ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

なぜ八木秀次が登場する(笑)

2015-11-05 00:00:00 | 社会時評

昨日(11月4日)次のような報道がされました。

>再婚禁止期間めぐる訴訟、弁論開く 最高裁

朝日新聞デジタル 11月4日(水)11時27分配信

 女性だけが離婚後6カ月間は再婚できないとする民法の規定は、「法の下の平等」などを定めた憲法に違反するとして、岡山県に住む30代の女性が国に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は4日午前、当事者の意見を聞く弁論を開いた。この日で結審し、年内にも大法廷として初めての憲法判断を示す見通しだ。

 女性は2008年に元夫と離婚した。当時、現在の夫との間の子を妊娠していたが、女性のみに再婚禁止期間を設けた民法733条の規定により、離婚後の6カ月間は現在の夫と再婚できなかった。

 女性は精神的苦痛を受けたとして、165万円の損害賠償を国に求めて11年に岡山地裁に提訴。民法733条は、「法の下の平等」を定めた憲法14条や、結婚についての法律は両性の平等に基づいて制定されるとした憲法24条に反すると訴えた。しかし、12年10月の一審・岡山地裁と、13年4月の二審・広島高裁岡山支部の判決はともに、「離婚後に生まれた子の父親をめぐって争いが起きるのを防ぐために設けられた規定で、合理性がある」などとして請求を退けた。

 4日午後には、夫婦を同姓とする民法750条の規定が憲法に違反していないかが争われた別の訴訟でも、最高裁大法廷で弁論が開かれて結審する。この訴訟も、年内にも判決が出る見通し。(河原田慎一)

私見では、再婚禁止期間なんてのははなはだしい時代錯誤であり、夫婦同姓強制も馬鹿馬鹿しいと思いますが、その点はこの記事の趣旨ではありません。産経新聞の滑稽な記事についてです。

>2015.11.1 12:45

家族のかたちどう判断 伝統的価値観か現代的な多様性か 夫婦別姓、再婚禁止期間の違憲性争う訴訟 4日に最高裁大法廷弁論

 民法で定めた「夫婦別姓を認めない」とする規定と「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」とする規定の違憲性が争われた訴訟の弁論が4日、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)で開かれる。いずれも夫婦はもちろん子供の養育も含めた家族のあり方に深く関わる。原告らは家族の多様化を理由に「民法は社会の変化に対応できていない」と主張する一方、「家族の絆が弱まる」との慎重論も根強い。伝統的価値観と現代的な多様性を最高裁はどう捉えるのか。早ければ年内にも初の憲法判断が示される見込みだ。(大泉晋之助)

氏名の性格変わる?

 選択的夫婦別姓制度導入を訴える原告は、現制度では夫婦のいずれかが姓を変えなければならず、さらに約96%の夫婦が夫の姓を名乗っているという偏った現状を問題視。「個人の尊厳や両性の平等を保障する憲法に違反する」と訴える。

 早稲田大の棚村政行教授(家族法)は「働く女性が増えて、家族のあり方は変わってきた。男性でも女性でも実績のある人物が、名前を戸籍上も変えることに不便を感じる場合がある」と指摘。その上で、「離婚や再婚、国際結婚が増える中、その度に名前を変えるのが社会にとって好ましいか、名前が一緒だから家族の一体感が生まれるのか、考える必要がある」と話す。

 一見、夫婦の平等や多様性を認めることになりそうな夫婦別姓のどこが問題なのか。「氏名の性格が根本的に変わる。『選択的』としつつ、国民全体の家族観に関わる」と反対するのは麗澤大の八木秀次教授(憲法学)だ。

 八木教授によると、夫婦同姓での氏名が「家族名に個人名を加えたもの」である一方、夫婦別姓では「氏名は完全に個人のものになる」と指摘。別姓を選択すれば夫婦や親子の姓が異なり、同姓を選択したとしても夫婦やその子供の「個人の呼称」が一部重なるだけになるため、「家族の一体感が希薄化する」と懸念する。職場などでの「通称使用」が広く普及したことから、「別姓を制度上認めなくても不便は生じない」という。

