Laboratory ARA MASA のLab Note

植物観察、読んだ論文に関しての備忘録
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植物観察)春の北海道 野幌

2017-04-23 16:10:27 | 植物観察記録

今日は野幌森林公園に行きました。この時期、咲いている花の種類や数は少なく、ミズバショウ、ザゼンソウ、エゾエンゴサク、スミレ類が見られました。バイケイソウは草丈が20cm程度で、葉の展開が始まったところでした。先週の箱根では、バイケイソウの草丈が30cm程になっていたので、現時点での成長はやはり北海道の方がやや遅れています。

 

野幌森林公園のバイケイソウの様子

 

草丈は20cm程になり、葉の展開が始まった

 

この時期見られる花は少なく、ザゼンソウやミズバショウが湿地で見られた

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植物観察)春の北海道 旭川

2017-04-22 16:02:12 | 植物観察記録

旭川へバイケイソウの観察に行きました。昨年、この調査地では花成した個体が久しぶりに3個体あり、それらは今年子ラメットを1つもしくは2つ出芽させていました。今年は花成個体がどのくらい現れるのでしょうか。6月の開花期調査が楽しみです。調査地で見られた花としては、ナニワズ、エゾエンゴサク、フクジュソウが主で、カタクリは大部分が蕾でした。おそらく見頃は今月末あたりだろうと思われます。

 

バイケイソウは草丈20cm程に成長し、葉が展開し始めた

 

群生地をよく見ると、このような環状集団をよく見る
おそらく同一ジェネットが花成後の分枝でクローン増殖したもの

 

カタクリの見頃は今月末あたりになりそう

 

カタクリは落ち葉を押しのけて地上に現れるのではなく、落ち葉を突き破って出芽する

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論文)林床植物の避陰反応抑制

2017-04-20 19:37:30 | 読んだ論文備忘録

Molecular Profiles of Contrasting Shade Response Strategies in Wild Plants: Differential Control of Immunity and Shoot Elongation
Gommers et al. Plant Cell (2017) 29:331-344.

doi:10.1105/tpc.16.00790

植物を高密度で育成すると、光を得るために避陰反応(SAS)と呼ばれるシュートの伸長が起こる。これは周囲の植物から反射する遠赤色光を受容したフィトクロムからのシグナルが伸長を活性化することによって引き起こされる。しかしながら、このような反応は森林の下層に生える植物では見られない。林床植物は、低R:FR比の光によって誘導される茎の伸長が抑制され、弱光での光合成に適応した葉の形態や生物/非生物ストレスに対する耐性といった日陰に対する耐性を進化させてきた。しかし、避陰反応が誘導されるような光条件で日陰耐性植物はどのようにして反応を阻害しているのかは明らかではない。オランダ ユトレヒト大学Pierik らは、生息環境の異なる2種のフウロソウ属植物、ピレネーフウロ(Geranium pyrenaicum )とヒメフウロ(Geranium robertianum )の光応答を比較した。ピレネーフウロは典型的な避陰反応を示し、低R:FR光条件で葉柄が伸長するが、ヒメフウロはそのような応答を示さない。葉柄伸長の日変化を見ると、低R:FR光照射初期は両種とも葉柄の伸長が促進されるが、ヒメフウロでは低R:FR光照射を開始する時間帯に関係なく夕方~夜間になるにつれて低R:FR光照射による葉柄伸長が低下した。一方、ピレネーフウロでは、17:30および20:00に低R:FR光の照射を開始した際に夜間の葉柄伸長が抑制されたが、それ以外は時間帯に関係なく低R:FR光によって急速に葉柄伸長が誘導された。この結果をもとに、低R:FR光および対照としての白色光の照射開始2時間後と11.5時間後の葉柄先端部のトランスクリプトーム解析を行ない、成長の違いに関与する遺伝子について調査した。ピレネーフウロでは、低R:FR光照射2時間後で533のOMCL(シロイヌナズナ遺伝子のオーソログと推測される転写産物)グループが異なる制御を受け、11.5時間後では6357に増加していた。ヒメフウロでは、2時間後は1482、11.5時間後は1396の発現の異なるOMCLグループが見られた。両種間では、SASに関与すると思われる遺伝子(R/FR光シグナル伝達、R/FR光応答、避陰)の発現に差異が見られ、特に、11.5時間後の差異が顕著であった。ピレネーフウロでは、食稙者や病原体に対するジャスモン酸(JA)を介した防御において機能するOMCLグループの多くが低R:FR光照射11.5時間後に発現量を減少させていた。しかしながら、ヒメフウロでは、そのような変化は見られないか、僅かに見られるだけであった。JA処理によって発現誘導されるJASMONIC ACID RESPONSIVE3JR3 )、TRANSPARENT TESTA7TT7 )、PRODUCTION OF ANTHOCYANIN PIGMENT1PAP1 )は、同時に低R:FR光処理をすることで発現誘導が抑制されることがシロイヌナズナにおいて示されており、同様の現象がピレネーフウロにおいても観察されたが、ヒメフウロではそのような発現量変化は見られなかった。ピレネーフウロは、低R:FR光照射下で灰色かび病菌(Botrytis cinerea )に対する罹病性が高くなったが、ヒメフウロでは罹病性が低下した。したがって、両種の低R:FR光応答性の違いは病害抵抗性の差異にまで及んでいることが示唆される。低R:FR光による両種の成長の差異に関与するOMCLグループとして、ピレネーフウロでは低R:FR光照射2時間後も11.5時間後も発現量が増加しているが、ヒメフウロでは2時間後のみ発現量が増加するグループを探索した。その結果、31のOMCLグループが見出され、その中にはGIBBERELLIC ACID 20 OXIDASE2GA20OX2 )、XYLOGULUCAN ENDOTRANSGLUCOSYLASE/HYDROLASE9XTH9 )、幾つかのSMALL AUXIN REGULATED RNASAUR )といったSASに関与すると考えられる遺伝子が含まれていた。そして発現量変化する遺伝子の中からbHLH転写因子をコードするKIDARIKDR )とCatharanthus roseus receptor-like kinase(CrRLKs)ファミリーのTHESEUS1THE1 )とFERONIAFER )についてさらに解析を行った。ピレネーフウロにおいて、KDR の発現量は低R:FR光照射によって急速に大きく増加し、夜間に減少した。THE1FER の低R:FRによる発現誘導はKDR よりも遅く、増加量も少なく、夜の初めに最大となった。ヒメフウロでは、これら3遺伝子の低R:FR光照射による発現量の変化は殆ど見られなかった。KDRTHE1FER がSASの制御に関与しているかを調査するために、シロイヌナズナにおけるそれぞれの遺伝子の変異体を解析したところ、それらの変異体芽生えは低R:FR光照射下での胚軸伸長促進が低下していた。またこれらの遺伝子のアクティベーションタグ系統や過剰発現系統では低R:FR光照射に対する感受性が高くなっていた。シロイヌナズナ葉柄においてKDR は、SASのマーカー遺伝子のIAA19ATHB2 と同様に、低R:FR光照射によって発現が誘導された。以上の結果から、低R:FR光条件の異なる環境に生育する植物の成長や病害抵抗性の差異は、避陰反応を制御する転写因子の発現誘導の違いによってもたらされていると考えられる。

