ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

栗柄ダム

2017-03-28 11:27:29 | 兵庫県
2017年3月19日 栗柄ダム
 
栗柄(くりから)ダムは兵庫県丹波篠山市栗柄の由良川水系滝の尻川にある兵庫県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
丹波篠山市栗柄地区は、日本海へ注ぐ由良川水系滝の尻川と瀬戸内海へ注ぐ加古川水系宮田川が盆地で中央分水界を形成するいわゆる谷中分水界という全国でも珍しい場所です。
当然のことながら豪雨の際は両河川が入り乱れ多大な洪水被害を引き起こしてきました。
兵庫県は国交省の小規模ダム補助事業である生活貯水池事業を活用した多目的ダム建設に着手、2013年(平成25年)に栗柄ダムが竣工しました。
栗柄ダムは滝の尻川及び下流の竹田川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、丹波篠山市への上水道の供給を目的としています

黒が栗柄ダムのある由良川水系滝の尻川、緑が加古川水系宮田川で間を走る県道97号線が中央分水界となります。 

横長のコンクリートダムでクレストには自由越流式洪水吐が2門、オリフィスゲートがあります。
 
2013年に竣工したばかりでコンクリートは『出来立てのほやほや』感たっぷり。
 
下流面もコンクリートの白さが目立ちます。
 
上流面。
 
天端。
 
貯水池は38万3000立米とそこらの溜池程度のサイズ。
 
横長の減勢工は近くの三宝ダムと共通します。
 
栗柄地区の眺め
この盆地が由良川水系と加古川水系の谷中分水界となっています。
ダム下の田んぼは由良川水系で水は日本海へ、奥の田んぼは加古川水系で水は瀬戸内海へと流れます。
 
右岸から上流面
手前からオリフィスゲート、クレストゲート、取水設備
対岸に管理事務所があります。
 
まだ真新しいコンクリートが特徴で、横長のスタイルは洪水吐の位置が左右逆ながら近接する兵庫県営のの三宝ダムによく似ています。
さらに栗柄地区が谷中分水界という非常に珍しい地形であることにも注目したい栗柄ダムです。

(追記)
栗柄ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
3234 栗柄ダム(0874)
兵庫県丹波篠山市栗柄
由良川水系滝の尻川
FNW
26.7メートル
172メート
383千㎥/356千㎥
兵庫県土木部
2013年
◎治水協定が締結されたダム


2 コメント

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ビックリ! (tibineko)
2023-07-05 18:45:56
盆地の中の県道が「分水界」!!

まっちさんが教えてくれなければ、多分一生耳にする事も、目にする事もなかったでしょう。
で・・多分、側まで行ったとしても、どの部分がそうなんだろうと悩んでしまうと思います(^^;)

丹波市氷上町石生にある「水分れ公園」は、「𡶌部神社」に参拝の折にちらっと立ち寄りました。
それとても看板があるから「そうなのか」と納得しましたが、そうでなければ単に水が二方向に流れているで終わったかもしれません。
自慢ではありませんが(全く自慢になりません)私、地理的な話には実は物凄く疎いのです(ーー゛);
お恥ずかしい・・・
石生の分水界 (まっち)
2023-07-05 19:00:11
石生の分水界も有名でもっと町中にあり駅前が分水界??って感じでしょうか?
ただ栗柄の場合は特殊で、地図を見れるならご覧いただきたいのですが、西側には栗柄峠というかなりしっかりした峠がありこれが分水嶺となっていました。
ところが峠の南側で大規模な崩落があり、本来開くことのない壁に穴が開いてしまった。そのため本来宮田川に合流していた滝の尻川が峠の向こう側が源流だった竹田川に注ぐことになりました。
実際現地に行くと県道を挟んで灌漑用の水路が入り乱れ、実は両河川はこの水路でつながっているというますます頭がこんがらがる状況です。笑

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