読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『日本への警告』

2018年02月10日 | 評論

スノーデン『日本への警告』(集英社新書、2017年)

読書日記と謳いながら、2月も中旬になって今年初めての読書日記である。なんとも情けない。もちろん毎日仕事がらみで本は読んでいるのだが、それはここで書くようなものではない。

この本の第一部は東京で行われたシンポジウムにスノーデンがネットを通じて登場している。シンポジウムの参加者の質問に答える形で、今回のリークや現在の米日が置かれている国家による情報収集の姿が浮き彫りなってくる。

エドワード・スノーデンという人は横田基地で情報関係の仕事をしていたこともあるようで、日本のことをよく知っている。たんにどこに何があるというような知識ではなくて、日本政府が情報関係では世界有数の秘密主義であることなどだ。

この本の第二部はシンポジウムの参加者の討議になっている。

スノーデンが何度も強調しているが、ネットや携帯などを利用した情報収集といっても、誰それをターゲットにしたものではない、ただ何かの事件などがあって、ターゲットにされた時に、ネットなどで集められた情報から、過去のことまで分かってしまうということが恐ろしいと言われる。しかしこれがなかなか私たちにはピンと来ない。

この本のもとになった東京でのシンポジウムにネット中継で参加したスノーデンはモスクワにいたようだ。当時はまだオバマ政権で、このシンポジウムに参加したアメリカ人がトランプが大統領になったらおしまいだと言っているが、まさに現在そうなっている。

当時の関係から言えば、ロシアはオバマ政権とは完全な対立関係にあったから、スノーデンを庇護してくれたのかもしれないが、トランプ政権になってもアメリカに売られていないだろうか。

ジャーナリストの青木理によれば、戦後の特高警察解体によって、比較的日本の情報機関は公安が反共だけを主眼にしていたこともあって、現実に対応しないものであったという。とくにベルリンの壁崩壊後は存在理由が問われるような状態だったが、それもオウム真理教の事件やアメリカの9.11までの話で、それ以降はテロ対策といえばなんでも通用するような状態になり、現在は表に出ないだけで、アメリカに劣らないほどの情報収集活動をしているという。

こういうことに疎い私でもなんだか恐ろしいことになりつつあることが分かる。


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