駒子の備忘録

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宝塚歌劇月組『メリー・ウィドウ』

2013年12月14日 | 観劇記/タイトルま行
 日本青年館、2013年12月9日マチネ。

 1905年、ポンテヴェドロ王国。軽騎兵隊中尉のダニロ・ダニロヴィッチ伯爵(北翔海莉)のもとに、国王から国家存亡にかかわるという重大な任務が下され、ダニロはパリへと向かう。ポンテヴェドロ随一の大富豪グラヴァリ氏の莫大な遺産を相続した未亡人ハンナ(咲妃みゆ)が、外国人と再婚して遺産が海外に流出するようなことにでもなったら、小国であるポンテヴェドロは破産だというのだ…
 原作/フランツ・レハール、脚本・演出/谷正純、作曲・編曲/吉崎憲治。ウィーンでは年末恒例となっているオペレッタのミュージカル化。全2幕。

 プログラムを見たときに場数の少なさにおやと思ったのですが、確かに元のオペレッタも二幕二場とか三幕三場とかのごくごく単純なお話だったな、と思いました。キャラクターはけっこう多彩なので、よりコンパクトにして大劇場の芝居にもできるかもしれませんね。今回はカンカンなどショーアップしてたっぷりのんびりやっていました。
 楽しい、たわいないと言ってもいいハッピーなコメディで、適材適所の役者も楽しんで演じている感じがよく出ていて、楽しかったです。ただ個人的には客席が受けすぎという気がしたというか、まだおもしろくもないのに笑う気満々でつまらないウケ方をしているのが興醒めでした。水を差すようだけれど楽しいアドリブも内輪受け、リピーター向けになりすぎてしまわないよう、やってくれるといいのにな、とは思いました。私はちゃんとおもしろければ笑いたいし、そうでないなら真面目に観たいのです。

 硬軟なんでも上手いみっちゃんですが、もちろんほぼ原曲ままの難しい歌唱は難なくこなしていましたが、期待していただけにもうひとつ感動が足りなかった、味わいが足らなかった…と思ってしまったのはハードルあげすぎかしらん。白い軍服も素敵な着こなしていたけれど、やっぱりもっと美形に見えるメイクはできる気がするなあ。私は正直この先の彼女のトップスター就任はないだろうと思っていますが、そういうこととは別にがんばってほしいし輝いてほしいので、満足してしまったり「こんなにやっているのに」みたく思わないでいてくれるといいなあ、とか思います。実力的にはなんの問題もないのだろうし、トップに十分、という声も聞くけれど、みんな本当にそんなにファンなの? ちゃんと席埋める気あるの?とかも思うし、無責任に持ち上げない方がいいのでは…とか思うのでした。
 ヒロインのゆうみちゃんは大健闘だったと思います。もともとすでにして仕上がっているような娘役さんではありますが、若いとはいえ人妻、というか未亡人役、華やかで押し出しもいいマダムっぷりを演じてみせるのはまだまだなかなかに大変だったと思います。が、とてもよかった。歌もまだまだ細いながらがんばっていてよかったです。組替えが発表されましたが、一番その後のコースが想像しやすい流れでもあるので、がんばって花開いてほしいです。
 原作とはちょっと趣が変わっている二番手格のカミーユ・ド・ロション(凪七瑠海)は…残念ながら私にはいつものカチャにしか見えませんでした。歌もがんばっていたけれど、どうも上手く聞こえないタイプのそんな性質というか喉に思えてきました。冒頭の台詞は笑うところなの? 本人は大真面目なんだけれどおもしろくなっちゃってるってことなの? 実は私はここの演出がよくわからず、だからこのキャラクターを捉えられないままに終わってしまったのかもしれません。
 その恋人ヴァランシエンヌ(琴音和葉)、上手いのは知っていたけどこんな大きな役は初めてなのでは? もっとトウが立った作りになるかと心配していたのですが、とてもキュートで、でも嫌味がなく、夫を捨てて元カレに走る流れがハッピーエンドに見えたのは素晴らしかったと思います。苦労はしそうだが支えてやってくれ(笑)。

 敢闘賞はツェータ男爵(星条海斗)のマギーでしょう。すでに喉がつらそうだったけれど、前回のガニマールに続きコメディリリーフをバッチリ務めて出色でした。決して老け役とは言い切れない、でも芝居を支える側に回る、というのが求められていることなんじゃないのかなあ、それをきっちりやって見せていて素晴らしかったです。
 それからもうひとり、ダニロの従者ニエグシュ(暁千星)のありちゃん。台詞の声はまだまだなんだけれど、そしておもろい役とはいえもっと顔が見える、そして綺麗に見えるメガネは研究してもいいのでは、とも思ったけれど、歌がなかなかしっかりしていたのには驚き、知ってはいたけどダンスが素晴らしいのは本当に場をさらいました。のびのび育てよ!

 お金はないけど貴族、なゆりやん、ゆうきくんもよかったです。が、もうちょっとだけはっちゃけられるとよかったのかな…このあたりで便利使いされそうなのももったいなくて残念で心配です。
 まんちゃんはガンガン踊っていてよかったです。まゆぽんもホント上手いなあ。
 ルクシッチの春海ゆうくんも初めて認識しましたが、いい仕事をしていて驚きでした。

 ところでこの作品は正式名称はもしかして『THE Merry WIDOW』なのでしょうか。それともこれは飾りのロゴ? 開演アナウンスでみっちゃんは「ザ」と言っていなかったような気がしたので、カタカナ表記を正式タイトルとすることにしました。間違っていたらすみません。

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