Multiple feedback loops through cytokinin signaling control stem cell number within the Arabidopsis shoot meristem
Gordon et al. PNAS (2009) 106:16529-16534.
doi:10.1073/pnas.0908122106
Cytokinin and WUSCHEL tie the knot around plant stem cells
Robert Sablowski PNAS (2009) 106:16016-16017.
doi:10.1073/pnas.0909300106
シロイヌナズナの茎頂分裂組織(SAM)は、髄状部(RM)で発現している膜貫通受容体キナーゼCLAVATA1(CLV1)に未分化状態を維持しながら増殖する中心部(CZ)で生産される分泌性ペプチドCLAVATA3(CLV3)がリガンドとして結合し、RMで発現してCZの多能性に関与しているホメオドメイン転写因子WUSCHEL (WUS )の発現を負に制御することで幹細胞集団のサイズが維持されている。このCLV /WUS 回路によるSAMの形成/維持には幹細胞の生産するサイトカイニンが関与している。サイトカイニンはCLV1 の発現を抑制し、サイトカイニンシグナルの負の制御因子であるタイプAレスポンスレギュレーターARR5 の発現を誘導すること、さらにWUSがARR5 の発現を抑制していることが知られている。カリフォルニア工科大学のMeyerowitz らのグループは、サイトカイニンによるWUS の発現誘導は、サイトカイニンによるCLV1 の発現抑制による経路と、CLVを介さずにサイトカイニンが直接WUS の発現を誘導する経路の2つがあることを明らかにした。また、サイトカイニン受容体AHK4 の発現はSAMの中心部に限定されており、WUS の発現部位と重なることを示した。したがって、サイトカイニンシグナルとWUS 発現の間には複数のフィードバックループが存在し、WUS の発現をSAMの限られた領域に限定することで幹細胞集団を維持していると考えられる。