Laboratory ARA MASA のLab Note

植物観察、読んだ論文に関しての備忘録
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論文)SHORT-ROOTタンパク質の細胞間移動

2014-11-29 15:55:09 | 読んだ論文備忘録

The movement of the non-cell-autonomous transcription factor, SHORT-ROOT relies on the endomembrane system
Wu & Gallagher  The Plant Journal (2014) 80:396-409.

DOI: 10.1111/tpj.12640

植物細胞は転写因子を細胞から細胞へと移動させることで細胞間の位置や成長に関する情報のやり取りをしていることが知られている。GRASファミリー転写因子のSHORT-ROOT(SHR)は、根の中心柱細胞から内皮に移動して転写因子SCARECROWを活性化する。この移動はプラズモデスマータ(PD)を通してなされ、SHR INTERACTING EMBRYONIC LETHAL(SIEL)タンパク質との相互作用が移動を促進していることが知られているが、詳細は明らかとなっていない。米国 ペンシルバニア大学Gallagher らは、SHR-GFP融合タンパク質をCAPRICECPC )プロモーター制御下で発現させたシロイヌナズナの根では、GFP蛍光が本来のCPC 発現部位である中心柱と表皮非根毛細胞に加えて、内皮、皮層、表皮根毛細胞においても見られることを見出した。SHR-GFPは内皮の核に局在していたので、SHR-GFPは表皮非根毛細胞から皮層や根毛細胞へ移動したと考えられる。したがって、SHRの移動は中心柱に限定したものではないことが示唆される。SHRタンパク質のLHR2ドメイン内のLNELDVモチーフを欠いた融合タンパク質(SHRΔLNELDV-GFP)をCPC プロモーター制御下で発現させると、GFP蛍光は中心柱と表皮非根毛細胞に限定され、細胞間の移動が見られなくなった。さらに、SHRΔLNELDV-GFPタンパク質は核局在量が減少した。この結果は、中心柱と表皮におけるSHR-GFPタンパク質の細胞内局在と細胞間移動は類似した機構が制御していること示唆している。表皮根毛細胞ではSHR-GFPタンパク質は主に核に局在していたが、非根毛細胞では核と細胞質の両方に局在していた。非根毛細胞の細胞質でのSHR-GFPタンパク質の分布は不均一で、核から細胞膜へとひも状もしくは斑点状に分布していた。SHRΔLNELDV-GFPタンパク質ではこのような斑点状の分布は見らず、タグを付けていないGFPタンパク質の分布と類似していた。よって、SHRタンパク質の細胞間移動は細胞質での局在と関連していることが示唆される。光褪色後蛍光回復法(FRAP)による解析から、中心柱や表皮細胞の細胞質で不均一に分布するSHR-GFPタンパク質は自由な拡散が制限されていることが判った。SHR-GFPを発現するプロトプラストを脂溶性色素のFM4-64で染色したところ、GFP蛍光との重複が見られた。よって、SHRはエンドソームに局在することが示唆される。このことをさらに検証するために、mCherryを付加した各種エンドソームマーカーとGFP蛍光の局在を比較したところ、後期エンドソームマーカーおよび初期エンドソームマーカーと高い重複性が見られ、リサイクリングエンドソームマーカーやポストゴルジエンドソームマーカーとの重複も見られた。しかし、ゴルジマーカーとは殆ど重複していなかった。これらの結果から、SHRの移動にはエンドソームが関与しており、特に初期エンドソームと後期エンドソームの関与が大きいものと思われる。このようなSHR-GFPとエンドソームマーカーとの局在重複は根組織の細胞においても見られた。SHR-GFPとエンドソームの経時的な挙動は一致しており、両者の局在重複は一過的なものではないと考えられる。シロイヌナズナの根においてエンドソーム形成に阻害効果を示すウォルトマンニン(Wort)、コンカナマイシンA(ConcA)、ブレフェルジンA(BFA)を用いた実験から、初期エンドソームと後期エンドソームがSHRの細胞間移動に関与しており、リサイクリングエンドソームは関与していないことがわかった。SIELが機能喪失したsiel3 変異体芽生え由来のプロトプラストではSHRとエンドソームとの相互作用が低下していた。以上の結果から、SHRの細胞間移動にはエンドソームが関与していると考えられる。

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論文)遠赤色光によるジャスモン酸応答性の変化

2014-11-19 21:44:36 | 読んだ論文備忘録

To grow or defend? Low red : far-red ratios reduce jasmonate sensitivity in Arabidopsis seedlings by promoting DELLA degradation and increasing JAZ10 stability
Leone et al.  New Phytologist (2014) 204:355-367.

doi: 10.1111/nph.12971

脱黄化したシロイヌナズナ芽生えをメチルジャスモン酸(MeJA)処理すると胚軸伸長や芽生えの成長が阻害され、可溶性フェノール化合物が葉に蓄積する。アルゼンチン 農業植物生理学生態学研究所(IFEVA)Ballaré らは、このようなMeJAに対する応答は、赤色:遠赤色比(R:FR)の低い光(白色光+遠赤色光)を照射した芽生えやphyB 変異体芽生えでは見られなくなることを見出した。DELLAタンパク質はジャスモン酸(JA)シグナル伝達の負の制御因子であるJAZタンパク質のターゲット転写因子との相互作用を抑制することでJA応答を正に制御することが知られており、5×della 変異体はMeJA処理による胚軸伸長阻害、芽生えの成長抑制、葉のフェノール化合物の蓄積が見られなくなっていた。芽生えに低R:FR光を照射すると、DELLAタンパク質のRGA量が数分以内に減少した。また、phyB 変異体は常にRGA量が低下していた。したがって、低R:FR光照射によるJA応答の喪失はDELLAタンパク質の分解が関与している可能性がある。GAの誘導する分解に対して抵抗性を示すGAI DELLAタンパク質を発現するGA非感受性機能獲得変異体gai-1 は、JAの誘導する成長阻害や葉でのフェノール化合物の蓄積の低R:FR光照射による抑制が見られなくなっていた。FR光照射はJAZ1やJAZ10といった幾つかのJAZタンパク質の代謝回転を低下させることが知られている。そこで、JAZ10-GUS融合タンパク質を35Sプロモーター制御下で発現する形質転換体に低R:FR光を照射したところ、白色光を照射した場合よりもJAZ10-GUS量が有意に高くなっていた。また、葉に傷害を与えた際のJAZ10-GUSの減少が低R:FR光照射下では白色光照射下よりも遅くなっていた。よって、FR光照射はJAZ10-GUSを蓄積させる作用を示すと考えられる。MeJA処理によるJAZ10-GUSの分解もFR光照射によって抑制され、phyB 変異体は野生型よりもMeJA処理によるJAZ110-GUS分解速度が低下していた。一方、JAZ1タンパク質の代謝回転に低R:FR光照射は関与していなかった。jaz10 変異体やJAZ10 の発現をRNAiで抑制した系統では、低R:FR光照射によるMeJA応答性の低下が見られなくなっていた。しかし、jaz8 変異体やjaz9 変異体といった他のjaz 単独変異体ではそのような変化は見られなかった。したがって、低R:FR光照射によるJA応答性の低下にはJAZ10 が関与していると考えられる。phyB jaz10 二重変異体はphyB 変異体と同様に胚軸が伸長した表現型を示すが、MeJAに対する応答性は見られた。したがって、jaz10 変異はJA応答性の低下に関してphyB 変異よりも上位に位置していると考えられる。以上の結果から、芽生えを低R:FR光照射した際のジャスモン酸応答性の低下は、DELLAタンパク質の分解とJAZ10タンパク質の安定化が関与していると考えられる。

