ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

奈良俣ダム(再)

2016-10-12 20:34:38 | 群馬県
2016年10月10日 奈良俣ダム(再)
 
1947年(昭和22年)のカスリーン台風により利根川流域では甚大な被害が発生し、1949年(昭和27年)に『利根川改定改修計画』が、1962年(昭和37年)に『利根川水系水資源基本計画』が策定され、建設省と水資源開発公団により利根川水系の洪水調節及び利水を目的としたダムが7基建設されました。
しかし1970年代に入っても首都圏の人口増加や産業集積は留まる事を知らず水需要は増加の一途をたどりました。
そこで水資源開発公団は利根川の支流楢俣川に新たなダムの建設を決定、1973年(昭和48年)に着工し1990年(平成2年)に完成したのが奈良俣ダムです。
奈良俣ダムは堤体積1310万立方メートルは徳山ダムに次いで第2位、堤高158メートルは第4位の規模を誇る日本屈指の巨大ロックフィルダムです。
奈良俣ダムは他の利根川水系ダムと連携しての利根川の洪水調節、既得取水権の補給、千葉県の両総用水への灌漑用水の供給、首都圏及び群馬県への上水道・工業用水の供給を目的とするほか、群馬県企業局奈良俣発電所で最大1万2800キロワットの発電を行っています。
 
2019年(令和元年)に『藤原・奈良俣ダム再編再生事業』が採択され2022年(令和4年)竣工をめどに事業が着工されています。
具体的には藤原ダムの利水容量239万立米と奈良俣ダムの洪水調節容量239万立米を振り替えることで、藤原ダムの洪水調節容量を増強し、より効率的な治水運用の実施を目的としています。
これに伴い奈良俣ダムでは夏期制限水位の上昇に対応するための常用洪水吐の改良、藤原ダムでは放流設備(バルブ)の副ゲートの設置が行われます。
 
湯檜曽から利根川に沿って県道63号を進むと左手に奈良俣ダムが見えてきます。
堤高158メートルの巨大ロックフィルダムです。
 
堤体脇にある仮排水路。
 
洪水吐。
 
群馬県企業局奈良俣発電所。
 
ダムサイトに上がってきました。
洪水吐は自由越流式2門とローラーゲート1門。
 
竣工記念碑。
 
洪水吐から。
 
天端。
右奥の建物はヒルトップならまた。
 
ダム湖(ならまた湖)
左岸に管理事務所とインクラインがあります。
ダム湖背後は尾瀬の笠ヶ岳と至仏山。
 
ダム湖右岸の奈良俣ダムの銘とモニュメント。
 
下流面。
 
(追記)
奈良俣ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
3707 奈良俣ダム(再)0638)
群馬県利根郡みなかみ町藤原
利根川水系楢俣川
FNAWIP
158メートル
520メートル
90000千㎥/85000千㎥
水資源機構
2022年
◎治水協定が締結されたダム
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0623 奈良俣ダム(元)
群馬県利根郡みなかみ町藤原
利根川水系楢俣川
FNAWIP
158メートル
520メートル
90000千㎥/85000千㎥
水資源機構
1990年


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