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植物観察)箱根

2017-04-16 22:24:19 | 植物観察記録

箱根へバイケイソウの観察に行ってきました。もう少し早めに行きたかったのですが、4月に入ってから週末の天気が悪かったため、今日が今年度最初の箱根での観察となりました。バイケイソウは草丈30cm程に成長していました。昨年花成した12個体の子ラメット数をみると、子ラメット2株のものがもっと多く8個体、子ラメット3株が2個体、1株が1個体で、子ラメットなし(4月16日時点)が1個体ありました。平均すると花成によって子ラメットが1.92株できたことになり、2013年の一斉開花の翌年に調査した箱根の花成個体から形成された平均子ラメット1.39株よりもやや多くなっています。一斉開花年と通常年で翌年発芽する子ラメット数が異なるのかについてはもう少しデータを取っていきたいと思います。そして注目の今年の花成がどうなるかということについては、まだちょっと判りませんでした。

 

バイケイソウは草丈30cm程に成長していました

 

昨年花成した個体からは子ラメットが平均1.91株できていました

 

今年のバイケイソウの花成についてはまだ判りません

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論文)茎頂および根端での細胞分裂活性制御

2017-04-12 05:26:39 | 読んだ論文備忘録

Differential TOR activation and cell proliferation in Arabidopsis root and shoot apexes
Li et al. PNAS (2017) 114:2765-2770.