過度な制約なのか

 性差のある再婚禁止規定は、離婚直後に女性が再婚した場合、すぐに生まれた子供の父親が不明確になることを避けるために定められたとされる。原告は「必要以上の制約」と主張。DNA型鑑定など親子関係について科学的特定方法が進む現在、「条文の根拠は失われた」と訴える。

 棚村教授も「親子を確定させるルールがきちんとあれば、再婚禁止期間は必要ない。ドイツやフランス、韓国などは廃止した」と指摘する。一方で撤廃した際には、親子関係を確定させるためのDNA型鑑定について、「裁判所から命じられた鑑定以外は認めないなど、厳格な運用が必要。血縁だけで親子を決めることができない場合もある」とみる。

 科学鑑定が進んだ今も、後婚の夫の子供と推定するなどの嫡出推定規定の改正がない限り、再婚禁止規定が必要と考えるのは東北大の水野紀子教授(家族法)だ。水野教授は嫡出推定を「絶対的な社会弱者の子供を守るための制度」と位置づける。場合によっては血縁とは関係なくとも子供に確実に両親を与えるこの規定があるからこそ、「子供の両親を速やかに確定させることで家族が安定し、子供の健全な養育が可能になる」と話す。

 DNA型鑑定で血縁を調べることについて、フランスでは禁止され、諸外国でも慎重に運用される。水野教授は「鑑定は、場合によっては築いてきた家族関係を壊しかねない。厳格な運用が求められている」と危惧。差異はあるが、鑑定の運用には賛成・反対派ともに規制が必要との意見だ。

この記事で注目したいのが、こちらです。

>一見、夫婦の平等や多様性を認めることになりそうな夫婦別姓のどこが問題なのか。「氏名の性格が根本的に変わる。『選択的』としつつ、国民全体の家族観に関わる」と反対するのは麗澤大の八木秀次教授(憲法学)だ。

 八木教授によると、夫婦同姓での氏名が「家族名に個人名を加えたもの」である一方、夫婦別姓では「氏名は完全に個人のものになる」と指摘。別姓を選択すれば夫婦や親子の姓が異なり、同姓を選択したとしても夫婦やその子供の「個人の呼称」が一部重なるだけになるため、「家族の一体感が希薄化する」と懸念する。職場などでの「通称使用」が広く普及したことから、「別姓を制度上認めなくても不便は生じない」という。

ね、ね、ね、いわゆる家族法についての裁判についての記事で、なんで民法学者ならぬ憲法学者の八木が登場するの?

失礼ながら、八木なんてこの件の専門家じゃないでしょうが。もっとも憲法だって、八木なんて自民党からですらあまりいい顔をされない程度の(だから、戦争法制の審議で長谷部恭男教授が自民党推薦の参考人に呼ばれて、違憲だと陳述したわけです。自民党からすれば、八木とか百地あたりから「合憲だ」なんて言われたって価値がないわけです)人間ですが、しかし民法でコメントを求めてもなおさらしょうがないでしょうに。

記事では、再婚禁止規定については賛成を唱える水野教授を登場させていますが、夫婦別姓に関しては、つまりは賛成してくれるそれなりの民法学者なるものが存在しなかったのでしょう。だからといったって、八木なんか登場させなくたっていいし、八木だって「自分は憲法学者だから」と断るのが当然ですが、双方ともどもそんな常識のある連中じゃないしね(笑)。いずれにせよどうしようもないとはこのことです。

それで産経新聞というのは、この種の滑稽な人選が目立つメディアです。以前私が書いた記事です。

なぜ藤岡信勝が登場する(笑)

この記事で紹介しましたように、藤岡は、大江・岩波訴訟についての論評を産経新聞に書いています。ね、ね、ね、なんで教育学者の藤岡が、そんな名誉棄損訴訟についての論評を新聞に書くの? 藤岡が、自分が雑誌とかに持っているコラムとかで書くっていうものじゃないし。