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HP更新)「バイケイソウ考 その10」を追加

2014-11-16 16:31:31 | ホームページ更新情報

私のHPの「バイケイソウプロジェクト」の「バイケイソウ群落の変遷」に、2014年5月25日7月27日の群落写真を追加しました。また「バイケイソウ考 その10」として2013年のバイケイソウ一斉開花翌年のクローン繁殖についての観察結果をまとめました。2013年の全国的なバイケイソウ一斉開花で花成した個体が2014年に形成した子ラメットは稚内、箱根ともに平均すると1.4個であり、花成個体のサイズと子ラメット形成数に相関は見られないことがわかりました。この観察結果についてご意見等、また、バイケイソウについて何か情報がありましたら教えて頂きたく思います。宜しくお願い致します。

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論文)コアクティベーターとして機能するDELLAタンパク質

2014-11-13 20:11:03 | 読んだ論文備忘録

DELLAs Function as Coactivators of GAI-ASSOCIATED FACTOR1 in Regulation of Gibberellin Homeostasis and Signaling in Arabidopsis
Fukazawa et al.  The Plant Cell (2014) 26:2920-2938.

doi:10.1105/tpc.114.125690

広島大学深澤らは、シロイヌナズナのDELLAタンパク質GIBBERELLIN-INSENSITIVE(GAI)と相互作用をするタンパク質を酵母two-hybrid(Y2H)スクリーニングによって選抜し、GAI-ASSOCIATED FACTOR1(GAF1)を見出した。GAF1はシロイヌナズナの全てのDELLAタンパク質と相互作用を示し、GAF1とGAIとの結合は植物細胞の核において見られることを確認した。GAF1 は、トウモロコシINDETERMINATE1(ID1)と類似性を示すジンクフィンガーモチーフを有した転写因子をコードしていた。ID1は単子葉植物に特異的で、花成制御に関与していることが知られている。シロイヌナズナは16のID1関連タンパク質(IDD)を含んでいるが、アミノ酸配列の類似性はジンクフィンガーモチーフ部分に限定される。トウモロコシID1はTTTTGTCG配列に特異的に結合するが、GAF1もこのID1結合配列に結合することが確認された。GAF1 プロモーター制御下でGUSを発現するコンストラクトを導入したシロイヌナズナは、胚軸、葉柄、茎頂、根端、トライコームが染色された。GAF1はGAIのC末端側にあるGA応答の抑制に関与しているとされているSAWドメインと相互作用をすると考えられる。GAF1と最も類似性の高いIDDファミリータンパク質のIDD1は、ENHYDROUS(ENY)とも呼ばれており、DELLAタンパク質と相互作用をする。IDD1 /ENY は主に種子で発現しており、GAF1 と同様に栄養組織においても弱い発現が見られる。gaf1 idd1 二重変異体は野生型よりも花成が遅延し、特に短日条件で花成遅延が顕著となった。また、gaf1 idd1 二重変異体は半矮性の表現型を示し、GA処理をしても成長に変化は見られなかった。よって、gaf1 idd1 二重変異体はGA応答性が低下していると考えられる。GAF1がGAIと相互作用をするドメインを探索したところ、C末端側の325~340番目の16アミノ酸が相互作用に関与していることが判り、この領域をPAMドメインと命名した。GAIタンパク質のN末端側にあるDELLAドメインを欠いたgai-1 変異体は、GAによるタンパク質分解に対して抵抗性を示し、GA非感受性の表現型を示す。