MICHAEL KIWANUKA / HOME AGAIN
フジロック予習企画第4弾、マイケル・キワヌーカ!!
ビル・ウィザーズの再来と騒がれている、イギリスはノース・ロンドン出身の黒人シンガー・ソング・ライター、マイケル・キワヌカ。今年「HOME AGAIN」でアルバム・デビューしたばかりの24歳(25歳?)。しかもあのアデルが2011年のツアーのオープニング・アクトに彼を大抜擢したり、英BBCが今年ブレイクするであろうアーティストを紹介する「Sound Of 2012」のトップに選ばれるなど、「HOME AGAIN」リリース前から話題騒然でした。
UK音楽界の新人レースにおそらく最も大きな影響を与えるであろうこの英BBCによる「Sound Of ~」、ちなみに最近5年間のトップは以下のような感じでした。
2011 - Jessie J
2010 - Ellie Goulding
2009 - Little Boots
2008 - Adele
2007 - Mika
ちなみに今年のフジロックに出演予定のジェイムス・ブレイクは昨年の第2位でした。そんな「Sound Of ~」、今年は“素朴な黒人フォーク・シンガー”というイメージのマイケル・キワヌカが1位に選ばれ、その地味さ故に本当にブレイクするのか?と驚きもしましたが、やっぱり過去と比べても異色ですよね。でもそれ故に彼には何やらただならぬポテンシャルを感じさせられるんです。OOPS! のニュース記事によりますと、本人はこの結果に「自身の芸術が認められたということは間違いなく心に‘来る’ものがある」と喜びつつも、「でも重荷にもなりうる。みんなからの期待がね。それに自分の音楽を聴く人が増えれば増えるだけ、自分の音楽を気に入らないという人の存在も知るということだ」と冷静にコメントしているそうです。この落ち着いた感じがいかにも彼らしいですよね~。
さて、そのマイケル・キワヌカ、イギリス生まれですが両親はウガンダからの移民だそう。ユニバーサルのバイオによりますと、影響を受けたアーティストは、マーヴィン・ゲイ、オーティス・レディング、ボブ・ディラン、ポール・サイモン、シャギー・オーティス、ロバータ・フラック、ビル・ウィザーズ、ディアンジェロなど。中でも特にオーティス・レディングとビル・ウィザーズからの影響が大きかったようですね。今時の新人さんというと、音楽好きの両親のもとレコードに囲まれて育った的なバイオが多いですが、マイケル・キワヌカは逆にレコードの無い家庭に育ったとか。ビートルズすら無かったそうです。なので70年代の音楽がとても新しく聴こえたとか。
そんなマイケル・キワヌカのデビュー・アルバム「HOME AGAIN」。全曲マイケル・キワヌカの手による全10曲。1曲目「Tell Me A Tale」から新人らしからぬ深いフィーリングに引き込まれます。ジャズっぽい浮遊感を持ったグルーヴにフルートやストリングス&ブラスが絡む感じはまるでニューソウル。そしてまろやかな中にも凛とした響きをたたえるマイケル・キワヌカの歌声。途中、尺八のような音も聞こえ、それもなかなか効いています。穏やかなアフリカの空気を感じさせるサビへの展開も見事。もうこの1曲だけで私なんかはマイケル・キワヌカの虜になりましたよ。
続いて「I'm Getting Ready」「I'll Get Along」などでは、大らか且つ暖かいマイケルの歌唱に思わず顔がほころびます。この素朴な質感はやはりアフリカの血でしょうね。また飾らないながらもセンスの良いフレーズを紡ぐマイケルのギターも良い味わい。彼はこのアルバム中で、アコースティック・ギター、エレキ・ギター、さらにベースまで、一人何役もこなしています。そしてドラム、パーカッション、鍵盤各種、トランペット、バリトン・サックス、コラなど、マルチな才能でサポートするのが、この作品のプロデューサーでもあるポール・バトラー。彼はイギリスのロック・バンド、ザ・ビーズ(04年のフジロックにも出演したレトロ&サイケなロック・バンド)の中心人物。多彩な楽器を操りながらも、あくまでも楽曲のメロディと歌声の魅力を最大限に引き出すかのようなアレンジが、このアルバムを貫く独特のムードを作り出しています。
特にスロー・ナンバーの「Rest」は素晴らしいですね! まず曲事態が泣ける。そして朴訥とした中にじんわりとソウルを染み込ますような歌声と、その歌声に寄り添うようなギター。さらに聴き手の感情をしっとりと高揚させていくかのようなアレンジ。ホント素晴らしい。これは名曲ですよ! そしてタイトル・トラックの「Home Again」。さほど起伏のあるメロディーではないように思うのですが、何故か優しい安らぎを感じさせられる、不思議な魅力を持った曲。アコギの爪弾きと人肌の歌声、それを穏やかなシンセの音色が包み込む。
他にもゆったりとジャジーにスウィングする「Bones」、ゴスペル的な「I Won't Lie」、ダークな色調が彼のエモーションを一際黒く輝かす「Worry Walks Beside Me」、他の曲とは一線を画した哀愁溢れるメロディーが秀逸な「Any Day Will Do Fine」など、シンガーとしての魅力はもとより、ソング・ライターとしてもただならぬ才能を感じさせる曲が並びます。そしてアルバム一枚通して聴くことで、マイケル・キワヌカの歌世界が持つ、ソウルフルな温もりが五感に染み込んできます。
さて、今年もっともブレイクが期待されるとBBCがプッシュするマイケル・キワヌカ、彼を早くもフジロックで見れるんです! 楽しみですよね~、生キワヌカ! アーティスト・データのメンバーにはマイケル・キワヌカの一人しか記されていないので、ギター弾き語りになるのでしょうか? バンドセットでも観てみたい気がしますが、ま、どちらにしろ必見ですよね。ただ日曜日は観たいアーティストがひしめいてるので、かぶりが心配…。
*写真のアルバムは「ETHAN JOHNS SESSIONS」と題されたボーナス・ディスクが付いたマイケル・キワヌカのデビュー作「HOME AGAIN」。「ETHAN JOHNS SESSIONS」はそのタイトル通り、イーサン・ジョーンズがプロデュースを務めた5曲が収録されています。ですがその5曲中、2曲が本編とのダブっています。とは言え、イーサン・ジョーンズと言えば、キングス・オブ・レオン、ライアン・アダムス、レイ・ラモンターニュ、プリシラ・アーンなどを手掛けてきた名プロデューサーですからね、そのダブり曲を聴き比べてみるのも面白い。しかもリズム隊にジェイムス・ギャドソン&ボブ・バビットのモータウン組が参加してたりでかなり興味深いです。
~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!
12.05.25 フジロック予習:トゥーツ&ザ・メイタルズ
12.05.08 フジロック予習:ギャラクティック
12.03.20 フジロック予習:チェ・スダカ
12.05.15 フジロック第6弾!
12.05.02 フジロック第5弾&日割り!!
12.04.19 フジロック第4弾!!
12.03.30 フジロック第3弾!
12.03.15 フジロック第2弾!!
12.03.01 フジロック第1弾!!
フジロック予習企画第4弾、マイケル・キワヌーカ!!
ビル・ウィザーズの再来と騒がれている、イギリスはノース・ロンドン出身の黒人シンガー・ソング・ライター、マイケル・キワヌカ。今年「HOME AGAIN」でアルバム・デビューしたばかりの24歳(25歳?)。しかもあのアデルが2011年のツアーのオープニング・アクトに彼を大抜擢したり、英BBCが今年ブレイクするであろうアーティストを紹介する「Sound Of 2012」のトップに選ばれるなど、「HOME AGAIN」リリース前から話題騒然でした。
UK音楽界の新人レースにおそらく最も大きな影響を与えるであろうこの英BBCによる「Sound Of ~」、ちなみに最近5年間のトップは以下のような感じでした。
2011 - Jessie J
2010 - Ellie Goulding
2009 - Little Boots
2008 - Adele
2007 - Mika
ちなみに今年のフジロックに出演予定のジェイムス・ブレイクは昨年の第2位でした。そんな「Sound Of ~」、今年は“素朴な黒人フォーク・シンガー”というイメージのマイケル・キワヌカが1位に選ばれ、その地味さ故に本当にブレイクするのか?と驚きもしましたが、やっぱり過去と比べても異色ですよね。でもそれ故に彼には何やらただならぬポテンシャルを感じさせられるんです。OOPS! のニュース記事によりますと、本人はこの結果に「自身の芸術が認められたということは間違いなく心に‘来る’ものがある」と喜びつつも、「でも重荷にもなりうる。みんなからの期待がね。それに自分の音楽を聴く人が増えれば増えるだけ、自分の音楽を気に入らないという人の存在も知るということだ」と冷静にコメントしているそうです。この落ち着いた感じがいかにも彼らしいですよね~。
