鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

小沢一郎の策略にはまった哀れな人身御供としか思えない嘉田滋賀県知事

2012-11-28 | Weblog
 27日、滋賀県の嘉田由紀子知事が新党「日本未来の党」を立ち上げる、と発表した。自民・公明、民主に続く第3極の混迷にメスを入れようと立ち上がったようで、裏で小沢一郎が糸を引いているのはみえみえの茶番劇で、さらに混迷を深めることになるのは間違いない。新党は卒原発を旗印として、第3極に位置する群小政党の結集を図っていくというが、卒原発は大方の賛同は得ることは事実だが、総選挙の第一の争点として掲げることには疑問がある。基本的に卒原発は守りの姿勢であって、日本経済をいかに立て直していくかの政策がないと画龍点睛を欠くことになるのではなかろうか。
 「日本未来の党」は今回の総選挙前までに立ち上げた党としては16番目の党になる。各党とも民主、自民・公明の対立軸の割って入ろうというねらいで設立されているが、小選挙区制の制度のもとでは選挙後埋没してしまう党が出てくるのは必至の情勢である。特に現在野党第2の党である「国民の生活を第一」党はもともと前回の総選挙で、民主党の風に乗って当選した小沢チルドレンがほとんどで、選挙の結果、1ケタの議員数になり、惨敗は見えている。そうなると、党代表の小沢一郎のメンツは丸つぶれで、政治生命を失くしてしまうことにもなりかねない。さりとて、日本維新の会に頭を下げて合流もきない状況にある。プライドの高い小沢一郎は無色透明な嘉田由紀子知事を担ぎ出すことを画策したのだろう。発表の前々日に小沢一郎と嘉田知事が会っている、という情報は流れていた。
 そんな「日本未来の党」は嘉田知事が代表に就き、代表代行には環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長が就任するほか、京セラ名誉顧問の稲森和夫氏や、ミュージシャンの坂本龍一氏、俳優の菅原文太氏、ジャーナリストの鳥超俊太郎氏、脳科学者の茂木健一郎氏などが賛同者に名を連ね、卒原発の旗印のもとに総力を結集するムードになっている。
 卒原発は確かに3.11以降の日本の緊急、かつ当面する大きなテーマではあるが、いま総選挙を控えての最大のテーマであるかについては疑問が残る。いずれ、原発をなくすことにはだれしも異論はないだろうが、原発ゼロへ持っていくまでのプロセスをどうするかについての議論が分かれることになる。いまある原子力発電所を一斉に廃棄することについては経済的なロス、および再び火力発電所に頼ることによる燃料費などコストアップについてどうするのか、といった問題まで掘り下げられていない。すでに関西、九州電力が来年からの電力料金値上げを申請しているが、消費者は反発を示している。一方では脱原発、一方では電力料金値上げ反対では単なるヒステリーに過ぎない。
 それに卒原発、脱原発といっても日本全体のことを考えれば、守りの姿勢を示しているの過ぎない。国際社会のなかで日本が生きていくうえでは卒原発はライフスタイルの問題に過ぎず、外貨獲得し、国民生活を維持向上させていくうえでの手段にはなりえない。そんな”守り”の姿勢を総選挙の第一のテーマとするのはやはりおかしいし、そんなことでは日本は国際社会のなかで取り残されてしまう。
 それと嘉田知事がいかに優秀な行政ウーマンだとしても、国政を担う党の代表と知事の2つの職責を全うできるとは思えない。いかに体裁を整えようとも、小沢一郎の策略にはまった哀れな人身御供としか思えないのだが……。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする