世界変動展望

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小保方晴子がES細胞をSTAP細胞と偽って扱ったという見解その2

2014-12-30 15:00:33 | 社会

前にES細胞を混入させたのが小保方晴子だという見解を紹介した。今回は遠藤高帆氏の見解を紹介する。

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ブログ主はChIP-seq実験がどのようなものかご存じないと思います。ChIP-seq実験は大量の細胞を必要とします。そして記者会見のQAで述べたられたように,小保方氏は大量のSTAP細胞が得られた時期に必要な細胞数を「かき集めた」と証言したと調査委員が答えています。
そもそもSTAP細胞は複数の幼齢マウスの脾臓細胞を混合して得られるものなのですが,それを更に「かき集める」と,遺伝的に不均一な細胞集団が得られるはずです。しかし報告書にあるように得られた細胞は一種類のES細胞のものでした。
これから得られる結論は,何らかの誤操作による「混入」ではなく,「すり替え」で説明する方が理解しやすいということです。今回STAP細胞およびその派生細胞はES細胞であったことが明らかになりましたが,使われたES細胞は少なくとも3種類に渡ります。しかし,同じ細胞として行われた実験では常に同じ種類のES細胞が使われていましたし,「かき集めた」場合もES細胞の種類は揃っていました。もし管理がずさんなだけであったら,確率的にはバラバラになったはずです。すなわち,ES細胞のミスによる混入よりも,計画的かつ意図的なすり替え(100%の混入)が日常的に行われていたことを示します。

しかもSTAP細胞を作成するのに必要な7日程度の時間の間に混入が起きたとすると,ES細胞が増殖しやすい培地で培養しているため,時期を正確に知らないと細胞が増殖してしまい混入が容易に分かってしまいます。従っていくつのシャーレがあるかも含め実験過程を全て掌握していた人物の関与が疑われて然るべきです。
またどの実験がいつ行われたかは報告書に一部しか示されていませんが,Scienceにリークされた2013年3月のNatureレビューにはChIP-seqのことは触れられていませんでした。従ってChIP-seq実験は2013年以降に行われたと推測します。調査委員会は実験の時期を把握していたはずですから,ChIP-seq inputの残存資料を調査するだけでなくこの実験がいつのものかを明らかにして欲しかったと思います。

このサイトのコメント

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ChIP-seqの件は古田彩氏が会見の時に質問していた。次号か次々号の日経サイエンスで紹介されると思う。調査委員会が小保方晴子を混入者と認定しなかったのは自白や目撃証言といった直接証拠がなかったからです。混入は密室で行われたので目撃証言がなくても仕方ないでしょう。決定的な直接証拠がないと混入を認定できないなら、最初から認定は無理だとわかっているようなものです。遠藤氏は「混入」ではなく「すり替え」であり、それが計画的かつ意図的かつ日常的に行われたと主張。計画的というのはスペクター事件と似ている。ChIP-seq実験が2013年以降に行われたなら、若山研が山梨大に移った後に理研でSTAP細胞が作られた事になるので、若山やそのスタッフは被疑者からはずれ、小保方晴子の混入又はすり替えしかあり得なくなる。もっと調査した方がいいかもしれない。

私は調査報告を見て、生データ等の提出がないのに文科省ガイドラインに反して小保方晴子の不正を認定しなかった事から、裁判を恐れて甘い認定になったと思うし、調査委員会はよく調査したと思うものの、認定に不適当な部分がいくつかあると思いました。混入者又はすり替え者を特定しなかった点も裁判を意識したものだと思います。直接証拠がないとはいえ、小保方晴子がES細胞の混入又はすり替えの実行者だったことは濃厚です。

今回の調査で文科省ガイドライン等が無視された事や小保方晴子が「誰でも知ってる悪事を悪いと知らなかった」事を理由に不正認定を避けたのは、間違った判断であり、このような調査結果を示した事は後の調査の悪例になりまずいと思います。桂勲委員長が会見で生データ等の不提出で不正を認定する際に「他の事例でも同じ事があった」と言い分したように、今回の調査結果が後の悪例になる事はまずいです。

桂勲委員長が述べた「他の事例でも同じ事があった」というのは、生データの不存在等で不正認定を避ける事が許されるという事ではなく、まずい点として改善しなければならない事であって、前の悪例を持ち出して前例があるこら今回も許されると考えるのは間違っています。また前回の石井調査委員会で研究不正の故意性は単に事情を知っている事であり、客観的、外形的な研究不正行為に対する認識だけあれば足り、それを超えた害意等の詐害意思は必要ないと判断されたのに、明らかな研究不正行為を「小保方晴子が悪いと知らなかったから不正でない」と判断するのは、明らかな間違いです。前回認定された電気泳動画像の切り貼り等は詐害意思はないのに改ざんと認められた。

桂委員会のような認定をすると、「研究不正の疑いをかけられた時には生データや実験ノートを破棄すればいい、又は不断から記録しなければいい。証拠があっても、悪いと知らなかったと弁明すればいい。」という事になってしまいます。須田桃子記者が会見で質問したように「商品を盗んでも悪いと知らなかったと弁明すれば不正にならないというものではないか」という不条理な事を許してはならないと思います。

こういう事を改善しないとまずいと思います。



1 コメント

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裁判対策? (アノニマス)
2014-12-31 10:44:54
調査委員会が、ES細胞の混入者を特定しないのは、裁判沙汰を避けるためとの見方が散見されますが、これはちょっと違うように思います。なぜなら、もし小保方氏が、混入者だと判定して裁判に訴えても、それは民事裁判だからです。民事裁判では、刑事裁判と違って、原告、被告双方に強制的な捜査権限がありませんから、直接的な物的証拠までは求められない(もし、あれば、断然有利にはなります)し、双方の主張のどちらが蓋然性が高いかで判断されると思います。従って、今回の調査委員会の示した状況証拠により、理研の下した判断が、合理的かつ矛盾がないと裁判官に認められればよい訳です。このように考えると、今回の件に関しては、理研が負けることは考え難いのです。しかも、一番争点になり得る地位確認は、小保方氏の自主退職でクリアしていますから。従って、理研がここまでして隠したいものは何なのか、まだまだ深い闇があるようで不気味です。
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