さて、そのマイケル・キワヌカ、イギリス生まれですが両親はウガンダからの移民だそう。ユニバーサルのバイオによりますと、影響を受けたアーティストは、マーヴィン・ゲイ、オーティス・レディング、ボブ・ディラン、ポール・サイモン、シャギー・オーティス、ロバータ・フラック、ビル・ウィザーズ、ディアンジェロなど。中でも特にオーティス・レディングとビル・ウィザーズからの影響が大きかったようですね。今時の新人さんというと、音楽好きの両親のもとレコードに囲まれて育った的なバイオが多いですが、マイケル・キワヌカは逆にレコードの無い家庭に育ったとか。ビートルズすら無かったそうです。なので70年代の音楽がとても新しく聴こえたとか。
そんなマイケル・キワヌカのデビュー・アルバム「HOME AGAIN」。全曲マイケル・キワヌカの手による全10曲。1曲目「Tell Me A Tale」から新人らしからぬ深いフィーリングに引き込まれます。ジャズっぽい浮遊感を持ったグルーヴにフルートやストリングス&ブラスが絡む感じはまるでニューソウル。そしてまろやかな中にも凛とした響きをたたえるマイケル・キワヌカの歌声。途中、尺八のような音も聞こえ、それもなかなか効いています。穏やかなアフリカの空気を感じさせるサビへの展開も見事。もうこの1曲だけで私なんかはマイケル・キワヌカの虜になりましたよ。
続いて「I'm Getting Ready」「I'll Get Along」などでは、大らか且つ暖かいマイケルの歌唱に思わず顔がほころびます。この素朴な質感はやはりアフリカの血でしょうね。また飾らないながらもセンスの良いフレーズを紡ぐマイケルのギターも良い味わい。彼はこのアルバム中で、アコースティック・ギター、エレキ・ギター、さらにベースまで、一人何役もこなしています。そしてドラム、パーカッション、鍵盤各種、トランペット、バリトン・サックス、コラなど、マルチな才能でサポートするのが、この作品のプロデューサーでもあるポール・バトラー。彼はイギリスのロック・バンド、ザ・ビーズ(04年のフジロックにも出演したレトロ&サイケなロック・バンド)の中心人物。多彩な楽器を操りながらも、あくまでも楽曲のメロディと歌声の魅力を最大限に引き出すかのようなアレンジが、このアルバムを貫く独特のムードを作り出しています。
特にスロー・ナンバーの「Rest」は素晴らしいですね! まず曲事態が泣ける。そして朴訥とした中にじんわりとソウルを染み込ますような歌声と、その歌声に寄り添うようなギター。さらに聴き手の感情をしっとりと高揚させていくかのようなアレンジ。ホント素晴らしい。これは名曲ですよ! そしてタイトル・トラックの「Home Again」。さほど起伏のあるメロディーではないように思うのですが、何故か優しい安らぎを感じさせられる、不思議な魅力を持った曲。アコギの爪弾きと人肌の歌声、それを穏やかなシンセの音色が包み込む。
他にもゆったりとジャジーにスウィングする「Bones」、ゴスペル的な「I Won't Lie」、ダークな色調が彼のエモーションを一際黒く輝かす「Worry Walks Beside Me」、他の曲とは一線を画した哀愁溢れるメロディーが秀逸な「Any Day Will Do Fine」など、シンガーとしての魅力はもとより、ソング・ライターとしてもただならぬ才能を感じさせる曲が並びます。そしてアルバム一枚通して聴くことで、マイケル・キワヌカの歌世界が持つ、ソウルフルな温もりが五感に染み込んできます。
さて、今年もっともブレイクが期待されるとBBCがプッシュするマイケル・キワヌカ、彼を早くもフジロックで見れるんです! 楽しみですよね~、生キワヌカ! アーティスト・データのメンバーにはマイケル・キワヌカの一人しか記されていないので、ギター弾き語りになるのでしょうか? バンドセットでも観てみたい気がしますが、ま、どちらにしろ必見ですよね。ただ日曜日は観たいアーティストがひしめいてるので、かぶりが心配…。
*写真のアルバムは「ETHAN JOHNS SESSIONS」と題されたボーナス・ディスクが付いたマイケル・キワヌカのデビュー作「HOME AGAIN」。「ETHAN JOHNS SESSIONS」はそのタイトル通り、イーサン・ジョーンズがプロデュースを務めた5曲が収録されています。ですがその5曲中、2曲が本編とのダブっています。とは言え、イーサン・ジョーンズと言えば、キングス・オブ・レオン、ライアン・アダムス、レイ・ラモンターニュ、プリシラ・アーンなどを手掛けてきた名プロデューサーですからね、そのダブり曲を聴き比べてみるのも面白い。しかもリズム隊にジェイムス・ギャドソン&ボブ・バビットのモータウン組が参加してたりでかなり興味深いです。
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12.03.01 フジロック第1弾!!
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