doi:10.1073/pnas.1618782114

発芽した芽生えのシュートと根の成長は、異なる環境シグナルが制御しており、シュートは光が、根は栄養が成長パターンを決定する要因となっている。暗所で発芽させたシロイヌナズナ芽生えは胚軸が黄化して本葉を形成しないが、明所で発芽させた場合には光形態形成を示して本葉を形成し、胚軸が短くなる。一方、芽生えに栄養としてグルコースを与えると、光条件に関係なく主根の成長が促進される。中国科学院 上海生命科学研究院 上海植物逆境生物学研究中心Xiong らは、細胞分裂レポーターとしてpCYCB1;1::GUS を導入した芽生えの根とシュートの分裂活性を調査した。その結果、根分裂組織は光条件に関係なくグルコース処理によって活性化され、茎頂の分裂活性化にはグルコースと光の両方が必要であり、グルコースもしくは光の単独処理では茎頂の活性化は僅かであることがわかった。したがって、グルコースと光は茎頂の活性化において2つの異なるシグナル伝達経路を誘導しているものと思われる。茎頂でのpCYCB1;1::GUS の活性化は、15分の光照射で引き起こされた。青色光受容体の変異体cry1cry2 および赤色光受容体の変異体phyAphyB では、青色光および赤色光による本葉の発達が野生型よりも大きく低下していた。これらの結果から、光は本葉の発達を促進する直接のシグナルとして機能していることが示唆される。よって、根分裂組織の活性化にはグルコースのみが必要で、本葉形成のための茎頂の活性化には光シグナルとグルコースの両方が必要である。著者らの過去の研究で、グルコースは根分裂組織の細胞分裂活性化に関与しているプロテインキナーゼTOR(target of rapamycin)シグナルを制御していることを見出している。そこで、TORシグナルが茎頂の細胞分裂も制御しているかを調査した。TOR活性を阻害するラパマイシンもしくはトリン2の添加、およびエストラジオール誘導tor 変異体では、光とグルコースによる本葉形成が抑制された。したがって、TOR活性は茎頂での細胞分裂に必要であることが示唆される。グルコースは根端のTORキナーゼを活性化させたが、茎頂のTORキナーゼは光もしくはグルコースの単独処理では活性化されず、両者を処理した場合のみ強く活性化された。したがって、植物はシュートの発達においてTORキナーゼ活性を制御するために光シグナルとグルコースシグナルを統合していると考えられる。植物ホルモンのオーキシンは、細胞分裂に必要であり、TORシグナル伝達に関与していることが知られている。さらに、光はオーキシンシグナルを活性化する上流シグナルの1つとなっている。そこで、グルコースと共にオーキシンを与えたところ、茎頂のTORキナーゼが活性化された。よって、オーキシンはTORの活性化において光シグナルの下流で作用していると考えられる。オーキシン単独では茎頂のTORキナーゼや細胞分裂は活性化されないことから、TORキナーゼの活性化にはグルコースとオーキシンの両方が必要であると考えられる。オーキシンの添加は根の分裂活性を高めなかったが、これはおそらく根端では内生のオーキシンシグナルで飽和している為であると思われる。DII-VENUS導入個体を用いてオーキシン量を調査したところ、光は茎頂のオーキシン蓄積量を増加させるが、根端のオーキシン量には影響しないことがわかった。光はオーキシン生合成遺伝子のYUCCAYUC )の発現を促進することが知られており、芽生えに光照射することで茎頂のYUC2YUC4YUC7 の発現量が増加した。YUCCA特異的阻害剤ユカシンは、光による茎頂の細胞分裂の活性化を抑制し、この抑制はオーキシン添加によって打ち消された。したがって、光シグナルはオーキシンの生合成と蓄積を促進することでシュートの活性化を引き起こしていると考えられる。ユカシン処理は、グルコース処理した根分裂組織のオーキシン蓄積と細胞分裂についても抑制した。よって、オーキシンは根分裂組織の細胞分裂の制御においても重要であると考えられる。これらの結果から、オーキシンシグナルはTORキナーゼを活性化するもう1つの制御因子であり、グルコースとオーキシンの両方が活性化に必要であることが示唆される。根分裂組織では、比較的オーキシン濃度が高いので、グルコースの存在によって暗所でTORキナーゼが十分に活性化されるが、茎頂ではTORを活性化させるためのオーキシン蓄積に光が必要となる。植物の様々な成長過程を制御しているRho of Plants(ROP)GTPase ROP2の恒常的活性型(CA-ROP2)を発現しているシロイヌナズナは、暗所において光形態形成の表現型を示す。また、ROP2TOR は共に茎頂で発現している。これらの事実から、ROP2が光-オーキシンシグナルを伝達してTORキナーゼを活性化していることが推測される。共免疫沈降試験から、ROP2とTORは直接相互作用をすることが確認された。ユカシン処理はTORキナーゼ活性を阻害するが、オーキシン処理やCA-ROP2発現はTORキナーゼを再活性化させた。したがって、オーキシンはROP2を活性化してTORキナーゼ活性を活性化していることが示唆される。明所で育成した芽生えのROP2活性は暗所で育成した芽生えよりも高く、グルコースはROP2の活性化に対して効果を示さなかった。ユカシン処理をすることで、光によるROP2の活性化は見られなくなり、暗所で育成した芽生えをオーキシン処理するとROP2が活性化された。これらの結果から、光によるROP2の活性化はオーキシンに依存していることが示唆される。CA-ROP2を35Sプロモーター制御下で恒常的に発現させた芽生えは、暗所においても茎頂でのpCYCB1;1::GUS の発現が活性化しており、本葉が発達した。CA-ROP2による暗所での本葉の発達はラパマイシンやトリン2によって阻害された。よって、TORキナーゼはCA-ROP2シグナルの下流に位置していることが示唆される。また、CA-ROP2においてもTORキナーゼと茎頂の活性化にはグルコースが必要であった。これらの結果は、CA-ROP2はTORキナーゼ活性と細胞分裂の活性化において光-オーキシンシグナルの代替となるが、グルコースシグナルの代替とはならないことを示している。TORキナーゼは、S期遺伝子を活性化する転写因子のE2FaとE2Fbをリン酸化した。E2Fa は主に根で発現しており、根分裂組織の活性化に関与している。E2FaE2Fb の単独変異体は茎頂の発達に変化は見られないが、E2Fb の発現量が50%低下したe2fa E2Fb RNAi 変異体は、光とグルコース処理による本葉の発達が抑制され、茎頂でのS期遺伝子の発現量が減少していた。したがって、TORキナーゼシグナルの下流では様々な転写因子が機能していると思われるが、茎頂の活性化に関してはE2FaとE2Fbが重要であると考えられる。以上の結果から、茎頂および根端での細胞分裂活性はTORキナーゼによって制御されており、光シグナル、オーキシンシグナル、栄養シグナルの統合によって活性化されたTORキナーゼが転写因子のE2FaとE2Fbを直接リン酸化し、このことによってS期遺伝子の転写活性が促進され細胞分裂が活性化すると考えられる。

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論文)アブシジン酸による根毛成長抑制

2017-04-05 22:42:02 | 読んだ論文備忘録

ABA Suppresses Root Hair Growth via the OBP4 Transcriptional Regulator
Rymen et al. Plant Physiology (2017) 173:1750-1762.

doi:10.1104/pp.16.01945

理化学研究所 環境資源科学研究センター杉本らは、シロイヌナズナの細胞増殖を制御する新規転写因子を単離することを目的に、葉と根の両方の成長過程において発現量が増加する遺伝子に着目、DNA BINDING WITH ONE FINGER(DOF)-タイプ転写因子のATDOF3/DOF5.4/OBF BINDING PROTEIN4(OBP4)について詳細な解析を行なった。OBP4は根分裂組織の細胞増殖領域の表皮細胞で発現してしており、他にも根毛や根冠で発現していた。OBP4とグルココルチコイド受容体(GR)との融合タンパク質を用いてOBP4を異所的に活性化させる解析から、OBP4は植物の成長を著しく抑制することがわかった。これは、異所的なOBP4の活性化が細胞増殖を早期に停止させ、最終的な細胞のサイズが小さくなっていることによって引き起こされており、実際に根毛細胞や成熟葉の表皮細胞は細胞が小さくなっていた。OBP4-GRを活性化させた芽生えの根端では、活性誘導12時間後で640遺伝子、24時間後で1132遺伝子の発現に変化が見られた。12時間後に発現量が変化している遺伝子の80%以上は発現が抑制されていたが、24時間後では発現が誘導された遺伝子と抑制された遺伝子がほぼ同数であった。12時間後に発現が抑制さていた遺伝子は、水輸送、根毛分化、外部刺激応答に関連するものであった。24時間後に発現抑制されていた遺伝子も12時間後と同様の遺伝子オントロジーものもが含まれており、さらに細胞壁修飾/形成、二次代謝関連のものが見出された。一方で、一部の二次代謝経路やストレス応答に関与する遺伝子はOBP4の活性化によって発現が誘導された。根毛に関するデータベースiRootHairで提示されている138の遺伝子のうち、29の根毛遺伝子の発現がOBP4-GRの活性化によって変化し、これらのうちの90%は発現が抑制されていた。OBP4によって発現が抑制された根毛遺伝子は、根毛のパターン形成や誘導といった初期過程を制御するものよりも先端成長を制御する遺伝子といった根毛形成の後期課程に関与しているものが多く含まれていた。bHLH型転写因子のROOT HAIR DEFECTIVE6(RHD6)とそのホモログのRHD6-LIKE1(RSL1)~RLS5は根毛形成の制御に関与していることが知られている。OBP4-GRの活性化は、新規タンパク質合成なしにRSL2RSL3 の発現を抑制し、OBP4はRSL2 遺伝子プロモーター領域の開始コドン300 bp上流付近に結合することが確認された。よって、OBP4は直接RSL2 プロモーターに結合して発現を制御していることが示唆される。根毛の成長はアブシジン酸(ABA)によって阻害されることが知られているが、ABA処理によってOBP4が蓄積することが顕微鏡観察によって確認された。ABA処理による根毛伸長の阻害は、OBP4-GRを活性化することによってABAの効果が見られなくなることから、OBP4はABAによる根毛伸長制御に大きく貢献していると考えられる。RSL2RSL3 の発現はABA処理によって大きく減少した。rsl2 変異体は野生型よりも根毛が短く、ABAを添加しても根毛伸長の抑制効果が殆ど見られなかった。一方、rsl3 変異体は野生型と同等のABA応答を示した。rsl4 変異体も根毛が短い表現型を示すが、根毛伸長がABA処理によって強く阻害された。したがって、ABAによる根毛成長の抑制は、大部分がRSL2 の発現抑制によるものであることが示唆される。RSL2 の発現は野生型とobp4 変異体との間で差は見られず、ABA処理による発現量の減少も同じように見られた。以上の結果から、シロイヌナズナにおけるアブシジン酸による根毛成長阻害は、OBP4を介したRSL2 の転写抑制によるものであることが示唆される。

