memories on the sea 海の記録

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クジラの崇拝は漁民の生き方   ベトナム

2012-12-07 00:02:30 | 亜細亜海道
Ly Son 島の海のターコイズ・ブルーに続くカラフルな寺院、日焼けした漁師たちが”Ca Ong"と呼ばれるクジラに祈りをささげる(11月22日channelnewsaisia)

一月に及ぶ長い出漁の前に、Nguyen Hoang Loiは凝った装飾が施されたタン寺院にお参りする。ここには神聖な巨大なクジラの遺骸2体が保存されている。

ベトナム中部沖合いの人口21,500人のLy Son 島。そこから出漁しようとしている漁民の45歳の彼は「クジラは海で遭遇する災厄から守ってくれるのでお祈りをする」という。北から南までベトナムの海岸線長さは3,200km、漁村が崇拝するクジラは彼らの守護天使である。この種の宗教的現象はこの国でも珍しいと専門家は言う。

「操業中に時化にあってもどこに逃げればよいか漁師はわからない、そのときクジラが助けてくれる」とLy Son島の司祭Tran Ngo XuongがAFPに語った。「クジラは船の脇にやってきて危険な状況を救ってくれる」と79歳の元漁師で今はTan寺院の管理人を務めているXuangはいう。クジラの霊を慰めるための念の入ったお祈りの後、Xuongはタン示威の祭壇の後ろにあるうすくらい二つの部屋を閉めないでおく。そこには2対のクジラの骨格が安置されている。これらのクジラは生きていたときの重量は50トンと70トンで長さはいずれも20m以上ある。100年以上前に事故で島の浜辺に打ち上げられたものとXuongはいう。

この創造物はかくも大きいので、これを引き揚げるには100人以上の人手を要する。しかし多くの祈りや儀式の後は数十人の島民だけで潮のの力も借りて浜に引き揚げることができるのだという。浜にあがったクジラにはベトナム式の弔いが行なわれる。クジラは5年から10年間埋められる。そののち骨を掘り出して地上に安置する。
鯨油は分離されて大きな陶器の容器に保存、クジラの命日にその骨を清めるために用いられる。

公的なメデイアも時折漁師がクジラの助けで救われた奇跡を報じることがあるとSuc Khoe Doi Songはいう。保健省の新聞は最近漁師のDang Chauの話を載せている。Chauのボートは長い出漁からの帰途嵐に巻き込まれた。たくさん魚を積んでいたので乗り組みらは船が沈むと危惧した。
そこに巨大なクジラがやってきて乗り組みらが岸に戻れるよう、ボートの前を泳ぎ時化を抑えた。「漁民らが安全になったところでクジラは海に戻っていった。漁民らは非常に驚いた。彼らは帰ってゆくクジラに対し頭をさげた」とある。他の国とは異なりクジラ7が崇拝される。ベトナムでは過去に起こった巨大な哺乳動物が漁村に打ち上げられるとそうした崇拝を行なうと専門家のSandra Lantzはいう。

Ca Ong(ベトナム語でクジラ)の信仰はベトナム独特のものであるとLantzはいう。Lanzはスエーデンの科学紙にその研究を2009年に載せている。伝統的なクジラ崇拝儀式の実施は共産主義社会でも奨励されている。2004年に規制が解除されるまで数十年にわたり宗教的な活動は禁じられていた。大多数の人々の宗教は仏教である。しかし少数はグループは差別のあることを日ごろ訴えている。

クジラ崇拝の祝祭はクジラをたたえるとともに漁民が大漁できるこ、危険な海上で安全な航海ができることを祈るもので公的にも認められている。 こうした祝祭の儀式は当局によりベトナムの15大祭りに数えられている南部のBa Ria Vung Tauでも行なわれている。Ly Son 島民はクジラが島の観光客を呼び寄せることを願っている。現在のところその数は年間3,000にんほどである。当局はクジラの骨格を新しい寺院を建てて収納し、漁業に頼るだけではなく、観光客を誘致しようと計画している。



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