327人。最多時の人口が1949年6,306人。戦後の密貿易時代に最多を記録している。このとには100軒もの歓楽街が立ち並んだという。実人 口は15,000人 を越 えたと言われている。現在の10倍の人が与那国島に暮らしていたことがある。

 今のままで20年が経過すると人口は江戸時代とおなじ1400人程度になるとされている。実際には1000人を下回るだろうという人もいる。私は自衛隊が来たためにもっともっと減っている気がする。自衛官が250人で人口の20%、ミサイル基地が出来れば遠からず半分の人が自衛隊関係者になる。

 これからさらにミサイル基地が計画され増加が見込まれている。自衛官が来て人口が増加すると言われて、島起こしのためには自衛隊が必要と考えた人も多かった。たが、自衛隊を嫌って与那国を離れた人で、人口増加はなかった。このままではその他の人口は公務員とお年寄りだけの島になると考えておいた方が良い。

 与那国島はとても美しい島である。何の産業もない島という人もいるが、とんでもないことだ。これほど美しい魅力的な島は滅多にない。水もあるし農耕地もあるし、若い頃なら与那国島に移住した。しかし、ためらった。自衛隊が来るというのではさすがに止めるほかなかった。今の雰囲気を考えると、止めて良かった。

 自衛隊が駐屯する基地の島に移住はしたくない。与那国島を見に行ってそのことは確認できた。自衛隊基地は島の風景に異質なのだ。あの殺風景な建設物がある島には暮らしたくないと思った。その判断は正しかった。自衛隊は観光業には大きなマイナスである。

 与那国島は台湾からの観光地として大いに賑わう可能性のある島だ。台湾に行ってみれば分かることだが、台湾の観光地もどこもおもしろいのだが、台湾以上に与那国の自然は魅力的だ。島の中央部のヨナグニサン館のある辺りを魅力的な地域することが出来るだろう。台湾の人達が沢山訪れる島にすることは可能だ。

 台湾から隔日ぐらいに船便が必要だ。船便は格安にする。その船は政府の責任で運用する。政府は与那国島が観光で生計が立てられるように努力をしなければならない。温泉を堀り、宿泊施設を作る。それが防人の島にした責任だ。原発を作ったことと何も変わりが無いのだ。何故、そうした堅実な取り組みがないのだ。

 与那国島の活性化計画に国の予算を出さないのであれば、離島防衛の塗り固められたウソが白日にさらされることになる。無人島の防衛と言うことではつじつまが合わなくなる。それは有人国境離島地域(14地域)の共通の問題である。

 今与那国ではシャルター建設が言われている。市庁舎を作り直しその地下にシェルターを作りたいと言うことらしい。ともかく仕事が欲しいと考えている与那国島の土木関係者はこの計画にとても乗り気である。このように島自体の自衛隊依存が高まる。

 対馬の核のゴミ誘致計画も島の将来の不安から出てきたものだ。対馬にも自衛隊基地がある、ミサイル基地も出来る可能性がある。14の離島が衰退し始めている。特に礼文、利尻、奥尻の北海道の国境の離島が、無人島になるのでは無いかと言われている。

 礼文島は、1955年には1万人近くの人が暮らしていた。現在は人口約2600人 。10年後の推計値では1800人となっている。急速に人口減少が進んでいる。これは離島ではなくとも、日本全国の中山間地、特に北海道で普通に起きていることだ。

 問題は国境の自衛隊が駐屯する基地の島が無人島で良いのかという問題だ。この問題をきちっと議論しないと、離島に暮らす人達が追い詰められることになる。基地を作るなら、基地のためにも、その島の人が暮らせるようにしなければならないはずだ。その費用も国防費である。

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