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論文)ブラシノステロイドシグナルと乾燥応答との関係

2017-04-02 09:55:49 | 読んだ論文備忘録

RD26 mediates crosstalk between drought and brassinosteroid signalling pathways
Ye et al. Nature Communications (2017) 8:14573.

DOI: 10.1038/ncomms14573

ブラシノステロイド(BR)は植物の成長やストレス応答を制御していることが知られている。幾つかの研究から、BR処理によって植物の乾燥耐性が高まることが報告されており、一方でBR欠損変異体は乾燥耐性が高まることも報告されている。また、乾燥によって誘導される転写因子RESPONSIVE TO DESICCATION 26(RD26)やそのホモログがBRシグナル伝達に関与しているBRI1 EMS SUPPRESSOR 1(BES1)やBRASSINAZOLE RESISTANT 1(BZR1)の直接のターゲットとなっており、ブラシノライド(BL)処理によってRD26 の発現が抑制されることが知られている。米国 アイオワ州立大学Yin らは、BES1はRD26 遺伝子のプロモーター領域にあるBRRE部位に結合することをクロマチン免疫沈降(ChIP)試験で確認し、BES1タンパク質が過剰蓄積するbes1-D 変異体ではRD26 の発現が抑制されていることを見出した。RD26 を過剰発現させたシロイヌナズナ(RD26OX )は成長が抑制され、bes1-D RD26OX 植物はbes1-D 機能獲得変異体の表現型を抑制した。しかし、この植物体でのBES1タンパク質量やBES1タンパク質のリン酸化状態に変化は見られないことから、RD26はBES1の下流においてBRを介した成長を抑制していると考えられる。RD26OX の芽生えは、胚軸が短く、BR生合成阻害剤のブラシナゾール(BZR)に対する感受性が高く、BL処理による胚軸伸長促進が低下していた。RD26とそのホモログであるANAC019ANAC055ANAC102 が機能喪失したrd26 anac019 anac055 anac102 四重変異体は野生型よりもBR応答性が高く、BRZ感受性が低下していた。よって、RD26とそのホモログはBRシグナル伝達経路において負の制御を行なっていると考えられる。RNA-seq解析の結果、RD26OX では、3246遺伝子の発現量が野生型よりも増加し、5479遺伝子の発現量が減少していることがわかった。野生型植物をBL処理すると2678遺伝子の発現量が増加し2376遺伝子の発現量が減少するが、発現量が増加する遺伝子の43%(グループ1、1141遺伝子)はRD26OX で発現量が減少し、20%(グループ3、539遺伝子)はRD26OX で発現量が増加していた。BL処理によって発現量が減少する遺伝子のうち、25%(グループ2、595遺伝子)はRD26OX で発現量が増加しており、35%(グループ4、823遺伝子)は発現量が減少していた。BR応答性が低下しているrd26 anac019 anac055 anac102 四重変異体では、405遺伝子の発現量が野生型よりも増加し、378遺伝子の発現量が減少していた。BES1はターゲット遺伝子のBRRE部位に結合して遺伝子の発現を抑制し、BZR1はターゲット遺伝子のE-boxに結合して遺伝子発現を活性化する。BRREエレメントは特にグループ2に属する遺伝子のプロモーター領域に多く見られ、E-boxはグループ1遺伝子のプロモーター領域に多く見られた。グループ1およびグループ2に属する遺伝子のプロモーターにレポーターとしてルシフェラーゼ遺伝子を融合したコンストラクトを用いで一過的発現解析を行なったところ、グループ2遺伝子の発現はBES1によって抑制され、RD26によって活性化されること、逆にグループ1遺伝子の発現はBES1によって活性化され、RD26によって抑制されること、RD26BES1 を共発現させるとレポーター遺伝子の発現は中程度になることがわかった。