これも八木が登場するのと同じで、つまりは、法律家や沖縄に詳しい歴史家、ジャーナリストなどで、この裁判に関して上告側(原告側)を支持して判決を批判するコメントをしてくれる人なんかいなかったということでしょうが、教育学者にこんなもの書かせてどうする(笑)。もちろん産経新聞だって、藤岡なんて右翼活動家としてしか評価していないし、藤岡だっていまさら自分を教育学者として評価してもらおうなんて期待してはいないでしょうが、それにしてもなんとも無残で無様な姿です。

もっともこの裁判に関しては、藤岡は実は善意の第三者ですらないようですが(拙記事を参照してください)、いずれにせよ執筆させる産経といい執筆する藤岡といい、何とも非常識極まりない連中です。

それで、たとえばこのような記事はどうでしょうか。

>2015.4.16 23:00

【正論】AIIBにみる中国の金融野心と参加国の策略とは…評論家・西尾幹二

内容は、興味のある方が読んでいただければよいとして、AIIBについて論じるのに、西尾みたいな経済学者でもない素人に書かせたってしょうがないでしょうにねえ。普通なら、こんなものを西尾なんかに依頼する馬鹿はいないし、西尾だって普通なら「自分は専門外なので」とかいって断るでしょうが、上と同様産経も西尾も、そんな常識が通用する連中じゃないしね(苦笑)。

ていうか、AIIBの問題って、つまりは加入する、しないによって日本がどのような経済的メリット、あるいはデメリットとなるかということであって、西尾にこんな文章を依頼する産経は、実のところ経済的な問題じゃなくて、いわば中国とかかわりあいたくないという次元を最優先させちゃっているわけですよね。まさに語るに落ちるとはこのことです、じゃなくて、そんなことをカムフラージュする意思もないのでしょう。何をいまさらながら、どうしようもない新聞社、どうしようもない執筆者です。

この記事は、bogus-simotukareさんのこちらこちらを参考にしました。また一部その記事に私がよせたコメントを再使用していることをお断りいたします。

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12 コメント

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Unknown (凡太郎)
2015-11-05 12:29:51
同性婚について
宗教新聞社主催の同性婚の問題点を考える講演会において、日本で同性婚が合法化された場合は「少子化を倍速化させるだろう」と指摘し、「婚姻制度の根幹は、子供を産み育てるためのものである」、「結婚とは男女によるものであって、それはその間でしか子供が生まれないからだ」と訴えた[9]。

宗教観
宗教と政治的価値観の関係について、「新左翼的な価値観と結びついたら宗教はカルトになる」と述べている[10][要追加記述]。

憲法を巡る天皇・皇后の発言に対する発言

2013年(平成25年)10月20日の皇后の発言の内、五日市憲法草案を取り上げた事について[11]、及び2013年(平成25年)12月18日の今上天皇の発言の内、「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時の我が国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。また、当時の知日派の米国人の協力も忘れてはならないことと思います」を抜粋し[12]、「両陛下のご発言が、安倍内閣が進めようとしている憲法改正への懸念の表明のように国民に受け止められかねない」「宮内庁のマネジメントはどうなっているのか」と正論 (雑誌)で発言[13]。


宗教に関しても「お前が言うか(笑)」ですが天皇陛下の憲法に対する御発言にしても曲がりなりにも学者ならここまで現政権に肩入れしていいものか、と感じてしまいますね。
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Unknown (bogus-simotuakre)
2015-11-05 19:20:44
>この記事は、bogus-simotukareさんのこちら、こちらを参考にしました。

いつもご紹介ありがとうございます。

>記事では、再婚禁止規定については賛成を唱える水野教授を登場させていますが、夫婦別姓に関しては、つまりは賛成してくれるそれなりの民法学者なるものが存在しなかったのでしょう。。

 まあ、そういうことでしょうね。水野教授が「夫婦同姓支持」なら水野教授再登場でしょうし、「水野教授が再婚禁止規定反対派」ならこちらも八木の登場だったでしょう。
 水野教授が登場しなくても産経が結論ありきだってのはわかりきっていますが、水野教授の登場によって「ああ、産経もできれば、八木なんか使いたくないんだな。でも自分に都合のいい結論を出すために仕方なく使ってるんだな」ということがよくわかります。
 まあ、産経は水野教授に感謝感激でしょうね(苦笑)。