gai-1 変異体やGA欠損変異体ga1-3でGAF1やPAMドメインを欠いたGAF1 (ΔPAM) を発現させると、ga1-3 変異体やgai-1 変異体の矮化した表現型が部分的に解消され、ΔPAMは野生型GAF1よりも効果が強かった。このことは、GAIと結合しないΔPAMはga1-3 変異体やgai-1 変異体の矮化した表現型をGAF1よりも効果的に抑制することを示しており、GAF1はDELLAタンパク質がGAに応答して分解された後において成長を促進している可能性がある。GAF1がDELLAタンパク質以外のタンパク質と相互作用をするかY2Hで探索したところ、転写コサプレッサーとして機能するTOPLESS RELATED1(TPR1)とTPR4が見出された。BiFCアッセイの結果、GAF1とTPR4は、生体内の核において相互作用をすることが確認された。GAF1とTPR4との相互作用はGAによる影響を受けず、GAF1の細胞内局在や安定性もGAによる影響を受けなかった。GAF1がTRP4と相互作用をするドメインをY2Hアッセイで探索したところ、367~384番目の18アミノ酸を欠いたGAF1はGAIとの結合能に影響することなくTRP4との相互作用が低下することがわかった。この領域はTOPLESS(TPL)タンパク質がターゲットとしているEARモチーフを含んでおり、シロイヌナズナIDDファミリータンパク質の中でこのモチーフを含むものはGAF1とIDD1のみであった。これらの結果から、GAF1は異なる結合モチーフを介してGAIおよびTRP4と相互作用をすることが示唆される。GA20-オキシダーゼをコードするAtGA20ox2 遺伝子のプロモーターにGUS を付加したコンストラクト(AtGA20ox2:GUS )をレポーターとして導入したシロイヌナズナT87細胞プロトプラストを用いたアッセイ系において、GAF1もしくはGAIを単独で発現させてもGUS活性に変化は見られないが、GAF1とGAIを同時に発現させるとGUS活性が上昇した。しかし、GAIとΔPAMを同時に発現さた場合はGUS活性の上昇は見られなかった。よって、GAIとGAF1との結合は転写活性化に必須であることが示唆される。一方、TRP4とGAF1を同時に発現させるとGUS活性が低下し、TRP4とEARモチーフを欠いたGAF1(ΔEAR)を同時に発現させた場合はGUS活性の抑制は起こらなかった。したがって、TPR4とGAF1の結合は転写抑制に必要であることが示唆される。IDD1についてもGAF1と同様の効果が見られた。GA欠損変異体ga1-3 ではAtGA20ox2 の発現量が増加するが、ΔPAMを発現させるとAtGA20ox2 の発現が抑制された。したがって、GAF1-GAI複合体はGA合成のフィードバック制御にとって重要であることが示唆される。ChIPアッセイの結果、GAIもTPR4もGAF1を介してAtGA20ox2 遺伝子プロモーター領域に結合することがわかった。よって、GAF1はコアクティベーターのGAIと結合した際にはAtGA20ox2 の発現を正に制御し、コリプレッサーのTPR4と結合した場合には負に制御し、どちらの方向に制御されるかはGA量に依存することが示唆される。GAF1とGAIは、AtGA20ox2 の他に、GA3-オキシダーゼをコードするAtGA3ox 遺伝子や、GA受容体をコードするGID1b 遺伝子のプロモーターも活性化することがわかった。また、GAF1はGID1b プロモーター領域に結合することが確認された。以上の結果から、GAは、DELLAタンパク質の分解を介して、GAF1複合体をコアクティベーターであるGAIと相互作用をした転写活性化因子からコリプレッサーであるTPR4と相互作用をした転写抑制因子へ転換させていると考えられる。そして、DELLAタンパク質はコリプレッサーとコアクティベーターの2つの機能を介して、GA量によって制御されている遺伝子の発現を調節していると考えられる。