したがって、RD26とBES1はBRによって発現制御される遺伝子に対して拮抗的に作用していることが示唆される。RD26を含むNAC転写因子が結合するDNAモチーフの配列はE-boxやBRREと類似しており、RD26とBES1は同じ部位に結合してターゲット遺伝子の発現を調節していることが推測される。酵母two-hybridアッセイ、クロマチン免疫沈降、ゲルシフトアッセイ、BiFCアッセイから、RD26はBRRE部位においてBES1と相互作用をしてBES1によるターゲット遺伝子の発現抑制を阻害し、E-boxにおいてBES1と相互作用をしてBES1によるターゲット遺伝子の活性化を阻害することが示された。乾燥ストレスによって2503遺伝子の発現が誘導され、2862遺伝子の発現が抑制される。RD26OX では乾燥ストレス制御を受ける遺伝子のうち、乾燥で誘導される遺伝子の38%(963遺伝子)と抑制される遺伝子の12%(346遺伝子)の発現量が増加しており、乾燥で抑制される遺伝子の45%(1299遺伝子)と誘導される遺伝子の19%(488)の発現量が減少していた。このことから、RD26は乾燥ストレス応答において主要な役割を演じていると考えられる。また、BRによって発現制御を受ける遺伝子の38%は乾燥による制御を受けていた。BR受容体の機能が低下したbri1-5 変異体は乾燥ストレスに対する耐性が増加しており、bes1-D 機能獲得変異体は乾燥ストレス耐性が低下していた。RD26ANAC019ANAC055ANAC102 および乾燥耐性に関与する遺伝子(BOS1ERD1 、At1g29395、At3g62650、At1g10070)の発現は、bri1-5 変異体で増加し、bes1-D 変異体で減少していた。したがって、乾燥応答遺伝子は機能喪失BR変異体では恒常的に発現し、機能獲得変異体では抑制されており、BRシグナル伝達経路は乾燥応答を、おそらくRD26 とそのホモログの発現を抑制することで阻害していると考えられる。bes1-D RD26OX 二重変異体では、乾燥応答におけるbes1-D 変異の表現型が打ち消されていた。また、RD26OXbes1-D RD26OX 二重変異体ではbes1-D 変異体で発現誘導されていた幾つかの遺伝子で発現量の低下が見られた。BES1とRD26/ホモログの遺伝子制御ネットワーク(GRN)を比較すると、RD26 と3つのホモログは直接もしくは他の遺伝子を介して発現の相関性が見られるが、BES1 は他の遺伝子との関連性が低くなっていた。またRD26/ホモログのクラスターとBES1のクラスターはBOS1 遺伝子のみを介して繋がっていた。RD26-BES1 GRNの103遺伝子のうち、82%の遺伝子にRD26OX で発現量に変化が見られたが、これはRD26OX で発現量変化した遺伝子のわずか1/3であった。同様に、GRNで提示された遺伝子の72%が乾燥によって、52%がBRによって発現量が変化したが、どちらも実際に発現量変化を示した遺伝子の1/4程度であった。GRNとRNA-seqデータから、BES1を介したBRシグナル経路とRD26による乾燥応答との間には相互作用が見られ、その相互作用は転写レベルにおいても見られるが、多くは両者のタンパク質相互作用のような転写後の制御であると思われる。以上の結果から、ブラシノステロイドと乾燥応答はRD26を介して関連しており、BRシグナル伝達に関与するBES1はRD26 遺伝子の発現を抑制し、RD26はBES1と相互作用をすることでBES1によるターゲット遺伝子の転写活性化を阻害していることが明らかとなった。この相互の阻害機構は、BRによって誘導される成長を乾燥条件下で阻害するだけでなく、植物がBRに応答して成長する際の不必要な乾燥応答を妨げる役割があると考えられる。

