ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

憲法を変える手間暇を考えれば、現状ではあまり益がないのでは?

2012-05-03 00:03:57 | 社会時評
憲法記念日ですから、たまには憲法の話を書きましょうか。

櫻井よしこ=改憲論者といっていいくらい、彼女というと改憲を訴え続けているという気がしますが、私の見たところ、どうも彼女(にかぎらず9条改憲支持の人たち)は9条改憲に期待しすぎているんじゃない?

(以下、私がこのような現状に賛成であるっていうことではないですよとお断りしておきます)現実に、いま自衛隊はPKOで海外にも展開しているし、自衛隊法からいわゆる有事立法にいたるまで関係法令も整ってきている。陸・海・空各自衛隊のさまざまな装備も十分なものがあります。率直な話、他国とそんなに違いがあるわけではない。

で、本当に改憲をしたところで、まさか戦前のような侵略行為をできるわけがない。時代も違うし、日米同盟を組んでいる以上、自衛隊の自由な行動は大幅に制限されているし、また中華人民共和国との経済的な強い結びつきを考えれば、日本は今後とも(なんだかんだとはいいつつも)中国といい関係を保ち続けなくてはいけない。その他の国とも基本的にはご同様。

はたまた、たとえば日本がベトナム戦争に従軍しなかったことによる東南アジアでの日本のプレゼンスの優位さや(ベトナム政府はいまだに韓国に対して非常に複雑な感情を持っていることに注意)、軍事活動のかわりにさまざまな経済活動にいそしんだことを大きな要因とする戦前と戦後の経済格差、およびその関係により平和国家として日本が得たソフトパワーなどは、憲法9条が戦後日本にもたらしたプラス面を説明するのに十分だと思うんですけど、たぶん彼女(たち)の「改憲」への願望は、そういった「改憲をすることによってどれだけのプラスが日本国や日本国民にもたらされるのか」といった具体的な話じゃないんでしょうね。どちらかというと、何をもって国家の存在意義となすかというような、非常に主観的なものなのでしょうから、たぶん議論すべきような話じゃないんでしょう(笑)。

実際、国民が改憲に(賛成・反対を問わず)そんなに興味があるかというとさにあらず、それにやたら熱心だった安倍晋三は、せっかく国民投票法なんてものをかなりのむちゃくちゃをして成立させたのに、その後ほとんど進展はありません(安倍が首相だった時の2007年の参議院選挙での自民党の敗北は、私なんかの想像をはるかに上回るほどに改憲勢力には痛手だったようです)。安倍が選挙の惨敗が明らかになった後にもふりしぼるような声で「改憲・・・」なんていっていたのを私「ほんとこいつ馬鹿だな。そんなこといってられる立場じゃないだろ」と思いましたが、どっちみち国民はそんなことに大して興味はないということです。

ていうか前にも書いたけど、櫻井って憲法を変えなければ日本は滅びる滅びるって年がら年中ほざいているけど、いつ日本は滅びるんだよ(笑)。こういうのを「滅びる滅びる詐欺」というのです。

そもそも憲法を変えるために必要な衆議院と参議院での2/3以上の賛成と、国民投票での結果をまつだけの手間隙って、それにかかわるさまざまなコストを考えればそんなに容易じゃないと思うんですけど。もっともこういう発言は、実質的なものというよりは、自分の存在意義のために語っているという側面も大きいんでしょうね、詳しいことは知りませんが。

そうこう考えると櫻井は言論活動を続ける限りは改憲を口にするのでしょうね。ぜひ死ぬまでそうしていただきたいと思います。
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6 コメント

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真正保守はまともじゃないですからね (bogus-simotukare)
2012-05-03 06:45:42
>で、本当に改憲をしたところで、まさか戦前のような侵略行為をできるわけがない。

普通の人間はそう考えるでしょうが彼ら真正保守はまともじゃないですからね。
で、そんなまともじゃない連中が改憲を唱える限り俺は護憲派ですね。
ネット上では彼ら無茶苦茶な改憲派のことを「彼らが無茶苦茶な改憲論を唱える限り憲法は安泰だ」「護憲派にとっての神様、仏様」と皮肉る人もいますが彼らの改憲論の無茶苦茶ぶりを考えればそう言う皮肉も出るでしょう。

