駒子の備忘録

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アドベンチャーズ・イン・モーション・ピクチャーズ『ザ・カー・マン』

2009年11月24日 | 観劇記/タイトルか行
 オーチャードホール、2002年4月17日ソワレ。
 その名のとおり映画にインスピレイションを受けた独創的なバレエ作品を発表し続けるアドベンチャーズ・イン・モーション・ピクチャーズの初来日公演。ビゼーのオペラ『カルメン』をベースに、主人公のカルメンを男性に置き換えた、愛と官能のダンス・ミュージカル。
 1960年代のアメリカ、とある田舎町ハーモニー。ディノ(この日はスコット・アンブラー)の自動車修理工場は付近のイタリア系住民のコミュニティになっている。ある日、流れ者の青年ルカ(アラン・ヴィンセント)が現れ、女たちばかりか男たちをも惹きつける。特にディノの妻ラナ(ヴィッキー・エヴァンス)との間には一瞬にして情欲の火花が散るが…演出・振付・脚本/マシュー・ボーン。
 ううーむ、濃ゆいというか暑苦しいというかな舞台でした。
 私はバレエというものはダンサーの肉体美を鑑賞するという面もあると思っていて、スレンダーででも筋肉質で研ぎ澄まされた身体を見ると本当にため息ものなのですが、今回はなんだかみんなムキムキムチムチしているんですよね。美しくないとは言わないし、ダンステクニックはまったく申し分ないのだけれど…このところ宝塚づいていたせいかすらりとしたボディに目が慣れていたもので…まあでも当然その分迫力はあります。
 ただしやはりこのラテンのノリというか、猥雑ギリギリの情欲と官能と暴力の世界というのは、日本人のメンタリティからするとややしんどいかも…単にたまたまワタシのココロが攻撃的じゃなかっただけかしらん。すべてのグラン・パ・ド・ドゥは結局のところセックスの暗喩なのかもしれないけれど、あんまりにもギトギトドロドロしていてさ…
 それにしてもラナの妹リタ(エタ・マーフィット)はいいキャラクターでした。気弱で繊細な恋人を愛しかばい支え、奔放な姉を愛しかばい、横暴な義兄にひるまず…アンジェロ(ユアン・ウォードロップ)との仲が元の鞘に戻るとはちょっと思えないので、誰かいい人を見つけて幸せになってもらいたいものです。対してラナは本当に利己的で怖い女よのお…
 流れ者の死体を埋めて知らん顔してすべて世はこともなしかい、町の名前が虚しいのお…という、暗然たるラストシーンが印象的でした。
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