memories on the sea 海の記録

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難民殺到を誘発したドイツ当局のツイート

2015-09-12 00:01:52 | 海事

 8月25日午後1時30分にドイツ南部ニュルンベルクの連邦移民・難民局(BAMF)の役人がツイッター上に数万人の難民の人生を変える一文を載せた。「我々は現在、シリア市民に事実上欧州連合(EU)のダブリン条約を適用していない」(9月11日WSJ)

 このツイートが、前日にインターネット上に広まった噂を公式に確認するものだった。ダブリン条約では、難民が最初に入ったEU加盟国に対し、難民の取り扱いを義務付ける規定がある。しかし、ドイツはこれを適用しないと宣言したことで、難民に門戸を開放した。この曖昧なドイツ語のメッセージを伝えたニュースはメディアや口伝えで瞬く間に拡散した。

 アラビア語のソーシャルメディアでは、メルケル独首相に対する「愛情深い母」、「ママ・メルケル」といった賛辞の言葉があふれた。ソーシャルメディア分析会社トプシーによれば、ツイッターで「メルケル」に言及したアラビア語のメッセージは、8月22日には500件弱だったのが、9月3日には2000件に跳ね上がった。

 難民危機の転機は4日にやってきた。ハンガリーに足止めされていた難民2万人以上がドイツの国境に殺到した。そのきっかけとなったのは、BAMF当局者が8月21日に策定したこの内部指針だった。同指針はシリア難民に関してダブリン条約の適用を事実上停止するものだ。ただ、政策変更ではなく技術的な決定で、難民申請の処理を迅速化するために同条約でも認められている。

 しかし、それが8月25日に公にされると、世界中のメディアが取り上げあっという間に広がった。内務省は、内部指針を公表するかどうかはBAMFが権限を持っていると指摘し、BAMFが公にしたのは人道的、実用的な理由からだと説明した。難民を最初に入ったEU加盟国に戻すのは事務処理が煩雑になる。

 メルケル首相は記者団に対し、指針は誤解を呼んだとし、ドイツはシリア市民が難民資格を得られる可能性が高いことを示しただけで、何も目新しものではないと述べた。その上で、EUの規則は引き続き有効であり、ハンガリーには難民の登録・保護の責任があると主張した。

 


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