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論文)サイトカイニンによる葉緑体遺伝子の発現制御

2017-03-24 21:42:55 | 読んだ論文備忘録

Opposite roles of the Arabidopsis cytokinin receptors AHK2 and AHK3 in the expression of plastid genes and genes for the plastid transcriptional machinery during senescence
Danilova et al. Plant Molecular Biology (2017) 93: 533-546.

DOI: 10.1007/s11103-016-0580-6

サイトカイニンは葉の老化を遅延させるが、その過程での葉緑体遺伝子の発現制御については明らかではない。ロシア科学アカデミー チミリャーゼフ植物生理学研究所のKudryakova らは、シロイヌナズナのサイトカイニン受容体であるヒスチジンキナーゼAHK2、AHK3、AHK4/CRE1の変異体を用いて葉の老化を解析した。3週目と7週目の第6葉について、クロロフィル含量、老化のマーカー遺伝子のSAG12 とクロロフィルa/b-結合タンパク質をコードするCAB2 の転写産物量を調査した。野生型、ahk3 変異体、ahk3 ahk4 二重変異体の7週目の植物の全クロロフィル含量は、3週目の植物と比べて大きく減少していたが、AHK2 が機能喪失した変異体(ahk2ahk2 ahk3ahk2 ahk4 )では減少の遅延が見られた。また、ahk2 変異体、ahk2 ahk3 二重変異体、ahk2 ahk4 二重変異体の7週目植物は、野生型、ahk3 変異体、ahk3 ahk4 二重変異体と比べてCAB2 転写産物量が多く、SAG12 転写産物量が少なくなっていた。さらに、AHK2 の機能喪失は、リブロース二リン酸カルボキシラーゼ小サブユニット(RBCS)やPSⅡ集光性クロロフィルタンパク質のLHCB2.4をコードする遺伝子の転写産物量の減少が抑制されていた。ahk4 変異体は野生型と比較して幾分CAB2RBCS 転写産物量が増加し、SAG12 転写産物量が減少している程度で、野生型との差は他の変異体に比べて少なかった。したがって、AHK4はAHK2やAHK3と比較すると植物体の老化における役割は小さいと思われる。AHK2 の機能喪失は、抽だい、花成、長角果形成、種子成熟を遅延させた。したがって、AHK3が老化を遅延させるのに対して、AHK2は老化誘導に関与していることが示唆される。また、ahk2 変異体、ahk2 ahk3 二重変異体、ahk2 ahk4 二重変異体の7週目植物は、野生型よりもクロロフィル蛍光が高くなっていた。次に老化による葉緑体遺伝子の発現量変化を調査した。その結果、AHK2 が機能喪失した変異体の老化葉では多くの葉緑体遺伝子の転写産物量が野生型よりも増加しており、このことが葉の老化遅延の原因となっていると思われる。野生型植物の老化葉はサイトカイニン(trans-ゼアチン)処理によって葉緑体遺伝子の転写産物の蓄積量が増加するが、ahk2 変異体ではサイトカイニン処理による発現誘導効果が低下していた。また、ahk4 変異体は野生型とは異なるサイトカイニン応答を示した。サイトカイニン処理による葉緑体遺伝子の応答がサイトカイニン受容体の変異体で異なることは、それぞれの遺伝子は独立した制御を受けており、葉緑体ゲノム全体の転写が活性化されるのではないことを示唆している。そして、サイトカイニン受容体は老化葉の葉緑体へのシグナル伝達に特異性があり、サイトカイニンに応答した葉緑体遺伝子の転写活性化には1つのサイトカイニン受容体だけでは不十分であると考えられる。葉緑体での転写には核コードのT7ファージ型RNAポリメラーゼのRPOTpとRPOTmpが関与している。野生型植物の老化葉ではサイトカイニン処理によってRPOT 遺伝子の発現が誘導されるが、ahk3 変異体、ahk2 ahk3 二重変異体では発現誘導が低下していた。また、AHK2 が機能喪失した変異体はRPOTp 転写産物量が野生型よりも多かった。よって、個々のサイトカイニン受容体でRPOTpRPOTmp の発現制御が異なり、このことが葉緑体遺伝子の発現量の差異をもたらしていると考えられる。葉緑体遺伝子の転写制御は、核コードのσ因子も関与しており、シロイヌナズナでは6つの因子(SIG1-SIG6)が見出されている。葉緑体遺伝子の発現において、個々の因子は重複して機能しており、発現量は植物体の発達ステージや環境条件に依存している。サイトカイン受容体の変異体では、成熟した葉緑体で最も活性のあるSIG1をコードする転写産物が定常状態において野生型よりも多くなっていた。サイトカイニン処理をすることでSIG1 転写産物量は増加するが、ahk2 ahk3 変異体、ahk2 ahk4 変異体は定常状態での発現量が既に高いためにサイトカイニン処理による増加は僅かであった。サイトカイニン処理は、SIG2SIG3SIG4SIG6 の発現も誘導し、ahk2 変異体、ahk4 変異体、ahk2 ahk3 変異体は発現量の増加が大きくなっていた。定常状態でのSIG3SIG4SIG6 の発現は、AHK2 が機能喪失した変異体で高くなっていた。これらの結果から、老化葉でのσ因子遺伝子の発現におけるサイトカイニンの効果の差異は、核コードRNAポリメラーゼの発現の差異と共に、様々な葉緑体遺伝子の転写産物量蓄積量変化を制御していると考えられる。以上の結果から、老化葉での葉緑体遺伝子の発現は、個々のサイトカイニン受容体によって異なる制御を受けており、これは核コード遺伝子の発現量の変化に依存していると考えられる。

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学会)第64回日本生態学会大会(東京)

2017-03-15 22:24:51 | 学会参加

第64回日本生態学会大会(ESJ64)が、2017年3月14日(火)~18日(土)に早稲田大学早稲田キャンパスで開催された。シンポジウムや口頭発表の会場となった3号館は、旧3号館を改修して2014年に竣工した地下2階、地上14階、高さ67.84mの校舎。古い建物を活かしながら、内部には最新の設備が備わり、大会運営もスムーズに行われていた(ちょっとポスター会場の16号館が窮屈だったか)。このキャンパスは、大隈重信像、會津八一記念博物館、大隈庭園といった見所にもあるれており、散策に訪れる人も多く見られた。

第64回日本生態学会大会(ESJ64)が早稲田大学早稲田キャンパスで開催された

 

キャンパス内にある大隈重信像

 

会場となった3号館

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論文)糖シグナルを拮抗的に制御する2つのMYB転写因子

2017-03-13 22:12:38 | 読んだ論文備忘録

Two MYB-related transcription factors play opposite roles in sugar signaling in Arabidopsis
Chen et al. Plant Molecular Biology (2017) 93:299-311.

