memories on the sea 海の記録

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光の当たらない労働  漁業分野の少年労働

2010-06-02 11:14:31 | 水産・海洋
普段はその問題を見落とされがちな分野に光を当て、漁業分野で苦境にある年少労働者に対してより関心を寄せるべきであるとFAOとILOの要請により参集した専門家グループが発表。この作業部会ではそこに横たわる原因と勧告を行った(5月10日FAO)

「全世界では、1億3200万人の5歳から14歳の少年少女が農業に従事している。この数値の中には漁業や養殖も含まれる」とFAOの漁業養殖分野のRolf Willmannはいう。「しかし漁業における年少者労働は小規模あるいは家族的な規模で広く分散しているか、あるいは雇用者が隠れて行っているものであって実際の姿を把握することが難しい」という。「このことが、問題解決の政策立案を難しくしている」
情報格差を解消すべく、FAOはILOと協力し情報の共有のために国際的な専門家を招集、年少労働と漁業に関する勧告を行うためのワークショップを召集した。勧告の核心部分はFAOにより年少労働に関する国際会議(ハーグ5月10~11日)で発表された。この作業部会で漁業分野における年少者労働の問題点が地球規模で初めて取り上げられた。

世界でもっとも危険な労働のひとつ
漁業はたぶん最も危険な仕事のうちのひとつであろう、とFAOは認めている。
漁業活動の中で年少者が従事している仕事としては、船の上での調理、環礁の魚の潜水や絡んだ網の扱い、網の中への魚の追い込み、エビの殻剥き、魚やカニの処理、網修理、選別、積み下ろし、漁獲物の運搬、魚の処理や販売などである

作業部会の参加者は年少者労働が小規模非産業的規模において一般的であるとしている。漁業における年少労働はさまざまな環境を背景にしている。家計を助けるためにその自由を束縛されているものも有る、と世界漁業センターの提供した資料は報じている。また、もっとも悲惨な例は密売であるという。
さまざまな事例の中で子供たちに与えるリスクは物理的な危険である。「年少労働は貧困の悪質な循環を強化することもあるし、識字率、就学率、児童の知能や発育に大きな影響を与えている」とWillmannはいう。

解決に向けて
作業部会は地方的な環境とその他の要因を複合要因としてあげている。都

・ 社会的不平等
・ 失業、貧困、脆弱性
・ 季節的労働サイクル、移動的ライフスタイル
・ 低い程度の関連教育
・ コストや地理的理由による教育機会の欠如
・ 両親の教育レベルの低さ
・ 文化的実践性
・ 年少労働に関する法規制や政策の欠如と不十分なそれらの実施

「ひとつだけはっきりしていることがある」と会議に参加したFAOの社会経済開発局のBernd Seiffertはいう。「年少労働は複合的問題でありうまくコオーデイネートされ多極的対応が必要である」

作業部会への参加者は行動計画と、国際的、国内的、地方的レベルでなすべきことを提案している。この提案のなかには法的対策、施行、教育分野も含めた政策介入、開発と生計支援、情報格差解消のためのよいデータの収集などが含まれている。

集中と加速の必要性

「漁業も含めて農業は年少者労働の最大の分野である。しかしこの分野でもの代とされることは極めて少ない」とSeiffert はいう。「ほとんどの関心が大規模産業にむき、国際的に有意なものに向いている」「真っ先に取り組まねばならないことは年少者労働の中の最悪の形態を2016年までに解消することではなかろうか」と彼は言う。 最終報告はILO/FAO共同出版として年末までに出版される。

影のなかで

多くの専門家は、漁業における年少労働は広がりのある問題であるという。しかし、その特性についてはいまだ不十分である。年少労働の統計は不十分であり、漁業、林業、農業や家畜生産者にとっては触れられたくない部分である。これは4つの産業分野は年少労働の最大の分野であるがこれらで7割を占める。

漁業における年少労働は世界中でおきているが問題が多いのはアフリカとアジアである。会議参加者らはバングラデシュ、カンボジア、エジプト、エルサルバドル、ガーナ、インド、セネガル、タイ、ウガンダなどを上げている。サブ・サハラの国々では15歳以下の年少者の3分の一が漁労、造船、魚の加工、交易などに従事しているという。