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植物観察)ペラペラヨメナ

2024-05-14 09:42:45 | 植物観察記録

ペラペラヨメナ(ぺらぺら嫁菜)
Erigeron karvinskianus
キク科ムカシヨモギ属
別名:ゲンペイコギク(源平小菊)、ムキュウギク(無休菊)、ペラペラヒメジョオン(ぺらぺら姫女菀)、メキシコヒナギク(墨西哥雛菊)

中央アメリカ原産の多年草。茎下部と根は木化する。茎は下部から多く枝分かれして横に広がる。葉は茎下部のものは倒卵形で先は3中裂して有柄、上部のものは全縁で無柄。両面とも毛を散生する。花は長柄の先に単生し、舌状花は白色で次第に赤色を帯び、筒状花は黄色。石垣の隙間ようなところに好んで生え、私見だが、どちらかというと良く日の当たる乾いた石垣よりも、湿った苔の生えているような石垣で繁茂しているように思われる。アフリカ、ヨーロッパ、アジアに移入分布し、国内では関東地方以南の本州、四国・九州に分布する。神奈川県内では、以前より箱根湯本付近で定着していたが、現在は県内各地に広がり、珍しいものではなくなってしまった(神奈川県植物誌 2018)。環境省 農林水産省 生態系被害防止外来種リストの「その他総合対策外来種」。

和名の「ペラペラヨメナ」は、キク科植物の権威で保育社「原色日本植物図鑑」の著者の一人、北村四郎博士(1906年9月22日 - 2002年3月21日)が、1949年6月30日に京都大学の標本庫の西側の壁際に野生化しているのを採集した標本につけていた名前[北村四郎 植物分類・地理 (1962)]。標本には「ペラペラヒメジヨオン」とも付してあったそうだ。ヨメナはシオン属だが、ヒメジョオンはムカシヨモギ属なので、「ペラペラヒメジョオン」のほうが和名としては適切の様にも思うが、博士は『一見ヒメジヨオンに似ているが丈が低くて枝が開出し、花柱の先が披針形(シオン属・ヨメナ属・ムカシヨモギ属) でなく円形であるのでちがう。』としている。当初、本種はニュージーランド原産のVittadinia triloba であるとして報告されたが、その後、花柱先端の形状から、E. karvinskianus に訂正された[北村四郎 植物分類・地理 (1972)]。別名の「ゲンペイコギク」は、白花を源氏の白旗に、紅花を平家の紅旗に見たてたもので、「ムキュウギク」は花期が長いことからつけられた名前。「メキシコヒナギク」は、本種が明治の末に園芸植物として導入された際の英名である「 Mexican Daisy」に由来する[山崎 敬 植物研究雑誌 (1991)]。

 

2024年5月8日 神奈川県横須賀市上町

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