DOI: 10.1007/s11103-016-0562-8

植物では様々な遺伝子が糖シグナルによる発現制御を受けている。イネのR1/2-type MYB転写因子 OsMYBS1は、α-アミラーゼの糖による発現制御に関与していることが知られている。台湾 国立中央大学Lu らは、シロイヌナズナのOsMYBS1ホモログのMYBS1(At1g49010)とMYBS2(At5g08520)について糖シグナルとの関係を調査した。MYBS1とMYBS2はR-R-type MYB転写因子に分類される。MYBS1 は、芽生え、ロゼット葉、茎生葉、花芽、花、長角果で発現しており、MYBS2 は植物体全体で恒常的に発現していた。また、MYBS1、MYBS2は共に核に局在していた。OsMYBS1はイネαAmy3 遺伝子プロモーター領域内にある糖応答エレメントのTA-box(TATCCA)に結合して転写を活性化する。TA-boxを含んだ合成プロモーターによるレポーター遺伝子(Luc )の発現解析から、MYBS1、MYBS2ともにTA-boxを含むプロモーターを活性化させることが確認された。種子を1%グルコースもしくは1%マンニトールを含む培地で発芽させ、遺伝子発現量を比較したところ、MYBS1MYBS2 ともにグルコース添加培地での発現量がマンニトール培地での発現量よりも高くなっていた。したがって、MYBS1MYBS2 の発現は糖による制御を受けていると考えられる。T-DNA挿入mybs1 およびmybs2 変異体は、通常生育条件では表現型が野生型と同等であった。そこで、これらの変異体の糖応答性を見たところ、4%グルコース添加培地での発芽率がmybs1 変異体は野生型よりも低くなり、芽生えの成長遅延も見られたが、mybs2 変異体の発芽率は野生型よりも高くなっていた。そして、mybs1 mybs2 二重変異体の発芽率は野生型と同等であった。これらの結果から、mybs1 変異体はグルコースに対する感受性が高く、mybs2 変異体は感受性が低いことが示唆され、MYBS1とMYBS2は糖シグナル伝達経路において対立した機能があると考えられる。糖は光合成、炭素代謝、窒素代謝、二次代謝に関与する様々な遺伝子の転写を制御している。4%グルコース培地で育成したmybs1 変異体芽生えは、ヘキソキナーゼ1をコードするHXK1 、ADP-Glcピロフォスフォリラーゼ大サブユニットをコードするAPL3 、カルコンシンターゼをコードするCHS 、β-アミラーゼをコードするBAMY3 スクロースシンターゼ1をコードするSUS1 の発現量が野生型よりも高く、mybs2 変異体ではこれらの遺伝子の発現量が野生型よりも低くなっていた。また、クロロフィルa/b結合タンパク質をコードするCAB1 、アスパラギン合成酵素1をコードするASN1 の発現量はmybs1 変異体で低く、mybs2 変異体で高くなっていた。グルコースシグナルはアブシジン酸(ABA)シグナルと関連していることが知られている。そこで、ABA添加培地での発芽率を見たところ、mybs1 変異体の発芽率は野生型よりも低く、mybs2 変異体は高くなっており、両変異体はABAに対する応答性が変化していた。野生型植物の4%グルコース添加培地での発芽遅延は、ABA合成阻害剤のフルリドンを添加することによって回復し、mybs1 変異体でも回復が見られた。したがって、mybs1 変異体はグルコース高感受性はABAの過剰生産による可能性がある。一方、mybs2 変異体ではフルリドン添加による高グルコース濃度培地での発芽率の変化は見られなかった。4%グルコース添加培地で発芽させたmybs1 変異体芽生えは、ABA生合成酵素をコードするABA1NCED3AAO3 の発現量が野生型よりも高くなっており、mybs2 変異体では低くなっていた。したがって、グルコースが誘導するABA生合成において、MYBS1はABA1NCED3AAO3 の発現を負に制御し、MYBS2は正に制御していることが示唆される。また、ABAによって発現誘導されABAシグナル伝達に関与するABI3ABI4ABI5 の発現量もmybs1 変異体で高く、mybs2 変異体で低くなっていた。以上の結果から、MYBS1とMYBS2はシロイヌナズナの種子発芽や芽生えの成長過程におけるグルコースおよびABAシグナル伝達において拮抗的に作用し、MYBS1は負の制御因子、MYBS2は正の制御因子として機能していると考えられる。

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