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論文)マイクロRNAによる光形態形成の調節

2014-11-09 17:34:37 | 読んだ論文備忘録

HUA ENHANCER1 Is Involved in Posttranscriptional Regulation of Positive and Negative Regulators in Arabidopsis Photomorphogenesis
Tsai et al.  The Plant Cell (2014) 26:2858-2872.

doi:10.1105/tpc.114.126722

光による植物の成長制御は遺伝子発現、翻訳、タンパク質の翻訳後修飾等によって調節されている。台湾 中央研究院 植物および微生物学研究所Wu らは、低分子RNAによる光形態形成の制御について解析を行なった。シロイヌナズナにおいてmiRNAの形成や輸送に関与しているHYPONASTIC LEAVES1HYL1 )、HUA ENHANCER1HEN1 )、HASTYHST )の変異体は青色光照射による胚軸伸長阻害が誇張された。よって、HYL1、HEN1、HSTはシロイヌナズナの脱黄化過程の負の制御因子として機能していると考えられる。公的なトランスクリプトームデータによると、miRNAの形成に関与する遺伝子のうちHEN1 のみが光に応答して発現量が増加することから、HEN1に着目して脱黄化との関係を解析した。hen1 機能喪失変異体芽生えは、暗所から連続光下に移した際の子葉の展開が野生型よりも早く、明所で育成した際のアントシアニン含量が野生型よりも高くなっていた。また、hen1 変異体は、光形態形成の負の制御因子の変異体で観察される、暗所育成芽生えの茎頂フックの屈曲角度の減少や重力屈性応答性の低下といった暗形態形成の異常が見られた。HEN1 の発現は赤色、遠赤色、青色の光照射によって誘導され、遠赤色光による誘導にはphyAが、赤色光ではphyBが関与していた。しかし、青色光による誘導はcry1 変異体においても起こり、cry1は青色光によるHEN1 の発現誘導にに関与する受容体ではないと考えられる。だが、phyA cry1 cry2 三重変異体は青色光によるHEN1 の発現誘導が見られないことから、青色光によるHEN1 の発現誘導においてphyAとcry2が補助的に作用していることが示唆される。各色光照射によるHEN1 の発現誘導は光形態形成の正の制御因子のELONGATED HYPOCOTYL5(HY5)およびHY5-HOMOLOG(HYH)が関与していた。また、光形態形成の負の制御因子であるCONSTITUTIVE PHOTOMORPHOGENIC1(COP1)の変異体ではHEN1 の発現量が増加し、暗所において脱黄化が起こった。光照射によるHEN1 の発現誘導は、低分子調節RNAを安定化させることで光形態形成に関与する因子の発現のサイレンシングを引き起こすものと思われる。トランス作動性低分子干渉RNA(ta-siRNA)の生合成に関与しているRNA-DEPENDENT RNA POLYMERASE6(RDR6)やSUPPRESSOR OF GENE SILENCING3(SGS3)が欠損した変異体は、各色光照射下において正常な光形態形成を起こした。よって、ta-siRNAの発現低下のみではhen1 変異体のような光感受性の変化を起こすことはできないものと思われる。HEN1はメチルトランスフェラーぜであり、低分子RNAを安定化させる作用がある。HEN1は光形態形成を負に制御していることから、HEN1によって安定化されたmiRNAは光形態形成の正の制御因子の転写産物をターゲットとしていると思われる。HY5 転写産物の5'非翻訳領域にはmiR157dのターゲットとなる配列が含まれており、miR157dの蓄積にHEN1が関与していることが確認された。hen1 変異体は光照射によるHY5 の発現誘導やHY5タンパク質の蓄積が野生型よりも高くなっており、これはhen1 変異体の高い光応答性と一致している。MIR157d を過剰発現させた個体はHY5 転写産物量とHY5タンパク質量が減少しており、光応答性も低下していた。miR157dに対して抵抗性を示すHY5mHY5 )をMIR157d 過剰発現個体で発現させると、HY5タンパク質が過剰蓄積し、蓄積量に応じて光応答性が高まった。よって、HEN1はmiR175dの作用を介してHY5 の発現を負に制御していると考えられる。また、HY5はHEN1 の発現を高めていることから、HY5HEN1 は光形態形成における負のフィードバックループを形成していると考えられる。TEOSINTE BRANCHED1, CYCLOIDEA AND PCF(TCP)Ⅱサブファミリー転写因子は胚軸伸長を負に制御しており、TCP2TCP3TCP4TCP10TCP24 はmiR319のターゲットとなっている。TCPⅡファミリー遺伝子もMIR319 も光照射によって発現量が一過的に増加する。MIR319a を過剰発現するjaw-D 変異体は、TCPⅡファミリー遺伝子の発現量が減少し、光応答性が高まっていた。芽生えを脱黄化させると、HY5 の発現量がすぐに増加し、その後、HEN1 やTCPⅡファミリー遺伝子の発現量の増加が起こった。したがって、脱黄化した芽生えでは、光形態形成の正の制御因子であるHY5 が最初に発現し、その後に負の制御因子であるHEN1 やTCPⅡファミリー遺伝子が発現することで光形態形成の微調整がなされていると考えられる。

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