世界変動展望

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崩壊・STAP論文:/上(その1) 密室が生んだ捏造 助言役、責任果たさず

2013-02-28 00:01:59 | 社会

「研究者(著者)が慎重にすべての生データを検証するという当然発揮すべき研究のチェック機能が果たされていなかった」。新しい万能細胞として大き な注目を集めたSTAP細胞論文について、理化学研究所の調査委員会は1日、画像に捏造(ねつぞう)などがあったと認定し、小保方(おぼかた)晴子・理研 研究ユニットリーダー(30)だけではなく共著者らの責任に言及した。

 不正の舞台となった理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)で、新たな万能細胞と脚光を浴びることになった「STAP細胞」の研究が始まったのは2010年7月。だが、詳細を知る人は発表までわずかだった。

 CDB創設にかかわった研究者は「すごい仕事があるとは聞いていたが、研究所内でも極秘で進められていた。論文を見て『これだったのか』と(思った)」。科学史上に名を刻む不正論文が世に送り出された背景には、「極秘プロジェクト」という異例の経緯があった。

 小保方氏が、CDBでSTAP細胞の研究に取り組み始めた頃、かっぽう着姿で実験する姿は見られていた が、研究内容を知る人は限られていた。13年3月に研究ユニットリーダーとして採用されても、研究所内の定例セミナーで、発表することはなかった。セミ ナーは、論文発表前に研究の矛盾点や課題を指摘し合う重要な場であり、若手研究者にとっては避けて通れない鍛錬の場だ。

 ある理研研究者は「セミナーに一度も出ないのは極めて異例。(競争の激しい)幹細胞分野で隠したい側面があったかもしれないが、結果として不幸なことになってしまった」と話す。

 11年に博士号をとったばかりでリーダーとなった小保方氏の助言者に、笹井芳樹・副センター長と丹羽仁史プロジェクトリーダーというベテラン研究者がついたことが、秘密主義を加速させたとみられる。

 あるCDB研究者は「秘密主義は笹井先生の方針だった」と指摘する。「極秘にするのが笹井先生のやり方。共同研究者にすら自分のデータを渡さない。その悪い面が出てしまった」

 笹井副センター長は、日本を代表する再生医学研究者。研究資金も多く、英科学誌ネイチャーなど一流科学誌に毎年のように論文が掲載される実力者で、表立った批判は少なかった。

 

  当然ながら、国内外の研究者が参加する学会で発表したこともなかった。人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作製した山中伸弥・京都大教授でさえ論文発表の約1カ月前、一部のデータは伏せたものの、研究成果の概要を国際学会で発表している。

 「生物学の常識を覆す発見」は、小保方氏と助言者らだけの「密室」で生まれ、研究チーム以外の批判の目にさらされることなく、発表された。

 ◇理研、執行部引責も 文科相、特定法人指定先送り

 理化学研究所の調査委員会がSTAP細胞論文の捏造(ねつぞう)、改ざんを認定したことを受け、1日記者会見した理研の野依良治理事長は「場合によっては私を含む役員は、しかるべき段階で厳正に対処しなければいけない」と述べ、執行部の引責も示唆した。

 調査結果に対して小保方晴子・研究ユニットリーダーらから弁明を聞く手続きを経て、理研は「厳正な処分」と論文の取り下げ勧告を検討するとしている。

 STAP細胞の真偽については、調査委が「論文の不正の有無を調べることが我々の目的」として調査対象 としなかったため、理研本部が主導して約1年かけて再現実験を行うという。実験には1000万円以上かけ、責任者は論文共著者の丹羽仁史プロジェクトリー ダーが担う。理研側は「外部の研究者による検証にも協力する」と強調し、報道陣からの「公平性に欠けるのでは」との批判をかわした。

 さらに、小保方氏の研究室に保管されていた、STAP細胞から変化させて作った「STAP幹細胞」の詳細な解析も検討する。

 また、理研は外部の専門家による委員会を設置し、実験の実態と論文が発表されるまでの経緯を改めて調査 する。不正の抑止策や、研究成果の広報発表のあり方についても改善策を検討するという。下村博文文部科学相は同日、理研を「特定国立研究開発法人」に指定 する閣議決定を先送りする方針を示した。ただし、今国会会期中の指定を目指す。【八田浩輔】

毎日新聞 2014年04月02日 大阪朝刊

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