ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

何回も同じことを書くが、重罰を(犯行時に)恐れない人間の犯罪はどうしようもない

2018-06-11 00:00:00 | 社会時評

同じような記事を繰り返し書いていますが、この事件も怖いですよねえ。

>新幹線のぞみ車内で切られ1人死亡、2人重傷 男を逮捕
2018年6月10日01時54分

 9日午後9時50分ごろ、神奈川県の新横浜―小田原間を走行中の東海道新幹線東京発新大阪行き「のぞみ265号」の車内で、刃物を持った男が乗客に切りつけた。神奈川県警小田原署によると、男性1人が死亡、20代の女性2人が重傷を負った。県警は、いずれも自称の無職小島一朗容疑者(22)=愛知県岡崎市=を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。「むしゃくしゃしてやった。誰でもよかった」と話し、容疑を認めているという。署は無差別的な犯行とみて調べている。

「むしゃくしゃしてやった」新幹線3人死傷、容疑認める
「殺される」「逃げ場がない」新幹線3人死傷、車内騒然
 県警や消防によると、被害者の3人はいずれも首などを負傷。重傷の女性の1人は腕や肩なども刺されていたという。のぞみ車内で非常ブザーが押され、緊急停止し、小田原駅まで移動した。警察官が駆けつけると、小島容疑者は刃物を持って男性乗客にまたがるようにしゃがみ込んでいたが、警察官にうながされて無言で立ち上がったという。現場には別の刃物も落ちていたという。

 ツイッターなどでは、床に血痕が点々と付着した写真などを乗客とみられる人たちが投稿している。

 新幹線の車両内では2015年6月、乗客が死亡する事件が起きている。神奈川県を走行中だったのぞみの車内で、男が自分にガソリンをかけて火を付けた。男のほか、巻き込まれた女性1人が死亡し、28人が重軽傷を負った。

死亡した方については、こんな情報もありますね。

> 12号車の後方にいて、犯行の様子を目撃した兵庫県明石市の女性(31)によると、容疑者は女性の4、5席前の2列シート通路側に座り、犯行直前に突然立ち上がり、刃物のようなものを隣席の女性に無言で振り下ろした。その直後、男性が止めに入り、容疑者ともみ合いになり、容疑者が刃物で男性に迫っていたという。

 また16号車に乗っていた男性会社員(53)によると、犯行後に逃げ込んできた女性客が「『やめろ』と止めに入った男性が切られた」などと話していたという。

もしそうだとすれば(そうでなくても当然ですが)本当に気の毒ですね。お悔やみを申し上げます。

新幹線で起きた危険な事件というと、上の記事でも触れられている数年前の放火事件を思い出します。私も次のような記事を書いています。

中国では、地下鉄でもX線検査によるセキュリティチェックをしているが・・・

記事のタイトルにもあるように、中国では地下鉄もX線検査ほかのセキュリティチェックをしています。インドのコルカタの地下鉄もそうだし、バンコクの地下鉄も同様です。しかし日本の通勤鉄道は、これらの国々をはるかに上回る混雑ぶりですからね。中国は、地下鉄ばかりでなく日本の新幹線に当たる高速鉄道なども当然セキュリティを厳しくしていますが、日本の新幹線のとりえはそういったことのない簡便さだし、新幹線にそれなりのセキュリティを導入しても、不便なだけで実効性が薄いということになりそうです。それともこれは一歩を踏み出すのでしょうか。

私のような素人が個人的な意見を述べるだけでなく、識者の意見を引用します。昨日(6月10日)のNHK夜の7時のニュースに出てきた学者の意見を。

セキュリティチェックの関係では、だいたい私と意見が同じですね。この教授が仰せのとおり、できることは警備員を駅と車内により多く設置するくらいのことが関の山じゃないですかね。

事件のあったのは、新大阪への最終列車で、当方も週末などに乗ることもあります。さすがにこのような事件に遭遇する可能性は低いとしても、上の放火事件もふくめて、新幹線のような閉鎖されたところでそんなことしなくてもいいだろうと考えますが、やはり犯人からすれば、なぜだか知りませんが、新幹線車内のようなところで犯行をしたかったんでしょうね。でなければ、そんな逮捕確実な場所でこんなことはしないでしょう。