>八木だって「自分は憲法学者だから」と断るのが当然ですが、双方ともどもそんな常識のある連中じゃない

そういう非常識でなければ極右活動家なんかつとまらないのでしょう。
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>凡太郎さん (Bill McCreary)
2015-11-06 00:06:31
まあ産経にしても右翼にしても、安倍晋三にしても、現天皇なんて利用はしても別に何らかの経緯を持っているわけではないでしょう。昭和天皇は、前に記事を書いたように、強い反共意識の持ち主でしたが、現天皇はそうでもないようだし。

http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/de78e71009695eb9f42ca0ed66f14575
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>bogus-simotukareさん (Bill McCreary)
2015-11-06 00:08:32
いつもながら面白い記事ありがとうございます。

>水野教授の登場によって「ああ、産経もできれば、八木なんか使いたくないんだな。でも自分に都合のいい結論を出すために仕方なく使ってるんだな」ということがよくわかります。

でしょうね。この記事だって、八木で読者が説得されるなんて期待するほどの狂信者ではないでしょうしね。

>まあ、産経は水野教授に感謝感激でしょうね(苦笑)。

そんなところでしょう。

>そういう非常識でなければ極右活動家なんかつとまらないのでしょう。

ましてや八木は狂信者ですからね。
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八木ですか (やすゆき)
2015-11-06 20:18:01
産経にもまともな記者はわりといますからそういう人たちなら八木なんかを持ち出したりましてや関わりたくなんかないでしょう。ちなみに専門が憲法学とのことですが八木の専門の論文があまり ないんですよね。憲法と関係ないことばかりで。Y染色体説や江戸しぐさなどトンデモです。
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>やすゆきさん (Bill McCreary)
2015-11-06 23:16:01
八木は、まともな憲法の本なんか書いてはいませんからね。どっちみちまともな人間から相手にされるような人物ではありません。
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Unknown (nordhausen)
2015-11-07 21:26:37
産経絡みといえば、産経新聞出版から石平氏が有本香氏と共著で「リベラルの中国認識が日本を滅ぼす 日中関係とプロパガンダ」という本を出したそうです(11月7日の北海道新聞の1面にその広告が掲載されていました)。

この広告には、「なぜ彼ら(日本のリベラル)は『中国の代弁者』なのか」「『中国の脅威を煽るな』という言説こそ疑え!」と書かれていますが、ただ単に中国に好意的な主張をしている人たちに因縁をつけているだけなのでは、と感じましたね。恐らく石氏にとって中国に好意的な主張を行っている人たちは全て「中国の代弁者」なのでしょう。それに、石氏の憎悪の対象は中国ばかりではなく、朝日新聞などの日本のリベラルにも向けられているのではないかと思いますね。

あと、有本香氏の名は聞き慣れませんが、産経の記者なのでしょうか。
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>nordhausenさん (Bill McCreary)
2015-11-08 14:23:12
>リベラルの中国認識が日本を滅ぼす 日中関係とプロパガンダ

なかなか凄まじい題名の本ですね。右翼のアジビラ本ということでしょう。

>石氏の憎悪の対象は中国ばかりではなく、朝日新聞などの日本のリベラルにも向けられているのではないかと思いますね。

中国が読んでどうこうということもないでしょうから、実質的な攻撃目標は、日本のリベラル、ということじゃないですかね。

>あと、有本香氏の名は聞き慣れませんが、産経の記者なのでしょうか。

右翼本をいくつか出版していますね。Wikipediaにも記事があります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E6%9C%AC%E9%A6%99

フリーライターということですが、チベット関係から右翼になった、ということのようですね。
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有本香って (やすゆき)
2015-11-13 19:53:49
有本香は悪質なデマゴーク日垣隆と平気で戯れてたり、辻元に対するデマツイートをリプライするあれな人です。有本香の言説とかも眉唾もんで見た方がいいです。
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>やすゆきさん (Bill McCreary)
2015-11-15 21:54:12
彼女は、上にも書いたように、チベットから右翼に目覚めちゃったんですかね。そのあたりの理由はともかく、いろいろな意味で困ったものです。
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