興聖寺 ~晩秋の宇治散策
興聖寺(こうしょうじ)は鎌倉初期に道元禅師が創建した道場。
宇治の紅葉の名所でもあり、「琴坂」と呼ばれる参道にはカエデが両脇に赤々と広がり紅葉のトンネルになる・・・はずであったが、この日、16日はまだ早かった。
白の漆喰が眩い楼台にアーチ形の門は、中国建築らしい竜宮門。
足を踏み入れると薬医門と本堂が目の前に見え、本堂、書院、方丈等の堂宇が一巡できるように回廊で繋がれている。
開山堂は「老梅庵」とも呼ばれ、道元禅師が竹椅子の座った等身大の木像が安置されている。
祠堂殿には「手習観音」が安置されている。
『源氏物語』の宇治十帖の舞台となった手習の杜に祀られていた観音像とされている。
この観音像の右足の親指が少し浮いているのは、衆生の困苦を救うためにすぐに駆け付けるという意思を示しているという。
本堂奥の知祠堂には、平安時代の歌人『小野篁(おののたかむら)』作の木造の聖観音菩薩立像が奉安されている。
禅道場の佇まい。凛とした空気が漂う。