それでどうもこの犯人には、入院歴があるようですね。毎日新聞より

> 小島容疑者は自閉症と診断され、昨年2~3月には岡崎市内の病院に入院していた。

自閉症で入院というのも、これも事実関係がどういうことなのかよくわかりませんが、ある程度精神状態が悪かったということでしょう。今年になって家出をしたそうで、その間どうやって暮らしていたかも現状つまびらかでありませんが、そんなに過去粗暴な人間だったとも伝えられていませんね。ちょうど10年前にあった秋葉原の事件の現死刑囚も、事件以前にそんなにひどい粗暴だったわけでもないようですから、あるいは臨界点が来ちゃったのかもしれません。

さて、これまた世間を驚かせたこの事件はいかがでしょうか。

>追跡
名古屋・漫画喫茶刺殺 凶行、流浪の果て 「職就けずいらだち」

毎日新聞2018年5月27日 中部朝刊

 名古屋市中区錦3の漫画喫茶で愛知県尾張旭市の銀行員、大竹智之さん(35)が刺殺された事件で、殺人容疑で送検された無職、稲田府見洋(ふみひろ)容疑者(22)は事件の1カ月前から各地を転々とし、名古屋市に来てからは漫画喫茶で寝泊まりしていた。接見した弁護士に「職に就けずにいらだっていた」と事件当時の心境を話しているが、被害者への謝罪や反省の言葉はないという。【井口慎太郎】

 事件は17日午後8時20分ごろに起きた。ビル9階の店内で稲田容疑者は二つ隣のブースの扉をいきなり開け、言いがかりをつけて、大竹さんを果物ナイフで襲ったとされる。

 接見した弁護士によると、稲田容疑者は幻覚や幻聴の症状があり、20歳の頃に統合失調症と診断された。医師から毎日の薬の服用を指示されていたが、最近は飲んでいなかったとみられる。「自分は病気じゃない。親に薬を飲まされるのが嫌だった」と話した。

(後略)

22歳容疑者を鑑定留置 名古屋地検
毎日新聞2018年6月1日 19時59分(最終更新 6月1日 21時24分)

 名古屋市中区錦3の漫画喫茶で愛知県尾張旭市の銀行員、大竹智之さん(35)が刺殺された事件で、名古屋地検は1日、殺人容疑で送検された無職、稲田府見洋(ふみひろ)容疑者(22)の責任能力の判断に向けて鑑定留置を請求し、名古屋地裁に認められた。9月10日まで。

 地検は、供述に矛盾があり動機も判然としないため、事件当時の精神状態などについて専門家に鑑定を依頼することとした。責任能力の判断材料とする。

 稲田容疑者は5月17日午後8時20分ごろ、ビル9階の店内で二つ隣のブースの扉をいきなり開け、言いがかりをつけて大竹さんを果物ナイフで襲ったとして逮捕された。

 愛知県警によると、稲田容疑者は逮捕後に「むかつくことがあり、誰でもいいから刺してやろうと思っていた」と話し、凶器のナイフは「1週間ほど前に拾った」と供述した。しかし、捜査関係者によると、ナイフは4月に岡山県の量販店で購入したとみられる。