>そもそも憲法を変えるために必要な衆議院と参議院での2/3以上の賛成と、国民投票での結果をまつだけの手間隙って、それにかかわるさまざまなコストを考えればそんなに容易じゃないと思うんですけど。

だからこそ産経なんかは露骨に「国民投票制度をやめよう」とか「通常の法案みたいに衆議院の優越でいいじゃないか(いわゆる2/3条項ですね)」なんて言ってて呆れてしまいます。
「2/3条項で改憲できれば、安倍首相の時に改憲できた」とでも妄想してるんでしょう。
安倍がそんな危ない橋を渡れるかどうか疑問ですが。中国、韓国の反発はすごいものになるでしょうし、自民党支持者ですら明文改憲派は多数派ではないでしょうに。
返信する
なんじゃこりゃ (ねこ一世)
2012-05-03 11:00:10
「速やかに改憲案の検討を」 櫻井よしこさんら提言(※抜粋)

提言は、大規模自然災害など非常事態を想定していない現行憲法を改正し、「いかなる国難に際しても、国の主権・独立、国民の生命・自由・財産を保全しうる強固な法治国家の体制を構築することが必要である」と訴えた。

櫻井氏は会見で、「東日本大震災の被災者が発揮した利他の精神と、権利と自由ばかりが書き込まれている現行憲法の精神は天と地ほど違う。国民の価値観と乖(かい)離(り)している憲法を一言も変えずにきた戦後の日本は間違っている」と述べ、速やかな憲法改正を求めた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120502/plc12050220030016-n1.htm

よしこタソ憲法があれば津波や原発事故が防げるんでしょうか?

憲法は国権を制限して人民の権利を保障するも
のだとは、伊藤博文も理解していた大原則のは
ずなんですけどね。
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bogus-simotukareさん (ユースケ)
2012-05-03 11:21:15
>「彼らが無茶苦茶な改憲論を唱える限り憲法は安泰だ」

安倍政権時に民主党の枝野幸男議員が、「こんな改憲内容では我々(民主党)は賛成できない。これでは衆参両院で三分の二以上の賛成など取れない。だから、彼ら(自民党改憲派)は究極の護憲勢力だ」という主旨の発言をTVインタヴューでしていたと記憶しています。

ただ、返す刀で枝野議員は社民党と共産党を「彼らは究極の改憲勢力だ」と言ってましたが、これはおそらく社民党と共産党は憲法条文を維持することにこだわるあまり、解釈改憲をこれまでの自民党に許してきたことをさしているのでしょうね。
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>bogus-simotukareさん (Bill McCreary)
2012-05-11 21:58:52
>で、そんなまともじゃない連中が改憲を唱える限り俺は護憲派ですね。

現憲法より民主的なら改憲もありですが、現状ではまったく考慮の価値もないでしょう。

>「2/3条項で改憲できれば、安倍首相の時に改憲できた」とでも妄想してるんでしょう。

安倍にそんな度胸はないでしょう。それが幸いした側面もあります。
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>ねこ一世さん (Bill McCreary)
2012-05-11 22:04:25
コメント返しが遅くなって申し訳ございません。

>東日本大震災の被災者が発揮した利他の精神と、権利と自由ばかりが書き込まれている現行憲法の精神は天と地ほど違う。国民の価値観と乖(かい)離(り)している憲法を一言も変えずにきた戦後の日本は間違っている

価値観うんぬんでいえば、現行憲法より櫻井の価値観のほうがよっぽど国民から乖離していると思いますけどね。まあ、それは櫻井は絶対認めないでしょうけど。それにしても、東日本大震災の被災者をこんなところで出しにする櫻井の卑劣な根性にはうんざりさせられます。

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>ユースケさん (Bill McCreary)
2012-05-11 22:11:38
コメント返しが遅くなって申し訳ございません。

本気で改憲をめざすのなら、自民党その他ももうすこしまともな改憲案を提示するでしょうから、現段階では改憲はポーズでしょうね。実際かりに自民党が政権を奪還したって改憲まで手が回らないでしょう。
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