 接見した弁護士によると、稲田容疑者は統合失調症の診断を受けていた。事件当時に関して「職に就けずにいらだっていた」と話したという。【野村阿悠子、井口慎太郎】

上の記事での後略の部分でも関係者の談話がありますように、このような営業をしている店舗で、利用者の荷物チェックをするというのも現実的でありません。たいていの人間は嫌がってその店に悪い感情を持つのではないですかね。いずれせによ実行はできそうにない。名古屋の事件の場合、統合失調症だからといって刑事責任が免責されるかはわかりませんが、新幹線といい漫画喫茶といい、犯人たちは少なくとも犯行時は、自分の逮捕後のことなど何一つ考えなかったのでしょうからねえ。その瞬間に頭がブラックになると、正直どうしようもありません。刑事責任の問題や、道徳的な意味合いはまた違いますが、刑罰がその人の犯罪を押しとどめるものにならず、そして犯罪が、上の2件のような極めて重大な犯罪となると、これはいつもの結論になりますが被害者は運が悪いの一言に尽きますね。鉄道会社や漫画喫茶経営者側に管理責任があるわけでもないし。また、名古屋の事件では、犯人は統合失調症の診断を受けていたにもかかわらず服薬を拒否したというのも考えさせられますね。措置入院でもさせて、無理やり治療すればですが、その時はそこまでひどくはなかったのかもだし、自分で勝手に自己診断して服薬しないのではお話にもならないにもほどがあるというものです。

前にこんな記事を書きました。

どうもねえ(3)(追記あり)

で、その記事で取り上げた方も、

>近畿大学教授時代にハラスがひどかったわけですが、一年間の休職期間中に近大医学部人見教授に一年間診療していただきました。先生は近大医学部の精神科の主任教授です。

>近大医学部精神科に月二回通いなさいと要請されました。

という状況だったにもかかわらず

>私自身、よくこんな状態で発狂もせずに生き続けているなと思います。

>不思議なことに自殺する気が起こらず発狂もしていきません。

と自分では主張しています。医者にも通わなくなってしまったらしい。このような事例は、少なくないと思います。この方は、自分のHPなどでかなり物騒な発言をしています。現段階なにかが起きたという話は聞いていませんが、私としてはトラブルがないことを祈ることしかできません。

それで、事件の重大さは違うし、また統合失調症とも違いますが、こちらの件はいかがですかね。私もいくつか記事にしています。

これはなかなかすごい記事だ(江川紹子執筆の窃盗癖についての記事)

あらためて窃盗癖(クレプトマニア)の怖さに驚愕する(3月5日更新)

それで江川紹子が、この元マラソンランナーが群馬で起こした万引き事件での裁判について記事を書いています。被告人が万引きをしたという際の供述部分を引用します。

>実行行為は「よく覚えていない」

 今回、起訴された事件は2月9日夜。レンタルDVDを返却しに出掛け、その帰りにふっと「明日から3連休だから、その間の食べ物を買っておきたい」と思った。家には、すでに食パンなどもあったが、やたら食べ物を貯め込みたがるのは、摂食障害患者の特徴の1つ。太田市内のスーパーに入り、お菓子コーナーでキャンデー1袋とクレープクッキーを2袋を手に取り、上着の中に隠した。そのまま、パンコーナーに移り、半額セールになった食パンや菓子パンなどをいくつもカゴに入れた。

 お菓子をとった瞬間は、「目の前が、雲がかかるように白くなって、視角が狭くなった」という以外よく覚えていない、という。カゴが体に触れた時、がさっという音がしてハッとし、お菓子をカゴに入れて精算しなければと思ったが、周囲の人がみな自分のことを見ているようで、その実行するタイミングをはかりかねていた、と説明する。防犯カメラによれば、その時間は約15分。その間、そこにいる人たちが、口々に「原裕美子よ」「万引きした人ね」と言っているように聞こえた。本当にそう言われたのか、彼女の頭の中だけで響いたのかは、分からない。そこへ、店内の私服警備員の女性が声をかけ、事務所に連行した。

窃盗癖で万引きする人というのは、万引きする際に頭の中に霧がかかるとかブラックになるとかいう話をすることがあります。彼女は万引きで有名になっちゃったし、裁判でも執行猶予付きの懲役判決だったわけで、こんど逮捕されたら実刑になっても文句が言えません。が、でも犯行をしちゃったときは、そういったことをすべて超越して犯行をしちゃうのですから、これまたどうしようもないですね。懲りないとかなんとかいう話じゃないでしょ、これ。お話にもなりません。こういう話は、目黒区の虐待事件にも、ある程度つながる部分もあるかと思いますが、この事件については別に記事を書きましょう。

書いていて思いっきり鬱になりました。今日の記事はここでやめます。いずれにせよ、犯行時に重罰を恐れない人間というのは、事実上(一時的であるにせよ)怖いもの知らずです。どうしようもありません。

コメント (18)
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